労働基準監督官の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
長時間労働やブラック企業、パワハラやセクハラなど労働環境を巡る問題が最近多く取り上げられています。
そんな中、労働者の健康や権利を守り、労働環境を改善していくために働いているのが「労働基準監督官」です。
労働Gメンと呼ばれる労働基準監督官の年収を、能力や仕事内容と併せて解説していきたいと思います。
労働基準監督官の平均年収は約660万円が相場
労働基準監督官の平均年収はどれくらいになるのでしょうか?
そもそも、労働基準監督官は国家公務員ですので、その給与や手当に関しては国家公務員の給与を定めた「一般職の職員の給与に関する法律」という法律で規定されています。
それを基に算出すると、労働基準監督官の平均年収は約660万円になります。
労働基準監督官の初任給は?
労働基準監督官の初任給はどれぐらいになるのでしょうか?
平均年収の項目でも解説しましたが、労働基準監督官は国家公務員なので、初任給に関しても法律で規定されています。
勤務地によって手当等による多少の前後はありますが、仮に東京都での勤務の場合、初任給は約22万円になります。
労働基準監督官は、少なくとも4年制大学を卒業するか、それと同程度の資格があると認められた者が試験を受け、それに合格しないと就くことができない職業です。
しかも、試験自体も合格率1桁と非常に難易度の高い試験ですが、初任給に関しては平均的な金額と言えます。
労働基準監督官の年収・給料の構成要素
労働基準監督官の年収は「俸給」と「諸手当」の二つで構成されています。
「諸手当」の中には「ボーナス」も含まれていますので、詳しく解説していきます。
俸給はどうなっているの?
俸給とは民間企業で言うところの「基本給」と同じ扱いのお金です。
労働基準監督官を含む国家公務員の俸給は、人事院が定める「俸給表」という表によって決められます。
俸給表は業種によって細かく設定されており、労働基準監督官は一般行政事務職なので、「行政職俸給表(一)」の俸給表が適用されます。
俸給表には、職員の級と号俸によって支給される金額が細かく規定されています。
例えば、同じ1級でも1号の職員と2号の職員では、若干ですが2号の職員の方が多く俸給を貰うことができます。
級とは民間企業で言うところの役職で、「係長」「課長」「部長」と昇給していくことで俸給表の級が上がっていきます。
号俸はほぼ年齢と共に上昇していくものなので、同じ役職でも年齢が高い方ければ高い程俸給が高いということになります。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
労働基準監督官には「期末手当」という民間企業で言うところのボーナスが年2回支給されます。
これは構成要素の中の「諸手当」の中の一部です。
支給金額は法律で規定されており、概ね俸給等の4.5ヶ月分が2回に分けて支給されるという規定になっています。
なので、夏と冬にそれぞれ約2.25ヶ月分が支給されるということになります。
仮に、大卒1年目で東京勤務の労働基準監督官になった場合俸給は月22万円程度なので、ボーナスは夏と冬それぞれ45万円程度ということになります。
一般的な民間企業と比較してもそれほど変わりのない金額です。
しかし民間企業と大きく違うのは、国家公務員なので会社の業績によって金額が変動するということがない点です。
民間企業であれば、会社全体の業績が上がったり個人の業績が評価されれば規定以上のボーナスが支給されたりすることもあります。
逆に、会社の業績が下がったり個人の業績が評価低かったりすると、ボーナスの金額は下がる可能性があります。
しかし、国家公務員のボーナスは業績による変動はありません。
俸給は年に1回人事院の見直しがあり、民間企業の動向に合わせて規定が変わることがありますが、大きく上昇する、また逆に大きく減るということはありません。
これが「国家公務員=安定」と言われる理由の一つでもあります。
各種手当はどういったものがある?
ボーナスにあたる「期末手当」の他にも「諸手当」には多くの手当てがありますので、いくつか解説していきます。
民間企業で言うところの残業代です。
これは扶養している家族が多い職員に対する手当で、子供1人あたり月10,000円など、規定によって金額が決まっています。
賃貸アパートに住んでいる職員に対して、月額28,000円を上限に支給される手当です。
交通機関を利用している職員に、月額55,000円を上限に定期券相当額が支給されます。
異動に伴い単身赴任をしないといけなくなった職員に支給されます。
民間企業の給与水準が高い地域での勤務の場合に、俸給の最大20%を上限に支給されます。
これは60km以上の異動があった場合に俸給の最大10%が3年間支給されるという手当です。
寒冷地に勤務する職員に支給される手当です。冬の暖房代を考慮して規定されています。
これは所謂役職手当です。管理・監督の地位にある職員に支給されます。
以上、様々な諸手当が規定されています。
特に労働基準監督官は、一定地域に長く勤務すると地元企業との癒着に繋がり、適正な監督ができないという理由から転勤が比較的多いのですが、「広域異動手当」や「単身赴任手当」などが規定されているので安心ですね。
労働基準監督官は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
労働基準監督官の最高年収ですが、公務員なので年齢を重ねて役職を上げることが年収アップに繋がります。
その最高額ですが、50代で労働監督署の署長の場合、俸給とボーナスを合わせて約792万円、更に役職手当など含めると年収で1000万円を得ることも可能です。
ただしそれ以上の年収というのは、定年による退職等もあり難しいようです。
労働基準監督官の年収の決まり方や、年収が高い人の条件・スキル・特徴は?
労働基準監督官の年収は法律で定められているので、ある程度昇給のスピードも決まっています。
しかし、その中でも指導・監督内容、対応件数などにはノルマが設定され、それをクリアすることで評価が上がり年収も上がっていきます。
資格を持っていることでの年収のアップや特別なスキルに対する報酬などはありませんが、早く昇給する人の特徴は存在するので、次に解説していきます。
1.コミュニケーションスキルが高い人
労働基準監督官の仕事は対人コミュニケーションが中心の仕事です。
労働者からの訴えや状況を聞いたり、事業者に労働環境の改善を指導したりと、人とのコミュニケーションによって成り立っています。
なので、このコミュニケーションが上手く行える人、具体的にはそれぞれの人に合わせた聞き取り方、説明の仕方ができる人が労働基準監督官としてより活躍でき、評価も高くなります。
2.事務処理能力が高い人
どれだけコミュニケーション能力が高くても、コミュニケーションを取る時間を作ることができなければその能力は発揮されません。
その時間を作ることの最大の妨げになるのが、お役所特有の事務処理です。
報告書の作成や申請書の上申など必要な事務処理をテキパキこなすことができるのも、労働基準監督官として重要な能力と言えるでしょう。
3.大きな失敗をしない人
これは労働基準監督官であるということよりは公務員というお役所勤めであることに大きく関わりますが、公務員はキャリアの中で大きな失敗をしてしまうとなかなか要職に就くことができなくなってしまうという特徴があります。
なので、コツコツ仕事をこなして着実に結果を出せる人が役職に就きやすく、結果として年収も上がっていきやすいと言えます。
これから労働基準監督官を目指す人へのアドバイス
労働基準監督官は国家資格なので、まずは試験に合格しなければ就くことはできません。
そのため労働基準監督官を目指すのであれば、まず試験対策が必要になります。
その上で実際に働くことを考えると、まずはコミュニケーション能力を高めることが必要ではないでしょうか。
多くの人と関わりどんな人とも円滑なコミュニケーションを取れる人物になれれば、労働基準監督官としても活躍できるはずです。
また全国転勤が必ずある職業なので、転勤が苦にならず、すぐに人と親しくなりやすい人には向いているかもしれません。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
労働者の強い味方である労働基準監督官の年収事情、お分かり頂けたでしょうか?
公務員という安定した職業ですが、全国転勤がついて回る大変な職業でもあります。
こういった事情を知ると、労働基準監督官を見る目が少し変わるかもしれませんね。
最終更新日:2020年10月19日