パティシェの給料を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
誕生日、記念日などお祝い事の際にテーブルを彩ってくれるケーキ。
甘くて綺麗で美味しいケーキは、見ているだけでも幸せな気分になりますよね。
そんなケーキを作る職業が「パティシエ」です。
子供たちにも大人気、ドラマや漫画の題材に選ばれることも多いパティシエですが、華やかなイメージとは裏腹に厳しく地味な仕事でもあります。
大好きなケーキを作って日々を過ごせたら・・・そんな気持ちでパティシエの道を選んだにも関わらず、3年以内の離職率は80%を超えているとも言われています。
離職の理由に挙げられることが多いのがそのお給料事情。
パティシエの道に進むのなら、まずはお給料についてある種の「覚悟」が必要です。
今回はパティシエのお給料について徹底解説していきましょう。
パティシェの年収は300万円が相場
パティシエという仕事は、メディアで取り上げられているような華やかな世界にいる人はほんの一握りです。
ほとんどのパティシエは毎日同じ職場で、同じ作業を繰り返しています。
ケーキを作る仕事は毎日同じクオリティで同じものを作り出さなければいけない仕事ですので、一番必要なのは「忍耐力」です。
お給料面についても最初は忍耐が必要。
パティシエの平均年収は約300万円ほどと言われています。
しかしこの中には腕を評価されて一般的なサラリーマンより稼いでいるパティシエも含まれていれば、月給15万円ほどの見習いパティシエも含まれています。
お給料の幅がとても広いのがパティシエの世界です。
パティシェの年収・給料の構成要素
次にパティシエの給料を構成する要素を見ていきましょう。
パティシエの年収は「基本給」「残業代」「役職手当」「ボーナス」で構成されている場合が多いです。
基本給・残業代・役職手当はどれくらい?
まず知っておきたいのが、残業代や役職手当は出ないお店もかなりあると言うことです。
パティシエと言う仕事は生の食品を扱うことから労働時間が長くなりがち。
朝の6時から出社して、仕事が終わるのは夜の9時10時というのはよくある話です。
私はパティシエとして働き始めて15年の中堅ですが、一般の仕事のように労働時間が8時間と言うパティシエに出会ったことはありません。
では、その超過して働いた時間分の残業代が支給されるのか?と言われると必ずしも残業代が出るお店ばかりではありません。
どれだけ長い時間働いても基本給のみというお店もまだまだ多いですし、最初から「見込み残業」として、超過分を時間給として計算するのではなく決まった額だけ上乗せされる場合も。
残業代を全く払わず、従業員の労働時間を管理しないお店は正直少なくありません。
それでもそのお店の味が好き、そのお店でケーキ作りを学びたいという新人パティシエたちがいるのです。
新人の場合のお給料は15万円~18万円の間が相場です。
店長などお店を任されるようになり、役職手当がつくようになれば1万円前後の金額が上乗せされるでしょう。
基本給はもちろんお店によってまちまちですが、基本給=支給総額というところも少なくないのが現状です。
パティシエの世界で安定してしっかり稼ぎたいと思うのなら、お店選びはとても重要。
しっかりと従業員の生活を守ってくれる職場を選ぶことが大切です。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与は支給される会社と支給されない会社があります。
一般的には正社員であれば賞与が支給されるのが当然ですが、パティシエの世界ではないことの方が多いです。
母体が大きな会社であれば賞与をもらえることもありますが、個人店ではあまり期待できません。
支給される額もお店によってまちまちです。
しっかりと基本給の何ヶ月分をいただけるところもあれば、10万円以下というお店や寸志である場合も。
僅かなボーナスであっても無いよりはマシ、と言うのがパティシエの世界での共通認識です。
各種手当はどういったものがある?
私は個人経営のケーキ店で働いてきたので、役職手当以外の手当は見たことがありません。
おそらく大きな会社が経営するケーキ店・洋菓子専門店であれば、住宅手当や交通費がしっかりと支給されるところもあるでしょう。
ケーキ店に勤めながら、各種手当も貰いたいのなら、会社の大きさで選ぶようにしましょう。
パティシェの年収を新卒や雇用形態別に見る
続いてパティシエの年収を経験や雇用形態別にご紹介していきましょう。
パティシエの雇用形態も近年変化を見せており、派遣社員や時短社員なども増えています。
新卒の場合のパティシエの年収
まずは新卒の場合の年収です。
おそらく、製菓の専門学校を卒業してケーキ店へ入社するという方が多いでしょう。
新卒の場合は月給15万円~18万円の間である場合がほとんどです。
個人店の場合は賞与が支給されるところが多くないので、年収は200万円に満たないこともあるでしょう。
18万円の月給で賞与が貰えたとしても2、30万円あれば良い方だと思います。
高校を卒業後専門学校を経由せずに入社した場合と、専門学校を出て入社した場合とでは殆ど差はありません。
知識や経験はもちろん大切ですが、それよりもやる気と忍耐力が重視される世界です。
社会人が転職する場合のパティシエの年収(正社員)
続いて正社員で転職する場合の年収です。
同業種からの転職の場合は前職での役職やお給料面である程度保証してくれるところもあります。
が、前職の給与は全く考慮してもらえないこともあるので転職は慎重に行うべきです。
技術・経験が充分にある人でも、最初は月給22万円前後からのスタートとなるでしょう。
全くの他業種から転職する場合は、年齢が何歳であっても新卒と同じお給料からのスタートです。
働きぶりによって昇給のスピードがアップすることはありますが、スタートラインは同じと考えておきましょう。
パート・アルバイトの場合のパティシエの年収
パート・アルバイトでパティシエとして働く場合、ほとんどがフルーツをカットしたり洗い物などの簡単な作業になるでしょう。
時給は900円程度のことが多いですね。
パティシエのアルバイトだけで生活していくのは厳しいですが、洋菓子に少し関わりたいと言う方や、ダブルワークでと言う方にはおすすめです。
お給料は働いた分だけになるので、年収がいくらになるかは一概には言えません。
しかし、あまり高い年収はやはり期待できませんね。
派遣社員の場合のパティシエの年収
一昔前では考えられませんでしたが、パティシエの世界も、近年は派遣社員として働く方がいます。
派遣社員ですので時給制で、働いた分だけお給料が貰える仕組みです。
時給は1,300円前後のところが多いですね。
派遣社員に賞与はありませんので、年収は270万円前後となるでしょう。
決して高い金額ではありませんが、派遣社員は派遣会社が間に入るので、サービス残業などはありません。
自分の時間を守りながらパティシエとして働きたい方、働いた分はしっかりとお給料をいただくという権利を守りたい方にはおすすめの働き方です。
パティシェでは、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
パティシエは完全に自分の腕の世界です。
腕が良ければ独立をし、自分のお店を持つことで、一般的なサラリーマンを超える年収を稼ぐこともできる夢のある仕事です。
お店を流行らせることができる手腕がある人で年収3,000万円、5,000万円のパティシエもいます。
一方、独立を目指すのではなく会社に所属して出世を目指す方なら、店長として稼げる年収は400万円前後が最高金額と言えるでしょう。
お店の売上や会社への貢献度にも左右されますが、雇われている会社員としての立場であれば、あまり稼ぎは良くありません。
パティシェではどういった勤務先だと年収が高くなるか?
パティシエとして年収を上げるためには、働き口の選び方がとても大切です。
どのような働き先であれば年収が高くなるのでしょうか。
ご紹介していきましょう。
個人のケーキ店で働く場合の年収
パティシエとして最も多い就職先が個人のケーキ店です。
個人のケーキ店での年収は、パティシエの働き先の中では最も低いと思って間違いありません。
新人の頃は200万円前後、その後じわじわと昇給していくかたちが多いでしょう。
個人のケーキ店は給料は低いのですが、オーナーから直接技術を学べるというとても大きなメリットがあります。
個人店で腕を磨いてから他の会社へと移っていく方も多いです。
チェーンのケーキ店で働く場合の年収
チェーン展開しているケーキ店で働く場合は、個人店よりも給与は高くなります。
新人の月給も16万円〜18万円くらいからのところが多く、賞与も貰えることが多いでしょう。
新人時代の年収は230万円~260万円ほど。
店長クラスになると、月給40万円以上というお店も少なくないでしょう。
個人店で月給40万円以上というのはかなりレアなケースになるので、出世を目指してしっかりと稼ぎたいのならチェーン店がおすすめです。
カフェで働く場合の年収
近年はカフェにも専門のパティシエがいる場合が多くなっています。
カフェのパティシエは出世を目指すということが難しくなるので、年収の上昇はあまり見込めません。
とは言え、新人の頃から生活に困るほどのお給料ではないと言えるでしょう。
20万円前後からのスタートになり、最高でも25万円ほどの月収になることが多いです。
レストランで働く場合の年収
レストランの中にも専属のパティシエがいる場合があります。
実はここは狙い目です。
専属のパティシエをおくレストランは高級志向なので客単価が高く、比例して従業員の年収も上がります。
コース料理の最後の「デセール」と呼ばれる皿盛りのスイーツを作る技術が必要な職種です。
月給はこちらも20万円ほどからのスタートとなるでしょう。
賞与も支給される場合が多いので、年収は300万円前後となるでしょう。
ホテルで働く場合の年収
パティシエの働き口にはホテルも挙げられます。
ホテルのパティスリーではケーキ店よりも多くのパティシエが働いており、ショーケースに並ぶケーキはもちろん、コース料理の最後を彩るケーキを制作しています。
将来的にしっかりと稼ぎたい方にはホテルもおすすめの職場です。
新人の頃は月給17万円くらいと個人店との差はありませんが、上を目指していけるという点で異っています。
こちらも現場責任者クラスになれば月給40万円、賞与も貰えて年収は500万円を超えることもあるでしょう。
結婚式場で働く場合の年収
パティシエは結婚式場でも欠かせない存在です。
結婚式場のパティシエは、通常のケーキ店とは少し違う技術を求められます。
マジパン細工やアメ細工など更に細やかで華やかな技術を求められることが多く、新郎新婦との打ち合わせに出席をしたりとケーキ作り以外の仕事も増えます。
仕事内容が増える分、年収もパティシエ業界の中では高い傾向にあります。
新人の頃でも20万円前後からのスタートとなり、賞与も貰える場合が多いです。
年収は280万円〜といったところでしょうか。
こちらも現場責任者やパティシエたちを束ねるシェフ・パティシエなどになれば、年収500万円に届くことも少なくありません。
これからパティシエになる人へのアドバイス
パティシエのお給料事情はとても厳しいものと噂されていますよね。
それは本当のことで、パティシエたちのお給料は決して多いとは言えません。
その代わり、一生失うことのない技術を身につけることができるのもパティシエの魅力です。
お金は生きていく上でとても大切なものですから、たくさん稼ぎたい!という方はまずケーキ作りの腕を磨く期間を設けなければいけません。
それが新人時代です。
新人の時代に給与が低くても腐らず、オーナーや先輩パティシエの技術を盗む心がけが必要です。
お店の経営術や営業のノウハウを学ぶことも大切です。
お給料が低い代わりに、そのような貴重なことを学べる時間だと思ってくださいね。
最後に
今回はパティシエの世界のお給料事情についてご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
ケーキ店での仕事は決して高給取りとは言えませんが、自分で作ったケーキを売る経験や新しいものを作り出す喜びに溢れた魅力的な仕事です。
しっかりと良い職場を選べば、給与は低くとも充実した毎日を送れるはずです。
そしてそこで学んだ技術や経験が、将来必ず役に立つはず。
ぜひパティシエとしての一歩を進んでみましょう。
最終更新日:2019年7月30日