トラック運転手の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
トラック運転手と言えば、インターネット通販などで日々わたしたちがお世話になっている身近な存在です。
自宅まで欲しいものや必要なものを運んでくれるドライバーさんなしでは、この便利な生活は成り立ちませんよね。
個人の手元まで運んでくれるだけでなく、商品をお店に納品したり工場から製造したものを運んだりなど、トラックで「物を移動する」必要のある時はドライバーの存在が不可欠です。
今回は、そんな日々の生活の縁の下の力持ちとも言えるトラック運転手の年収について、ご紹介します。
トラック運転手の平均年収は400万円~450万円が相場
トラック運転手の平均年収は、全日本トラック協会の調査によると、年収3,936,000円(1ヶ月平均賃金328,700円/平成28年)、ボーナスがある場合は 年収4,443,600円(月額370,300 円/同年)となっています。
大体400万円~450万円が相場と言えるでしょう。
トラック運転手の年収・給料の構成要素
トラック運転手の給料の構成は、大きく「基本給」と「変動給」に分かれます。
「基本給」は、残業代やボーナスなどの算出にも使われる文字通り給料の基本となるものです。
「変動給」は歩合給(運行手当等)や時間外手当(早出、残業、深夜、休日出勤手当など)は、それにプラスアルファして支払われるものです。
トラック運転手の給料はこの変動費の割合が大きく、時に基本給を上回る場合もあるのが特徴です。
基本給・能力給などはどうなっているの?
基本給
トラック運転手の初任給は、求人情報を調べてみると新卒採用の場合、高卒で月19万円、大卒で月23万円といったところです。
ただしこの業界は中途採用のボリュームが大きく、中途採用では年齢や前職なども考慮され、月給で大体22万円程度が相場となっています。
これは、残業代や各種手当などが含まれない金額です。
能力給
先ほど「変動給」について触れましたが、ドライバーの給料はこの「変動給」が大きなポイントになります。
拘束時間、夜間乗務、積み荷の内容など、仕事の内容によって変わる「運行手当」、勤続年数や経験、能力によって変わる「能力給」、その他それぞれの会社によって特別手当などが付きます。
通常、「給料」と言う場合にはこれらの「変動給」が含まれ、同じ仕事をしている状況では月々の給料が大きく変わることはありません。
毎月10万円~20万円程度の手当が付くケースが多いようです。
また一部の会社ではインセンティブ制度があり、新規契約を取ったりすることで手当が支給されます。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
大企業
大企業では、正社員の場合ほとんどのケースでボーナスが定期的に支給されており、40万円程度の額が多いようです。
さすが安定の大企業ですね。
ここから更に運行管理者や営業所長などの現場管理職になると、60万円〜100万円程度支給される企業もあります。
出世コースがきちんと整えられているのが大企業ならではです。
中小企業
それに比べると、中小企業の場合は業績によるところが大きいようです。
親会社があるような中規模の会社では、ある程度ボーナスは確約されてます。
一方小規模な会社では、ボーナスはなしというところも増えてきます。
ただしその分、大企業よりも毎月の給料が多いところもあるので一概には言えません。
中小企業は業績次第といったところが大きく、一括りに言うことはできませんが、10万円~30万円が多いようです。
零細企業
運送業の零細企業はボーナスがあるところのほうが少ないのではないでしょうか。
毎月の給料の支払いに苦労するような会社ばかりではないと思いますが、車両の維持やその他の固定費の負担が大きく、ドライバーのボーナスまで考えるゆとりがないところがほとんどです。
あっても年末や決算期に2万円〜5万円、というところが多いようです。
各種手当てはどういったものがある?
運行手当
「変動給」の中でも、「運行手当」は多くの会社で設定されている手当です。
例えば、「この便は長距離なので手当を多くする」とか「この便は荷物の積み下ろしが大変なので手当を多くする」などといった配慮がされています。
この手当だけで10万円~20万円になる場合もあります。
夜勤手当
また、重要なのが「夜勤手当」です。
夜間は道路も空いており、高速道路を利用する長距離の運行に適しています。
お客さんから朝一番に納品してほしいなどの要望があることが多く、そのため夜間運行は一定の需要があります。
しかしドライバーも夜勤は敬遠する傾向が強く、そのため手厚い手当が付く場合が多いです。
一回夜勤をすると7,000円から1万円の手当がつくことが多いようです。
体力に自信があり、夜勤でガンガン稼ぎたい方にはありがたい手当となるでしょう。
熟練手当
「熟練手当」は、能力や経験を評価して付く手当です。
ドライバーは体力勝負なところが大きく、体力が続かず辞めてしまう人も多いようです。
逆に言うと、未経験から始めても、体力的に問題なく勤められ辞めずに頑張っていれば、数年で「ベテラン」の扱いをしてもらえる状況です。
ある中小運送会社の例では、ドライバーは3年いればベテラン、5年で古株のような尊敬を受けていました。
その尊敬がそのまま手当に反映されるため、やりがいも実感できます。
この手当は会社によって違いますが、2年目で5,000円から始まり、3年~5年で1万円~3万円などが多いようです。
トラック運転手の雇用形態別の年収を見る
正社員ドライバーの平均年収
最初から正社員ドライバーとして採用されると、地域にもよりますが基本給が19万円~22万円、これに変動手当がついて25万円〜40万円になるため、年収にすると400万円程度です。
大都市圏の賃金が高い地域は、それだけ年収も高くなります。
派遣ドライバーの平均年収
派遣ドライバーも最近とても増えています。
派遣ドライバーの給料は比較的安く、17万円〜22万円と最低賃金に近い額になります。
年収にすると平均230万円程度です。
このように年収が低めの派遣ドライバーですが、派遣先で気に入られると、契約終了後に直接雇用となる場合もあります。
試しに派遣ドライバーとして働いてみて、自分に合った仕事かどうか見極めるのも一つの手です。
契約社員・アルバイトのドライバーの平均年収
雇用形態として最も多いのが、「契約ドライバー・アルバイトドライバー」です。
月給は18万円〜30万円と大きく開きがあります。
年収も250万円〜400万円で正社員と同じくらいですが、会社の規模に関わらず、正社員と違ってボーナスがないケースがほとんど。
しかし、2020年4月に施行された「働き方改革関連法」によって、正社員とそれ以外で待遇が異なってはならないことになりました(同一賃金・同一労働)。
そのため、契約ドライバー・アルバイトドライバーにもボーナスが支給される動きが出てきています。
今度の流れに期待したいですね。
トラック運転手は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
トラックドライバーの年収は、他業種も合わせた全体の平均値にほぼ近い金額ですが、その中でも高収入を得ているドライバーもいます。
その多くは、夜間運行や2泊~3泊の泊まり勤務を伴う、大型車両に乗務する長距離ドライバーです。
月収で40万円〜50万円、年収にするとボーナスがない場合でも480万円〜600万円と魅力ある金額です。
トラック運転手はどういった勤務先だと年収が高くなるか?
勤務先別に年収を見てみることにしましょう。
宅配やスーパーの配送で働く場合の年収
街中の宅配など、小型車両や軽車両での小口配送の場合は、年収は250万円〜280万円くらいです。
これらは普通免許で仕事をすることができ、遠方に行く必要もなく、比較的軽めの荷物が多いことから、初めてドライバーに挑戦する人や、女性、年配のドライバーに人気があります。
企業間の荷物配送を請け負う会社で働く場合の年収
たとえば食品メーカーさんから小売業者さんへのお菓子の納品を行うなど、ある程度同じ種類のまとまった荷物を配送する場合です。
この場合、比較的大きめのトラックを運転して中~長距離の移動が必要になります。
そのため多くは長時間の拘束となり、また荷物の積み下ろしにも時間がかかることから、その分の手当がついて年収280万円〜320万円くらいになります。
港湾や空港関係で働く場合の年収
最も高収入を見込めるのがこの仕事です。
主にコンテナ輸送となるため特殊免許が必要なトレーラーなどを運転します。
かなりの経験と能力を必要とするため、それに見合った手当がつきます。
おおよそ年収450万円〜600万円となります。
先ほど触れた大型ラックのドライバーは、多くはこの空港や港の入出荷に関係する仕事です。
これからトラック運転手になる人へのアドバイス
トラック業界は常に人手不足で、求人は数多くありますが、どのような点から会社を選んだら良いのか分からない方もいらっしゃるかもしれません。
ある程度希望はあっても、応募先を決めることができなくて悩んでいる方も多いでしょう。
給料の額に惹かれて入社してみたら仕事がキツすぎた、ということもあります。
また、平均と比べて給料があまりにも高い求人は、インセンティブが含まれていて、実際働き始めると思った通りの給料が貰えない、ということも起こり得ます。
そこで初心者ドライバーにおすすめする仕事は、「普通免許でOK」「積み荷は重量物でない」「ルート配送」の三つです。
普通免許でOK
正直、これらの条件を満たす仕事はそれほど好待遇ではありません。
しかし、「普通免許でOK」の会社の中には、「中型・大型免許取得費用負担」など入ってからの育成に力を入れている会社も多くあります。
最初は普通免許でできる仕事から入り、やる気次第でキャリアアップができるようになっています。
もちろん、その経験をもとに、より給料の高いところに転職するのも良いでしょう。
ドライバーはある意味「手に職」の仕事です。
経験を積めば積むほど仕事の選択肢が増え、給料も上がります。
積み荷は重量物でない
次に、「積み荷は重量物でない」というのも大事点です。
重量物でない、というのは、積み下ろし作業で腰を痛めたりしないためです。
重い荷物を沢山積み下ろしするには、熟練の技が必要です。
初心者がいきなり重量物ばかりを扱うと、すぐに腰を痛め、仕事そのものを続けていくことができなくなってしまいます。
最初は、比較的軽い荷物を扱う仕事を選びたいものです。
ルート配送
そして、この中で最も重要なのが「ルート配送」です。
これは予め決められたルート通りに運行していくもので、自分で配送ルートを組み立てたり毎日違う道路を通るために地図を調べたりといった手間がありません。
一旦ルートを覚えてしまえば、毎日の運転はそれほど難しくない仕事になるでしょう。
また、ルート配送の配送先は多くは企業となります。
企業というのは一般家庭と違い、「不在」ということはほとんどありません。
ですので、宅配ドライバーと違い、不在のため再配達で夜遅くまで拘束されるといったこともありません。
トラックドライバーは、いわゆる「3K」や「ガテン系」などイメージが強いかもしれません。
高収入大型ドライバーは、そのイメージに近い職種です。
ですが実際は、今挙げた三つの条件をクリアできる、それほど体力を必要としない仕事も数多くあります。
例えば、免許を取ってからまだ運転経験を積んでいない若い人や60歳を過ぎてからドライバーになった人、子育てが一段落したので頑張りたいというママさんドライバーなどは、こうした仕事から始める傾向にあります。
食品食材のルート配送や企業間の文書配送、オフィス通販の配送などが求人としては多く挙げられます。
ここからスタートして、これからどんなプロドライバーになるか、自分の方向性を考えていくのも良いのではないでしょうか。
さいごに
さて、これまでトラックドライバーの年収・ボーナスについて経験を基にまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。
正直、年収面では他の業界と比べて高くもなく低くもなく、といったところかと思います。
しかし、トラックドライバーの仕事の魅力は、運転免許さえあれば挑戦できる、という点ではないでしょうか。
経験を積んで一人前になったとき、自分が「プロドライバー」になっているのを実感できるかもしれません。
最終更新日:2020年5月11日