税理士の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当


読者の皆さんは、税理士の年収についてご存知でしょうか?

税理士と言えば、基本的には国内トップクラスの難易度の税理士試験を合格した方たちです。

今回の記事では、そんな税理士の年収について、働き方の違いや勤務先の違いなど様々な視点から徹底解説させていただきます。

税理士の平均年収は600万円~800万円が相場

税理士の平均年収は、開業税理士と勤務税理士で大きく異なります。

一般的には開業税理士の方が高く、平均年収は800万円前後です。

これに対して勤務税理士の平均年収は600万円前後と言われていますので、開業税理士との差は約200万円程度となります。

開業税理士は、自分で税理士事務所・税理士法人を経営する経営者です。

どのような業種でも言えることですが、経営者と従業員で年収が異なるのは一般的なことではないでしょうか。

ただし、一口に開業税理士と言っても、開業したばかりで顧問先の少ない税理士もいれば、100名以上の税理士を抱えるような税理士法人の代表税理士もいますので、実際の年収には大きな開きがあることが予想されます。

税理士の年収・給料の構成要素

一般的に開業税理士には手当のような概念がありませんが、勤務税理士の場合は異なります。

勤務税理士であれば一般企業の従業員と同様に、基本給・能力給・通勤手当・業務手当・資格手当などの手当が設定されているのではないでしょうか。

また、勤務先によっては歩合制度を取り入れていることもあり、新規関与先を開拓できたら顧問料の1ヶ月分とか、保険契約を獲得できたら手数料の30%のように歩合が発生することもあります。

そして、一般企業と同様に夏季と冬季には賞与(ボーナス)が支給される事務所も多いことでしょう。

基本給・能力給・歩合はどれくらい?

勤務税理士の月給については年齢や経験によって異なることが多く、基本給と能力給を合わせて概ね20万円/月~40万円/月程度と幅があります。

また、歩合には様々なものがありますので一例を紹介していきます。

顧問先数による歩合

税理士事務所によっては、担当する顧問先の数によって歩合を設定していることがあります。

この場合の歩合は、顧問先1件あたり5,000円~10,000円程度が相場です。

顧問先数に応じて歩合を設定している場合は、基本給や能力給は低めに設定されていることが多いでしょう。

通常業務以外の歩合

会計・税務以外の商品やサービスに対して歩合を設定している税理士事務所もあるので、紹介させていただきます。

最もポピュラーなのは、保険獲得の際に発生する歩合でしょう。

多くの税理士事務所では、保険会社と提携をしており、法人や経営者向けの保険を提案していることがあります。

新規の保険契約を獲得できると保険会社から手数料が入ってくるため、担当者に歩合として還元する事務所も多いようです。

歩合金額はまちまちですが、概ね手数料の10%~30%程度ではないでしょうか。

また保険以外にも、専門業者と提携して不動産取引、オペレーティングリースなどを紹介することで紹介料を受け取っていることもあるため、その場合にも歩合が発生する対象となります。

賞与(ボーナス)はどれくらい?

ある税理士事務所では、夏季と冬季でそれぞれ基本給の1ヶ月分が賞与として設定されているそうです。

その場合、年収を12ヶ月+2ヶ月の14ヶ月を割り戻すことで1回あたりの賞与を算出することができます。

勤務税理士の平均年収は600万円前後のため、以下のようになります。

600万円÷14ヶ月=42.8万円

つまり、1回あたりの賞与は42万円程度となります。

ただし、賞与については事務所ごとに考え方がかなり異なるため、賞与を設けない代わりに月々の基本給を高めに設定している場合や、賞与が3ヶ月分設定されている場合もあることを付け加えておきます。

各種手当てはどういったものがある?(勤務税理士の場合)

勤務税理士の手当には、以下のような手当があります。

  • 業務手当・・・主に基本給を補完する手当。明確な決まりがあるわけではありませんが、社内の職務によって設定する手当です。
  • 資格手当・・・特定の資格取得者に支払う手当。税理士資格意外にも、その他の資格を保有していることに対して支払われることもあります。
  • 扶養手当・・・家族を扶養している場合に設定する手当。近年では女性の社会進出を促進するために、扶養手当ではなく家族手当とすることも多くあります。
  • 残業手当・・・残業に対する一般的な手当。
  • 通勤手当・・・通勤交通費として支払う一般的な手当

上記のように、手当の内容は一般企業とほとんど変わらないのではないでしょうか。

あえて違いを挙げるとすれば、税理士資格の有資格者や税理士試験の勉強中の職員で科目合格者に設定する、資格手当が独自の内容に設定されているかもしれないですね。

税理士(勤務税理士)の場合の年収を新卒や雇用形態別に見る

次に、勤務税理士の年収について、「新卒」「転職」「パート・アルバイト」という視点からも確認してみましょう。

新卒の場合の税理士の年収

様々な税理士事務所の求人情報を確認してみると、税理士資格の有資格者であっても、新卒採用の場合は年収300万円~400万円程度に設定されていることが多いようです。

税理士資格を保有していることで税務や会計に関する一定の知識を持つことは証明できるのですが、新卒の場合は実務経験も社会人経験もないため、一般企業と同程度の年収に設定されていることが予測されます。

会計業務や決算業務などの実務を経験していくことで、年収も上がっていくことでしょう。

社会人が転職する場合の税理士の年収(正社員)

勤務税理士が転職する場合についても見ていきましょう。

税理士資格保有者が転職する場合、年収は300万円~600万円程度の範囲で年収が設定されていることが多いようです。

年収の違いは、経験の差や、その事務所の顧客層の違いにもよるかと思われます。

税理士事務所の中には、幅広い顧客層に対応している事務所もあれば、特定の分野の顧客を専門に扱う事務所もあるのです。

例えば、ドクター専門、不動産専門、飲食店専門、芸能人専門など、専門分野が違うと、その経験があるかどうかによって年収も異なってくると言えます。

パート・アルバイトの場合の税理士の年収

勤務税理士の中には、子育て中の女性税理士の方もいらっしゃいます。

子育て中の場合はフルタイムで勤務することは難しいため、パートやアルバイトとして勤務するような場合もあるのです。

パート・アルバイトの場合、時給は1,200円~2,000円程度に設定されているのが一般的と言えるでしょう。

仮に、週3日5時間勤務だと想定すると、以下のような計算となります。

<時給1,200円の場合>

時給1,200円×5時間×週3日×4週間×12ヶ月=864,000円

<時給2,000円の場合>

時給2,000円×5時間×週3日×4週間×12ヶ月=1,440,000円

まとめると、パート・アルバイトの勤務税理士の場合は、86万円~144万円程度の年収が予想できるでしょう。

また、パート・アルバイトの場合、顧問先に出向かなくてもできる業務が中心となることが多いため、出勤しなくても良いリモートワークを導入している税理士事務所もあります。

リモートワークが導入されていれば、子どもが小さくても自宅で作業ができるというメリットがありますが、時給については概ね1割~2割程度低く設定されているのが一般的です。

ほかにも、時給制ではなく、業務ごとに単価を報酬を設定するようなこともあります。

例えば、1社分の決算業務を行ったら3万円というような報酬設定です。

税理士は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?

それでは、税理士は最高でどれくらいの年収を目指すことができるのでしょうか?

日本税理士会連合会がまとめた資料によると、総所得が5000万円以上の開業税理士は、開業税理士全体の0.5%程度いるそうです。

総所得が5000万円を超える税理士の業務内容まで推し量ることはできませんが、恐らく、所属税理士が100名を超えるような大型の税理士法人の創業者レベルの税理士であれば年収5000万円越えも夢ではありません。

しかし、一般的な税理士と同じような仕事をしていては、なかなか5000万円プレーヤーにはなれないでしょう。

5000万円プレーヤーを目指すには、コンサルティングや事業承継やM&Aのような、付加価値の高い仕事にも積極的に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。

税理士はどういった勤務先だと年収が高くなるか?

続いて、勤務先による税理士の年収の違いについて見ていきましょう。

個人税理士事務所(小規模)で働く場合の年収

税理士1名~2名とパート数名程度の小規模な税理士事務所の場合、勤務税理士の年収は300万円~500万円程度のこともあります。

事務所全体の売上規模が大きくなく、また代表の税理士が全責任を追っているため、勤務税理士の年収はそれほど高くはありません。

税理士法人(中規模)で働く場合の年収

税理士が2名以上いる場合、税理士法人を作ることができます。

税理士法人には、社員税理士と勤務税理士が存在する場合があります。

社員税理士とは、株式会社等で言うところの取締役にあたるような存在です。

社員税理士はその法人に対して無限連帯責任を追っている点が勤務税理士との大きな違いです。

勤務税理士の年収は、個人税理士事務所の勤務税理士と大きくは変わらず、350万円~500万円程度となっています。

BIG4(国内トップクラス)で働く場合の年収

税理士業界にはBIG4と呼ばれる税理士法人が存在することをご存知でしょうか?

  • EY税理士法人
  • KPMG税理士法人
  • デロイトトーマツ税理士法人
  • PwC税理士法人

上記4つの税理士法人は世界中に展開するグローバルな会計事務所で、日本国内でのサービスを展開しています。

BIG4に所属する税理士は大企業の税務やグローバル企業の国際税務を担当するため、年収は非常に高いと言えるでしょう。

BIG4の勤務税理士の年収は大卒の初任給でも500万円程度と言われており、ディレクタークラスになると年収1500万円を超えるようです。

勤務税理士として、より高い年収を目指すのであれば、BIG4やそれに準じる規模の税理士事務所での勤務を目指してみるのが良いでしょう。

(番外編)相続専門税理士事務所・法人で働く場合の年収

これまでは、主に企業関連の会計・税務サービスを提供している税理士事務所・法人を想定してお伝えしてきました。

このパートでは、少し目線を変えて、相続特化型の税理士事務所・法人の年収についてお伝えしていきましょう。

相続税法の改正の影響もあり、相続税の課税対象者が増加しているのはご存知でしょうか?

相続税対象者の増加に伴い、この数年間は相続専門を掲げた税理士事務所や税理士法人を見かける機会が増えてきたように思います。

各種求人サイトで相続専門の勤務税理士の年収を調べてみると、400万円~800万円程度に設定されていることが多く見受けられました。

この年収設定は、一般的な税理士事務所や税理士法人への転職時に想定される年収より高いと言うことができます。

企業向けの税務・会計業務は継続業務のため安定的に報酬を得ることができますが、相続関連業務は単発業務の代わりに高い報酬が期待できます。

もしも相続税法の合格者であれば、相続税専門事務所の勤務税理士となることで、より高い年収を得ることができるかもしれないですね。

これから税理士になる人へのアドバイス

現在、税理士試験を受験していて税理士を目指すのであれば、自分が将来的にどのような税理士になりたいかを明確にしておくことが大切です。

大企業の財務部門に務める税理士が気楽だと言う方もいれば、個人事務所でも良いから独立開業したいという方もいらっしゃいます。

20代はBIG4のような大手税理士法人でバリバリ稼ぎながらスキルを磨いて、30代で独立開業して自分のペースで仕事をしているという開業税理士もいることでしょう。

また、税理士試験で合格した科目によってもキャリアが異なってくるかもしれません。

所得税法合格者であれば個人事業主をメインにした事務所に、法人税法合格者であれば中小企業をメインにした事務所、相続税法合格者なら相続専門事務所に所属することで、より自分の専門知識を活かすことができることでしょう。

ぜひ、自分がどのような税理士になりたいかを考えてみてくださいね。

さいごに

税理士試験は国内トップクラスの難関試験です。

その試験に合格した税理士は年収が比較的高い職業と言えます。

しかし、資格を持っていれば仕事が舞いこんでくる時代ではないので、開業税理士にしても勤務税理士にしても、顧客に付加価値を提供することでより高い年収を得られるのではないでしょうか?

これから税理士を目指す方の参考になれば幸いです。

最終更新日:2020年1月30日

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