市議会議員の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
市議会とは、地方自治体が市民のためにどんなことをするのか決めるところです。
市議会議員は、市民の代表となり議会に参加し、議案の審議や議決、議案の提出などを行います。
政治に関することなので、議員の仕事は責任重大です。
例えば、患者数や近隣医療機関数などを踏まえつつ市が運営する病院の医療サービスを充実させるには予算がいくらが適正なのかを決めます。
責任重大な仕事ですが、これから市議会議員になろうとする人は収入面のことが気になるのではないでしょうか。
自分の貴重な時間を提供するに値する収入があるのかと。
市議会議員の平均年収、年収の構成要素、職務内容別の年収、市議会議員の最高年収、これから市議会議員になる人へ向けたアドバイスなどについてこの記事で書いています。
この記事を見れば、市議会議員になった場合のお金に関する悩みがすっきり解消されることでしょう。
市議会議員の平均年収は600万円台からが相場
結論を先に申し上げると、市議会議員の平均年収は約695万円です。
市議会議員の平均給与月額は総務省がまとめていて、平成31年は指定都市の平均が811,443円、市の平均で429,046円です。
月の給料に加えて賞与などが加わり、全体の平均年収が約695万円となります。
市議会議員でも、所属する地方自治体により年収は大きく異なってきます。
例えば、横浜市の市議会議員であれば年収ベースで1600万円台程度となりますが、財政難の地方自治体の場合だと年収400万円以下ということも。
基本的に年収を多く貰えるのは、規模が大きく税収が多い地方自治体です。
横浜市以外では、神戸市・福岡市・北九州市・京都市・札幌市・広島市・仙台市・川崎市・名古屋市などは、多くの年収が期待できる地方自治体です。
ざっくりしたイメージで市議会議員になった場合の平均年収を分類すると、以下の通りになります。
- 1500万円以上:約0.002%
- 1000万円以上~1500万円未満:約0.104%
- 800万円以上~1000万円未満:約0.131%
- 600万円以上~800万円未満:約0.372%
- 400万円以上~600万円未満:約0.381%
- 400万円未満:約0.009%
平均年収だと、高収入の地方自治体の議員が平均値を上げたり、低収入の地方自治体の議員が平均値を下げたりしてしまいます。
上記のデーターから、市議会議員になった場合に実際に貰える年収の目安は400万円~799万円になるでしょう。
市議会議員以外の年収も気になるはずです。
公務員の平均年収は、国家公務員が約692万円、県庁職員だと約654万円、市役所職員は約629万円です。
市長や議長と同じ地方公務員(特別職)である市議会議員は、公務員の中でも平均年収は高いです。
サラリーマンの平均年収は約440万円、上場企業の平均年収が約610万円となっています。
平均的に考えれば、民間企業に勤めている人より市議会議員になった方が経済的には良いと言えるでしょう。
市議会議員の年収の構成要素
市議会議員の年収は、「議員報酬」「期末手当」「費用弁償」の構成になっている場合が多くあります。
市議会議員は他に、年収に含まれませんが政務活動費というものがあり、議員の活動を支えてくれます。
基本給はどうなっているの?
市議会議員の給料関係は、条例により明らかになっています。
例えば、武蔵野市の場合、「武蔵野市議会議員の議員報酬等に関する条例」というのがあり、そこに、議員報酬(基本給)は月額550,000円と書かれています(2020年4月10日時点)。
条例とは、地方公共団体が議会の議決に基づいて制定する法です。
条例により定められている市議会議員の議員報酬などの年収に関することは、法によりがっちり守られているので安心です。
給料などに関することは、働くことになる地方自体の財政状況などにより決まりますが、自治体の税の収入は短期間で大きく変わることは基本的にないです。
民間では、自然災害や不況などの影響により収入が大きく変わることがあります。
原則4年の任期中、安定した年収を得ることができるのが、市議会議員になった場合の魅力です。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
期末手当というのが賞与に該当します。
市議会議員の期末手当は勤務する地方自治体の財政状況などにより異なるので、一概には言えません。
ざっくりした感じで言うと、市議会議員の期末手当は年間40万円~500万円程度。
平均的な年収を貰える地方自治体の期末手当だと、日光市(栃木県)約180万円、藤岡市(群馬県)約191万円、霧島市(鹿児島県)約150万円です。
平均年収が高い=期末手当額が多いということではありません。
あなたが市議会議員になる場合、トータルでいくら貰えるのかを確認しましょう。
高額な期末手当を貰える地方自治体も紹介します。
横浜市の期末手当額は高額で、市議会議員の期末手当は、6月期の期末手当は支給月数2.25月で2,573,100円、12月期も2.25月で2,573,100円です。
横浜市以外では、神戸市約485万円・広島市約431万円・福岡市約421万円なども、期末手当は多いです。
各種手当はどういったものがある?
費用弁償というものがあります。
これは、議員が議会や委員会に出席した場合に支給されるものです。
費用弁償は、旅費や交通費の支給と言えばイメージしやすいでしょう。
費用弁償に関しては条例により定められていて、この制度がない地方自治体もあります。
支給額については、実費を支給する場合もあれば、一定額を支給する場合もあります。
ただし、費用弁償は「報酬の2重取り」などと言われることもあり、評判があまり良くありません。
時代の流れとしては、実費での清算や廃止に向かっています。
政務活動費とはどういったものなの?
政務活動費とは、地方自治法に基づいて、政策の研究や調査のために会派や議員に対し議員報酬とは別に支給されるものです。
政務活動費が対象となるのは以下の通りです(草津市の場合)。
- 研修費
- 会議費
- 調査研修費
- 広報広聴費
- 要請・陳情活動費
- 資料作成費
- 資料購入費
- 人件費
- 事務費
など
政務活動費は地方自治体によっては高額です。
例えば、政務活動費の上限額(一人あたり)の一例は以下の通りです。
- 横浜月額55万円
- 京都月額54万円
- 大阪月額51.3万円
ただし、高額な政務活動費を全ての市議会議員が貰っているということはなく、月数万円に留まる議員が多数います。
月10万円を超える政務活動費を支払っている地方自治体はそう多くはありません。
市議会議員の初任給手取り額は?
所属する地方自治体により初任給は異なりますので、市議会議員の初任給はいくらかと具体的に説明することは難しいです。
地方議員の初任給の一例は以下の通りです。
- 月額報酬約62万円
- 所得税・住民税・国民年金・社会保障費・健康保険・介護保険・議員連盟会費などを引くと→約37万円
事務所の家賃・交通費・会合の参加費などの地方議員ならではの10万円台レベルの支出があるので、サラリーマン的な感じで考える手取りになるともっと下がるかもしれません。
前述した政務活動費が出る場合があり、そうなると実質的な手取り額は上がります。
市議会議員の職務内容別の年収を見る
市議会議員の報酬は一律で、年収に関しては前述した通りです。
しかし市議会議員になると、議会の議長や副議長になれる場合があります。
議長や副議長になると、年収がアップすることができます。
具体的に議長や副議長の年収はいくらかは、地方自治体により変わるので一概に言うのは難しいです。
議長の場合の年収
一例ですが、議長になった場合の年収は以下の通りです(大阪市の場合、令和2年4月時点)。
- 報酬月額1,080,000円
- 期末手当年間5,119,200円(6月2,462,400円・12月2,656,800円)
- 年収18,079,200円(給料カット実行後16,519,200円)
副議長の場合の年収
副議長になった場合の一例は以下の通りです(大阪市の場合、令和2年4月時点)。
- 報酬月額960,000円
- 期末手当年間4,550,400円(6月2,188,800円・12月2,361,600円)
- 年収16,070,400円(給料カット実行後14,678,400円)
議員になった場合の年収
市議会議員になった場合の平均年収は前述した通り約695万円です。
大阪市の議長や副議長の年収を出したので、比較しやすいように令和2年4月時点の大阪市の議員年収を紹介します。
- 報酬月額880,000円
- 期末手当年間4,171,200円(6月2,006,400円・12月2,164,800円)
- 年収14,731,200円(給料カット実行後13,459,200円)
市議会議員は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
議会の議長になると、市議会議員になった場合の最高年収を狙えます。
議長の年収になると議員の年収の2割増しになることもあります。
例えば、市議会議員の中でも特に高収入が狙える横浜市の市議会の議長になった場合、議長は月額1,179,000円(議員月額953,000円)、期末手当6月期3,183,300円(議員2,573,100円)・12月期3,183,300円(議員2,573,100円)となります。
議長は、議会の投票により選出されることでなれます。
自分に投票してもらうためには、自分以外の議員から信頼を勝ち取れば良いのです。
他の議員から信頼を勝ち取るためには、議員のグループである会派に入り実績を積むことが重要です。
信頼を勝ち取れば会派の人たちが投票してくれるので、議長になりやすくなるということ。
多くの投票を得るにはグループ人数が多い最大会派に所属することが大切です。
地方自治体の議長は、3期目以降であれば狙うことができます。
基本的に、議員年数が長い方が会派でも重要なポジションを任されやすくなり実績を積めるので、信用が蓄積されるため議長になりやすいです。
議長は、議場の秩序保持・議会の事務の統理・議事の整理などを行う人です。
そのため、「全体を見渡す力」や「調整する力」がある人が望ましいとされています。
市議会議員になって議会の議長になろうとする場合、「調整する力」と「全体を見渡す力」を早期に付けることをおすすめします。
これから市議会議員になる人へのアドバイス
「満25歳以上であること」「日本国民であること」「立候補する市内に3ヶ月以上住んでいること」の三つを満たせば、市議会議員選挙に立候補することができます。
立候補すれば、有権者に投票してもらい、当選に必要な投票数を得られれば市議会議員になることができます。
選挙で投票してもらうには有権者から信頼してもらうことが大切なので、出馬前に有効な対策を行いましょう。
例えば、会社経営をして地域社会の経済に大きなメリットをもたらすのも良いでしょう。
今まで何をしてきたか分からない人より、今まで何をしてきたか具体的にイメージできる人の方が、投票される確率はぐっと上がるものです。
選挙に出る前から、出馬を予定している地域の有権者に対して大きな影響力がある地主などのキーパーソンとコネを作ることをおすすめします。
規模がそれほど大きくない地方自治体の選挙の場合、1,000~1,500の投票数で当選することもあるため、キーパーソンの有権者に対する働きかけで投票結果は大きく異なるものです。
市議会議員選挙に出馬する場合、200万円~800万円程度の費用がかかると言われています。
そのため、出馬する前から選挙費用を貯めていく必要があります。
400万円だとして、5年かけて用意すれば1年80万円ですし、10年だと40万円になるので、時間をかけて選挙費用を用意すれば恐れることはありません。
費用を節約したい場合は、選挙に必要な物を購入するのではなくレンタルや手作りにするという手もあります。
最後に
この記事では、以下のことを説明しました。
- 市議会議員の平均年収は約695万円であること
- 「議員報酬」「期末手当」「費用弁償」の構成となっている場合が市議会議員の年収では多いこと
- 市議会議員には政務活動費というものがあり、これも議員の活動を支えていること
- 議員・副議長・議長に分類でき、副議長や議長になると収入が増えること
- 市議会議員になった場合、最高年収を狙えるのは議長になった場合であること
- これから市議会議員になるなら、「有権者から信頼を得るための実績作り」「票を動かす力を持つキーパーソンとのコネを持つ」「200万円~800万円程度の選挙費用を用意する」を大切に考え、出馬前から行動すること
市議会議員は、平均年収は約695万円、大きな金額を動かせる、多くの人が満たすことができる出馬条件を満たせば学歴不問で誰にでも議員になれるチャンスがあります。
シンプルに言うと、市議会議員は、「高収入」「やりがいがある」「チャンスがある」になります。
地方自治体によっては議員になり手が少なく、無投票で当選することもあります。
つまり今現在は、市議会議員になりやすくなっていると言える状況です。
この記事を見て少しでも市議会議員に興味を持った人は、ぜひ議員になるための行動をスタートしてみてください。
その選択が、きっと将来をバラ色にしてくれます。
最終更新日:2020年5月18日