歯科技工士の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・年収の決まり方や年収をアップさせるポイント
国家資格の一つである歯科技工士の平均年収といっても、ピンとくる人は少ないかもしれません。
40代~50代が多く、若い世代が年々少なくなってきている歯科技工士。
今回は、そんな歯科技工士の年収相場や年収の決まり方についてご紹介します。
歯科技工士をしてはいるけど、現状の年収に満足していないという方も、そのような現状から脱出するにはまずどうやって年収をアップできるか考えてみましょう。
※歯科技工士がどんな仕事か?が気になる人は、この記事の最後に仕事内容と現在の募集状況をまとめたので、そちらをご覧ください。
歯科技工士の年収相場は?
歯科技工士全体の平均年収としては約400万円前後です。
医療系の専門職としてはやや低めと感じる方もいるかもしれません。
また、歯科技工士の年収は技術や経験に大きく左右される為、20代ではこれより更に低い水準となり、「新卒者」「経験者の中途採用」「未経験での中途採用」によっても大きく変化していきます。
では、経験別に見ていきましょう。
歯科技工士として新卒採用された場合の年収相場
新卒採用の歯科技工士の場合は、月収にして平均15万円前後だと思ってください。
年収にして220万円~300万円程ですので、他職種と比べ低めの水準となっていますが、これは「歯科技工士」という職業ならではの理由があります。
新卒で採用された場合は、技術や経験がないため低く設定されているのです。
歯科技工士のお仕事は技術職であるため、経験がないと認められることは出来ません。
歯科技工士の経験者で中途採用された場合の年収相場
経験者であれば月収にして大体30万円前後稼ぐことは可能です。
年収にして400万円~450万円といったところでしょうか。
ただ一口に経験者と言っても、最低で5年~10年は修行を積んでいないと話になりません。
3年程度だと中途採用と言っても安く見られると思ってください。
求人募集には大体「経験・スキルに応じて」という項目がありますが、歯科技工士の場合はこれが一番当てはまります。
昔は職場の環境が悪いなどを理由とした転職をされる方もいましたが、今はスキルアップなどを求めて転職される方も多くなっています。
歯科技工士未経験で中途採用された場合の年収相場
歯科技工士の場合、今まで歯科技工所で働いていた人が歯科医院に直接採用されるか、マウスガード専門のところに採用されるか、といったケースが「未経験の中途採用」に当たるかと思います。
仕事内容はほぼ同じであるため、「未経験」というのにはほとんど当てはまらないかもしれません。
全くの未経験者は、技術や経験のない新卒者と同様に扱われます。
歯科技工士の年収の決まり方
歯科技工士の年収の決まり方は、技術と経歴がものを言うと思ってください。
地域差も多少は関係しているのですが、地方の方が安い、というのは他の職種も同じでしょう。
基本的に医療系は福利厚生などしっかりしているものなのですが、歯科技工士の場合はその辺も少し特殊であるためチェックしておいてください。
基本給以外のものはどうなっている?
基本的に医療系の場合は社会保険が付いているのは当たり前なのですが、歯科技工所によっては国保であるところも未だにあるそうです。
国保と社会保険では病院にかかる負担の大きさなどが異なるため、チェックするに越したことはありません。
賞与、昇給、通勤手当などはきちんとあるところが多いです。
退職金、残業手当などは場所にもよりますが、ほとんどのところは残業手当はないというのが現状です。
年収が高いのはどんな業種や地域?
年収が高い地域はやはり東京などの大きな首都圏かもしれません。
首都圏ですと月収にして30万円というところがいくつかありました。
筆者は関西圏在住なのですが、関西では月収にして18万円程度なので、安い方かもしれません。
歯科技工士に限った話ではありませんが、年収で選ぶのならば首都圏がねらい目です。
地域差にもよるのでこの辺は自身が住んでいる場所などを調べておいた方が賢いとも言えます。
スキル
歯科技工士のスキルに関しては、ほとんど単純作業であるため、スキルアップ以前に何が出来るかにもよります。
基本的には技術職であるため手先の器用さが必要になります。
ただ手先だけではなく、見た目の美しさにも関係してきます。
最近だとインプラントが流行っているため、患者さんからのニーズが高まりつつあり、本物の歯のようにしてほしいという方が多いのです。
差し歯や入れ歯などは需要があるのですが、インプラント系は出来る人が限られています。
単純に削れば良いものという訳ではなく、歯並びや形の色などに不自然さがないかどうかも気にされるからです。
現在はインプラントなども扱っている歯科技工所が多いため、インプラント経験者は重宝され、年収にも影響します。
経歴
歯科技工士の場合は何よりも経歴が重視されます。
何年その場所に勤めたかという訳ではなく、どのくらい出来るかというのが重要です。
もちろん若くて腕の良い技工士もいるのですが、全員がそうではありません。
経歴が長ければ長いほど、仕事にも慣れ技術も伴っている人が多いため、年収にも当然考慮されます。
歯科技工士で年収をアップさせるための求人の選び方
決して高いとは言えない歯科技工士の年収をアップさせるためには、求人選びの際にどんなところに気を付けたら良いのでしょうか。
働く先はたくさんあるので一件困らないように見えるかもしれませんが、後で後悔しないようにするため、以下のポイントも視野に入れてみてください。
歯科技工所・歯科医院・病院など勤務先をそれぞれチェックする
歯科技工所、歯科医院、病院で何が違うのか?というと、福利厚生や待遇などが大きく異なります。
個人的におすすめなのは、歯科医院もしくは病院です。
その理由は福利厚生がしっかりしていることです。
しかし、残念ながら病院は現在そんなに募集がありません。
待遇が良いために、誰も辞めるような方がいないのです。
歯科医院であれば社会保険、年末年始など暦通りの休みがもらえるため、その辺は期待が出来ます。
また、新卒者であれば最初は修行の場として歯科技工所をおすすめします。
働き方等しんどい部分は多いでしょうが、間違いなく腕は鍛えられるでしょう。
歩合制度なのかどうかをチェックする
求人募集の中にはいくつか歩合制度と記載されたところもありました。
歩合制度とは、仕事をこなせばこなすほど自分の給料はアップするというものです。
言ってみれば営業マンと同じような感じかもしれません。
やればやっただけ年収にも反映されるので、要チェック事項です。
待遇をしっかりチェックする
調べてみると待遇については結構あいまいに記載されているところが多いです。
要相談という感じの記載や、記載すらされていないところもあります。
中には賞与が年に1回程度しかないところもあるので、その辺はしっかりチェックしておきましょう。
年に1~2回とは言え、賞与の有無はモチベーションにも影響しますよね。
また、女性の場合、産休制度や育休制度のチェックもおすすめします。
実は、大きな病院以外は産休や育休制度がないところがほとんどなのです。
今現在は働く女性が増えているのである種当たり前の制度とも言えるかもしれませんが、歯科技工士はそのような制度がないため結婚後続けられず辞めてしまう方も多いです。
そのため、産休・育休制度があるところや、もしくはブランクOKとの記載があるところは女性歯科技工士も働きやすいと思います。
基本給も大切ですが、待遇はもっと大切ですよ。
募集内容をしっかりチェックする
福利厚生の内容だけではなく、歯科技工所によっては募集内容は全く異なります。
正直ほとんどのところは記載内容と実際は多少異なると思っておきましょう。
大体どこもそんなものではあるのですが、募集内容と実態が違うと思った場合、人は継続する気にはなれないものです。
自分にとって何が必要で、何が最も重視するポイントであるかなどはあらかじめ決めておいてください。
あまり本来の目的からずれることは良くありません。
残業に関する事柄は確認必須
年収も大切ではあるのですが、何よりも重要なのは残業に関する事項です。
というのも、基本的に歯科技工士の残業は他職種と比べかなり多いのが現状です。
状況によっては深夜に及ぶところもあるため、毎回それが続くとなると仕事の継続が難しくなってきます。
残業が多いのが当たり前でありながら、残業手当などは正直あまり期待できません。
もちろん残業のないところも中にはあるのですが、設定年収はとても安いそうです。
この辺は見極めが肝心です。
社宅有りは避ける
調べたところ、中には社宅有りのところが何件かありました。
社宅有りに関してはなるべく避けた方が良いでしょう。
これは先に述べた残業の項目と関連します。
全部が全部そうとは言いませんが、社宅有りだと何時まででも残業をさせられてしまう可能性が高いのです。
残業が多い職種だと社宅もデメリットになり得ると考えておきましょう。
一応社宅有りで家賃補助手当は付いているのですが、ずっとそこで暮らせるかどうかも考えなければいけません。
他の医療業界に関しては社宅有りは特に珍しい話ではありませんが、歯科技工士のように長時間の残業ありだと避けた方が無難ですね。
歯科技工士とはどんな仕事?
最後に、歯科技工士の仕事をまだ知らない人向けに、その仕事内容も紹介します。
歯科技工士の仕事は入れ歯、差し歯、マウスガード、インプラントなどを作成する仕事です。
人工の歯を作る仕事でもあるのですが、時々作成した差し歯がかけてしまったりすることもあるので、修理をする役割も持っています。
マウスガードとは歯に填めるマウスピースのことだと思ってください。
スポーツ選手が使用するマウスガードを専門に作る所も多いんですよ。
現在の募集状況
現在歯科技工士は不足しており、若い歯科技工士は重要だとされています。
昔のように厳しいやり方だと誰も付いてこないということが分かっているため、少しずつ待遇もが良くなってきているようです。
ある程度経験を積まないと難しいですが、中には歯科器材メーカーに転職する歯科技工士もいます。
今の医療は進歩しているため、歯科材料関連の会社も競争状態にあります。
パソコンソフトを使用して歯を作るやり方も増えてきているのですが、今までとは別の素材を使用した歯を作るなどの研究開発を進めているところもあります。
歯科技工士の将来性はないのでは?と一部ではささやかれているようですが、歯の健康に関してはこれから先の未来も必要になるものです。
昨今の研究では、全身の疾患に歯の健康が大きく関わっていることも分かってきました。
人間にとって重要な役目を担う歯の健康に携わる歯科技工士こそ、これから更に重要視されるのではないか、と筆者は考えています。
まとめ
歯科技工士は全て技術職であるがゆえに、自分の腕によって年収が変わります。
そういう意味では、元々の手先の器用さに加え、どれだけ業務に真摯に取り組み技術力を上げられるか、というのが重要になってきます。
技術職は根気が必要なので、どんなに最初はしんどいと思っていても後から結果はついてくるものですよ。
この記事が、これから歯科技工士を目指す人・歯科技工士としてキャリアアップを考えている人の参考になれば幸いです。
最終更新日:2019年6月25日