林業の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
働くことを検討する上で、月々の給与や年収はとても気になる部分だと思います。
特に林業は業界関係者や実際に就業している人と関わる機会も少なく、イメージの湧き難い産業だと思います。
インターネットの口コミサイトなどでは「林業は年収が少ない」「稼げない」という意見がある一方で、「林業はすごく稼げる」といったものも見受けられます。
実際のところどうなのかよく分からない林業の給与や年収について、林業業界で就業経験のある著者が解説をしていきます。
林業の平均年収は350万円が相場
林業の平均年収は、林業会社や森林組合、第3セクターなどの林業全体で350万円前後だと言われています。
しかし、林業の年収は地域や働く事業体によっても大きく変わってきます。
地域によって年収が異なるのは、それぞれの地域で林業の経営状況が違うからです。
例えば、世帯当たりの経営面積が狭い林家の割合が高い県があれば、面積の広い林家の割合の方が高い県もあります。
また、仕事をする上で欠かせない林道などのインフラ整備がしっかりと行き届いている地域、逆に整備が不十分なために作業コストが必要以上にかかってしまう地域もあります。
一般的には、世帯当たりの経営面積が広く、作業に関わるコストが抑えられる地域が良い経営状況になっていることが多いでしょう。
吉野杉や東農ひのきなどのように、樹木がブランド化されている地域もあります。
そのような地域では木材の販売による収入金額も高くなり、儲かりやすい傾向にあります。
後にも紹介しますが、勤める事業体や職種によっても年収に違いが出てきます。
実際に自分が働こうと検討している地域や事業体がどのような状況なのか確認するようにしましょう。
林業の年収・給料の構成要素
林業の給料体系には月給制、日給月給制、日給制の3種類があります。
月給制は欠勤の有無に関わらず固定的な金額を支給する制度で、一般的に馴染みがあり、多くの企業が採用している制度です。
林業においては、森林組合の事務職員や製材工場、商社などの事業体は月給制を採用していることが多いかもしれません。
日給月給制は1日を計算単位として給料が定められ、その支払いを毎月1回まとめて行う制度です。
欠勤、遅刻、早退による賃金控除が可能になります。
日給制は出勤した日数に対して給与が支給される制度で、1日の定額で労働日数分が支給されます。
日給月給制や日給制は林業作業員の給与体系の中では最も一般的なものになります。
近年は月給制を採用する事業体も増えてきましたが、まだまだ日給月給制、日給制をとっている事業体は多く存在します。
これは、林業の仕事内容が天候に影響を大きく受けてしまうことが関係しています。
いくら作業者の身体が健康で、仕事の事前準備をしっかりしていたとしても、大雨や大雪、強風になると仕事は休みになってしまいます。
これは単純に悪天候下で行う作業は大変危険であり、仕事の作業効率や能力も極端に低下してしまうからです。
このような背景もあって、昔から林業では日給月給制が採用されてきました。
しかし現在は、後継者の不足などにより新規林業従事者を確保していかないといけない状況にあります。
定額の収入を保証して安心して働いてもらうために、月給制へと改定していく動きが少しずつ広がってきています。
月給制においては「基本給」「歩合」「ボーナス」の構成になっている場合が多いです。
日給月給制では「日当」「歩合」「ボーナス」という構成になります。
基本給・歩合はどれくらい?
基本給は月16万円~20万円くらいのところが多いでしょう。
余程の人手不足か労働環境の悪い事業体は、相場よりも高めに設定していることがあります。
歩合は仕事の出来高に応じて支給されることがあります。
例えば、決められた期間内に設定数量以上の木材を生産したり、設定面積以上の範囲の間伐を終わらせるなど、出来高に応じて給与にプラスされます。
月に1万円~3万円がプラスされる程度で、大きなウェイトを占めることはあまりないでしょう。
林業全体で見ると、歩合制度を採用していない事業体の方が多いと思います。
日当はどれくらい?
日当は1万円前後のところが多いでしょう。
事業体によっては半日単位で計算してくれるところもあります。
日給月給制は、GW、盆、正月など連休の多い月は収入が少なくなってしまうので注意が必要です。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与(ボーナス)は夏と冬合わせて2ヶ月分あればいい方だと思います。
賞与制度がない事業体も多くあるので、事業体を検討する際には月給だけで判断せずに想定年収を確認しましょう。
賞与のアリ・ナシだけでなく、過去の支給実績が何ヶ月分あったのかを確認することも大切です。
各種手当てはどういったものがある?
林業の各種手当は事業体によって様々です。
自宅から事業所までの交通費を支給してくれるところは割と多いと思いますが、上限付きのところがほとんどです。
場合によっては自宅から仕事現場に直行直帰するパターンもあり、交通費の計算はその状況に合わせて変更されます。
その際には自家用車で現場へ通うことになるので、事業体によっては車両手当を支給してくれるところもあるでしょう。
林業特有の手当で言えば「機械手当」というものがあります。
事業体によって異なりますが、自己所有のチェーンソーや刈り払い機を使用した場合に「機械手当」という名目で支給されることがあります。
手当金額は1日当たり500円前後が一般的な相場だと思います。
これを毎日積み重ねれば相当な金額になりますが、機械が故障したときの修理代、消耗品の交換費用、新しい機械の買い替えなど、実際には出ていくお金も少なくありません。
チェーンソーが木の下敷きになってぐちゃぐちゃになってしまったり、刈り払い機の柄が折れてしまうなどは仕事をしていると頻繁に起こり得ることです。
機械を大切に扱い、ある程度自分で修理ができる人、状態の良い中古品を探すのが得意な人にはメリットの大きい手当かもしれません。
その他には管理職手当などがあります。
現場の責任者であれば班長手当、事務方でも管理職であれば手当が支給される事業体もあるでしょう。
手当を含めてが毎月の収入になるわけですが、求人募集要項には手当の具体定な金額や詳細を明記していないことが多いと思います。
面接時にきちんと確認し、収入と支出を計算した上で働く事業体を決めるようにしましょう。
林業の年収を新卒や雇用形態別に見る
ここでは、林業の年収を入社のタイミングや雇用形態別に見ていきます。
新卒の場合の林業の年収
新卒の場合の年収は210万円前後になります。
公務員やある程度規模の大きな事業体を除いては、高卒、大卒の年収にはあまり差がありません。
現場作業員であれば特に学歴は関係なく、高卒、大卒はほぼ同額の給与になるでしょう。
社会人が転職する場合の林業の年収(正社員)
社会人が転職する場合も特別な理由がない限り、未経験者であれば新卒と同じように210万円前後になるでしょう。
管理職候補(経験者)や新規プロジェクトの担当者など特別な経験や能力を必要とする募集であれば、高額な年収になるかもしれません。
しかし、そのようなケースは現場作業員ではなく、デスクワークや営業活動がメインの仕事になるでしょう。
林業経験者、他の林業事業体からの転職者であれば、交渉次第で新卒の年収より多くなると思います。
パート・アルバイトの場合の林業の年収
林業において、時給計算のようなパート・アルバイトの募集を見かけることはあまりありません。
日当で計算して支給することがほとんどで、9,000円前後の場合が一般的でしょう。
未経験者をパート・アルバイトで雇用する場合は、測量の補助や枝打ち、地拵えなどの簡単な作業が多く、期間を限定して雇用することが多いです。
人手が足らないときには定年退職者に声をかけて、パートとして仕事を依頼することも頻繁にあります。
林業は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
年収が低いイメージのある林業ですが、年収1,000万円以上を稼ぐ人たちもいます。
しかし、森林組合や一般的な林業作業会社に普通に勤めながらでは、いくら一生懸命に働いても難しいかもしれません。
1,000万円を目指すなら独立起業するなどして、従来の仕事方法を覆すことが必要だと思います。
実際に1,000万円を稼いでいる経営者や個人事業主のほとんどは、独自の作業システムや販売ルートを築き上げています。
少し変わった例ですが、徳島県に「株式会社いろどり」という会社があります。
そこには、森林にある葉っぱを集めて全国の旅館や料亭に販売し、年収1,000万円以上を稼いでいる高齢者が沢山存在しています。
あまり知られていませんが、森林で樹木を伐採するだけでなく、薪や炭、きのこなど林産物の栽培も林業の仕事になります。
林業は整備されていない部分や、古くから変わっていないような体質がまだまだ沢山あります。
アイデア次第で誰でも稼ぐチャンスがある業界だと思います。
林業はどのような勤務先だと年収が高くなるか?
これまでは林業の仕事の中でも、主に現場作業者の仕事を中心に解説してきました。
実際に林業の仕事というと現場作業のことを指すことがほとんどだと思います。
しかし、林業に関連する仕事は多岐にわたります。
勤務先や職種によっては現場作業よりも年収が高くなることがあります。
それらの例をいくつか紹介します。
木材関係の商社で働く場合の年収
木材を取り扱う商社の中でも、原木の取り扱いがある会社は林業と密接な関わりをしています。
一般住宅に使用する木材製品や公共の大型木造建築物など、これらをつくるために必要な原木をメーカーの代わりに調達しているのが商社です。
企業によってはグループ内で木材メーカーや製材工場を経営しているところもあります。
また、近年は原木の海外輸出も盛んに行われており、商社が力を入れている取り組んでいる分野でもあります。
商社で働くと職種は営業職になるでしょう。
自社で発注した林業作業の進捗管理をしたり、元請けとして工事責任者をすることもあります。
林業関係の会社で、特に年収が高いと言われている某有名商社の平均年収は750万円前後です。
他の商社を加味して全体で見ても、木材関係の商社の平均年収は500万円以上になると思います。
当然ですが、名の通った商社であれば入社するのは簡単ではなく、大学卒業、就職活動を経て入社するのが一般的なルートになります。
製材会社、製紙会社などで働く場合の年収
製材会社や製紙会社のようなメーカーで働く人の大半は、林業と直接関わることはありません。
商社を経由して原材料を調達するメーカーであれば尚更です。
しかし、原材料を自社で調達する会社の部署や担当者は、林業と深く関わって仕事をする必要があります。
自社で原材料を調達する場合は、原木市場で購入したり、森林組合や山林経営者、林業作業会社などから直接買取をします。
ある程度規模のある企業であれば自社山林を所有していることもあり、そこから伐り出して調達することもあります。
自社林から伐り出すにも素材生産の作業が当然必要です。
また、それ以前に森林を育てる作業(植え付け、下刈り、除伐、間伐など)を何十年間も続けていかなければいけません。
森林組合などに外注するケースが多いようですが、中には自社で作業班を構えている会社もあります。
その場合には、製材会社や製紙会社の社員として森林組合の作業員と同じように林業作業に従事することになります。
製材会社や製紙会社で働く場合の平均年収は460万円前後です。
林業全体の平均年収と比較すると高めの水準になっていますが、林業と関わりのない部署も合わせた平均値になります。
国家公務員で働く場合の年収
国家公務員の林業の仕事で、代表的なのものに「森林官」という職種があります。
森林官は、林業や森林に関する専門的な知識を備えたプロフェッショナルとして国有林などを管理運営する国家公務員です。
主な業務内容は国有林を健全に維持するための企画策定。
例えば森林伐採計画や植林計画の策定、林道の建設などです。
他にも、森林窃盗や不法投棄、植物の不法採取などの取り締まり、国有林内にあるキャンプ場やレクリエーション施設の管理など幅広く活動します。
林業に関する国家公務員ですが、平均年収は国家公務員全体の平均と変わりはありません。
最新のデータによると、国家公務員の平均年収は680万円前後とされています。
地方公務員で働く場合の年収
林業関係の地方公務員は県や市町の林業専門職員として働くことになります。
国家公務員が国有林を管理しているのに対して、地方公務員は民有林の管理などを担当しています。
自治体が所有している山林管理のほかに、管轄地域の林業を活性化させ、発展させていくための様々な取り組みを行っています。
また、山崩れの復旧や土石流により荒廃した渓流の整備や、山地災害の未然防止など、安全性の確保に努める業務もあります。
年収は国家公務員と同様に、林業系の職員であっても地方公務員全体の平均年収と変わりません。
最新のデータによると、地方公務員の平均年収は630万円前後とされています。
地方公務員や国家公務員として働く場合は、公務員採用試験に合格する必要があります。
公務員採用試験は競争率が非常に高く、合格して公務員として働くためにはそれなりの努力と時間が必要になります。
近年、都道府県の林業課などにおいては、社会人経験者の採用を積極的に行っています。
民間の林業会社で社会人経験を積んだ後に、公務員の道にチャレンジするのも一つの選択肢です。
原木運搬専門の運送会社で働く場合の年収
山で伐採した原木は山林内や山土場で丸太に加工されます。
加工された丸太はトラックに乗せられて、原木市場や製材工場などに運ばれていきます。
伐採業者が運搬するケースもありますが、ほとんどは専門の運送会社の仕事になっています。
4トン車、10トン車、大型トレーラーなど、通行する道幅や運搬する原木の形状に合わせて様々な車両を使用します。
グラップル(原木を掴むためのアーム)が付いている車両もあり、それを操作して運転手自らが原木を積み降ろしこともあります。
年収は運転手さんの働き方によって大きく変わってきます。
毎日決まったところへ決まった便数運んで終わりの人もいれば、自宅にほとんど戻ることなく、車中泊をしてあちこち走り周る人もいます。
仕事がある限りやった分だけ収入を増やすことができるため、通常の林業作業と比較すると平均年収は高くなります。
正確なデータはありませんが、平均450万円以上は稼ぐことができると思います。
林業の年収の決まり方や、年収が高い人の条件・スキル・特徴は?
林業も他の産業と同様に、個人の働く条件やスキルによって年収に差が出てきます。
いくつか紹介するので参考にしてみてください。
コンピューター・エンジニアなどのスキル・経験がある
自然を相手にする林業の仕事においても、最近はITの活用が進められています。
最新のテクノロジーを駆使して業界を活性化させる「スマート林業」という取り組みもその中の一つです。
「スマート林業」とは、IT技術を活用して森林の管理を効率化、情報化する取り組みのことです。
例えば、これまで人海戦術で行っていた森林の調査や測量を、人の代わりにドローンを使用することが推奨されてきています。
また、森林の状態を調査した結果をデータ化したり、木材の直径や長さを機械で読み取って木材の在庫管理に生かすなどの取組みも、徐々に広がりを見せています。
「スマート林業」が推進されている背景には、全国的な林業就業者の人手不足が関係しています。
全国各地で林業を行う人が減っており、人材育成だけでなく作業の効率化とコスト削減も同時に求められるようになっているからです。
これまでIT化が遅れ気味であった林業だからこそ、急ピッチでITの活用が求められるようになっているのです。
コンピューターやエンジニアなどのスキル・経験があれば専門的な仕事を担うことができ、年収も高くなるでしょう。
営業職・企画職などのスキル・経験がある
林業とは、木を育て、森を作り、育った木を切って売る産業です。
しかし、実際に林業で働いている人の多くは、この「売る」仕事が得意ではないように思います。
近年は国や都道府県の補助制度もあり、大型の製材工場や加工施設が全国各地に新設されています。
バイオマス発電施設もかなりの数が建設され、国産材の需要が数十年ぶりに大きく高まっています。
しかし、本来は並行して木材の素材生産量を増やさないといけなのですが、人手不足やインフラ整備の問題で原材料の供給が追い付いていない状況にあります。
製材会社や木質チップの製造会社は、必要な原材料を安定的に集めることができずに困っています。
林業従事者からすると、売り手市場の今こそ売り上げや収益を上げるチャンスです。
しかし、需要が高まっている割には、あまり高い金額で売れていないことがよくあります。
せっかく沢山伐採しても、樹種や長さ、品質などが、製材工場が求めているものと違うことが一つの要因です。
木材製品(需要)のトレンドは、想像以上に短いスパンで変わります。
需要側としっかりとコミュニケーションをとり、正確な需要を把握してそれに答えるための素材生産を実施することが必要です。
また、林業の仕事は国の政策が大きく影響するため、木材流通の道筋がある程度決められています。
林業を活性化させるための政策なので、これに乗っかることももちろん大切ですが、収益を増やし自らの年収を上げるためには新しい独自の取り組みも必要になります。
林業の業界ではこのような営業力、企画力のある人材が求められています。
経営者としてのスキルがある
林業の平均年収は350万円前後だと紹介しました。
森林組合や林業作業会社で雇われながら現場作業者として働くのでは、この平均年収を大きく上回ることは難しいと思います。
自分の力で年収を増やしたい場合は、独立起業するのも一つの方法でしょう。
会社を起業すると自分で仕事を取ってこなければいけません。
伐採などの作業請負を専門にするならば森林組合や関連事業体への営業活動が必須です。
もっと稼ぐことを意識するのならば、自分で山林や立木を購入して、切った伐採した木を自分で販売していくのも良いでしょう。
その場合、山林や立木を査定する能力、利益の出る価格で購入するための交渉力が必要になります。
高く販売するために売り先の開拓もしなければいけません。
他にも経理や労務など、やらなければいけないことは沢山あります。
しかし、経営者としてのスキルが備わっていれば、雇われて働くよりも年収を高められる可能性はあるでしょう。
1人親方(個人事業主)であればチェーンソーや刈り払い機があれば良いですが、会社を立ち上げる場合は重機等を揃える必要も出てきます。
重機一式を揃えると億単位の費用が必要になります。
しかし、林業は全国的に人手不足の状態です。
新規参入者に対しては国の助成度が充実しています。
ある程度別の会社で経験を積んだ後に、補助制度などを活用して独立起業してみてはいかがでしょうか。
特殊伐採のスキルを持っている
「特殊伐採」という言葉、聞いたことがある人は少ないと思います。
特殊伐採とは、簡単に言えば立ち木を倒さないで伐採する方法です。
建物の近くや電線の近くで木を倒して伐採してしまうと、建物に損傷を与えたり電線が切れてしまったりする可能性があります。
これを防ぐため、ロープなどを使って樹上に上がり、枝などを落としながらゆっくりと伐採していく方法のことを言います。
最近は需要が高まり、サービスを提供するところも増え、それに特化した事業体も出てきました。
しかし、特殊伐採はかなり高度で洗練された技術を必要とします。
安全に計画通りに作業を完了するには、相応の訓練と沢山の経験値が必要になります。
その代わり特殊伐採での仕事単価は高く、1日に複数の仕事をこなす人には年収1,000万円を稼ぐ人もいます。
特殊伐採の専門家として仕事をするには、常に需要のある地域で暮らす必要があります。
林業作業者をしながら特殊伐採の技術を習得して、副業として取り組むことで年収を上げることも可能です。
樹木医の資格を持っている
樹木医とは、病気になった樹を治療する樹木のお医者さんです。
国家資格ではありませんが、樹木医を名乗って仕事をするには資格試験に合格する必要があります。
現状では樹木医1本で食べていけるだけの需要はありませんが、副業として活動すれば年収を上げることができます。
林業で年収をアップさせたい人がやってほしい3個のこと
林業は、働いた期間に応じて右肩上がりに年収がアップしていくような業界ではありません。
年収をアップさせたければ、特別なスキルを身につけるか、新しいことにチャレンジしていく必要があります。
業界、社会全体に広く目をむける
何も意識せずに林業作業者として山の中で仕事をしていると、いつの間にか視野が狭くなり世の中の流れから取り残されてしまいます。
ゆったりと時間が流れる空間で仕事ができることが林業の魅力の一つですが、年収をアップさせるにはそればかりではいけません。
まずは自分たちが育て収穫した原木を購入して使用する側のことを勉強しましょう。
原木市場に行って木材のトレンドを確認し、製材工場の人たちに直近の需要や木材流通状況を教えてもらいましょう。
デイリー、ウィークリーで発刊される木材専用の新聞もあるので、それを購読するのも良いでしょう。
業界の最新状況を知ることで、それに応じた造材、販売をすることができ、木材収入のアップに繋がります。
また、業界の中だけを見ていては、これまでの林業を覆すような新しいアイデアは生まれません。
年収をアップさせたければ、都会で活躍している会社員と同じようにアンテナを張って世の中の変化に敏感になることが必要です。
資格の取得、特殊なスキルを身につける
林業に関する資格や免許は沢山存在します。
仕事をする上で欠かせない資格はみんなが持っていますが、ニッチな資格を持っていれば年収アップに繋がります。
土木関係や建設関係の資格を持っていれば、山に道を入れる工事や簡易事務所建設の時に活躍ができます。
機械整備の資格があれば、他の作業班や他社の林業機械の整備も頼まれるようになるかもしれません。
資格を持っていても現職の事業体では手当が少し貰えるだけかもしれません。
しかし、もっとニーズの高い事業体があれば、転職することで収入をアップさせることも可能になります。
働きながら特殊伐採や樹木医のような特殊なスキルを身につけることにも取り組んでほしいと思います。
副業をする
年収をアップさせるために副業というのはおかしな話ですが、林業で副業をするのは割と一般的なことです。
林業は残業がなく、時間に融通がききます。
雨や雪が降ると仕事は休みになるし、日給月給制なので比較的自由に休みも取得できます。
空いた時間を利用して伐採後の不要な原木でしいたけを栽培したり、特殊伐採の仕事を請け負ったり、庭木の剪定やハチの巣駆除などをしている人もいます。
副業と言ってもコンビニのレジ打ちやチラシ配りなどではなく、林業と関わりのあることが多いのです。
近年はインターネット上でも仕事ができる環境が整っています。
林業や田舎暮らしについてのブログを作成したり、山で採集した葉っぱや木の実をインターネット上で販売するような副業もあります。
林業作業だけで年収を上げることはなかなか難しいかもしれませんが、副業も合わせてトータルで収入をアップさせることも検討してみてください。
これから林業に就く人へのアドバイス
日本は国土面積の約70%を森林が占めており、先進国の中では有数の森林大国です。
戦後に植林された人工林が成熟期を迎え、ようやく伐って使う時代に突入しました。
林業を成長産業化させようと、国の政策や取り組みにも力が入っています。
林業で多くの収入を得ている人はまだ少ないですが、やり方次第で充分稼ぐことができる仕事だと思います。
林業には多くのチャンスが眠っているのです。
林業の現状をしっかり把握し、将来的にどうやって収入を増やしていくのか明確なビジョンを持って林業を始めてほしいと思います。
ビジョンがあればチャンスは味方するでしょう。
さいごに
林業の給与や年収について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
皆さんの林業就業に役立つことができていれば幸いです。
最終更新日:2019年11月8日