航空管制官の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
今回航空管制官のお仕事や年収等について記載を致します。
航空管制官は非常に責任が重くやりがいのある仕事であると共に国家公務員であるため、身分が保証されます。
また、女性の産休や有休など福利厚生もしっかりしているところも魅力です。
但し、勤務先は全国各地であるため転勤があることや、24時間勤務の場合深夜も含めた交代制の仕事があるなどの事情についても、ご説明をしたいと思います。
航空管制官の平均年収は585万円が相場
航空管制官の平均年収は585万円が相場となります。(専門行政職俸給表から算出)
また年代別の平均年収額は以下の通りです。
- 20代:約375万円
- 30代:約490万円
- 40代:約620万円
- 50代:約690万円
航空管制官の年収・給料の構成要素
航空管制官は国家公務員となり、給与については専門行政職俸給表という資料から調べることができます。
給与構成は月給と賞与となっており、それに加えて各種手当が加算されます。
基本給・能力給などはどうなっているの?
基本的には勤続年数や年齢に基づき、専門行政職俸給表において何号俸になるかが決定されます。
国家公務員であることや職種柄、年功序列の給与構成となっております。
また年代別の平均月収額は以下の通りです。
- 20代:約24万円
- 30代:約31万円
- 40代:約39万円
- 50代:約43万円
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与については年に2回支給されます。
賞与の平均額は2回合わせておおよそ145万円です。
また年代別の平均賞与額は以下の通りです。
- 20代:約94万円
- 30代:約122万円
- 40代:約155万円
- 50代:約172万円
各種手当はどういったものがある?
- 扶養手当:扶養親族がいる場合、月額約10,000円が支給されます。
- 住居手当:賃貸アパートや借家などに住んでいる場合に、月額最高27,000円が支給されます。
- 通勤手当:公共交通機関を利用する場合、月額最高55,000円が支給されます。
- 管制手当:羽田勤務者の1,350円/日をはじめ、勤務先によって800円/日~3,000円/日の間で管制手当が支給されます。
航空管制官の業務別の年収の違いはあるの??
航空管制官の職場は、主に札幌・東京・神戸・福岡の4カ所にある航空交通管制部、または全国各地の空港となります。
航空交通管制部の業務については航空路管制業務と呼ばれ、主にレーダーと無線を用いて航空機を誘導する業務となります。
また全国各地の空港では、管制塔にて飛行機の離着陸の指示を与える飛行場管制業務がメインとなります。
なお、空港によっては、航空路管制業務と飛行場管制業務との間の橋渡しを行うターミナル・レーダー管制業務が存在する空港もあります。
航空管制官の場合は年功序列の給与構成となっているため、航空交通管制部または全国各地の空港で働く場合、勤務先によらず勤続年数に準じた同様の年収となります。
航空管制官は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
国際民間航空機関(ICAO)に出向という形で、海外駐在をする場合年収1000万円程の金額も目指すことも可能です。
国際民間航空機関の本部はカナダのモントリオールにあり、民間航空の安全で且つ効率的な運航に寄与する国際標準の制定や国際的指針の取りまとめなどを行っています。
日本をはじめ各国が政府代表部を置き、航空委員会、理事会や総会といった意思決定・執行機関があるのもこのカナダの本部です。
航空管制官はごく少数ですが、優秀な人材が選抜されて、この国際民間航空機関に出向し業務を行います。
通常の航空管制官としての最高年収の目安は約750万円程度となります。
航空管制官はどういった勤務先だと年収が高くなるか?
上記の通り、航空管制官の場合は年功序列の給与構成となっているため、航空交通管制部または全国各地の空港で働く場合、勤務先によらず勤続年数に準じた同様の年収となります。
なお、ごく限られたケースではありますが、国際民間航空機関に派遣される場合、駐在手当等も相まって一般の航空管制官より年収は高くなります。
航空管制部および全国の空港で働く場合の航空管制官の年収
通常の航空管制官となり、平均年収は585万円程度となります。
基本的には年功序列の給与構成で、年次が上がるにつれて以下のように役職も付与されていきます。
まず、約10年後の主任航空管制官では、若手の代表として管制業務を実施する他、後輩の指導や育成も実施します。
約16年後 主幹航空管制官では、昇任に係る所定の研修を修了した後、主幹航空管制官に任命されます。
主幹航空管制官は先任航空管制官、次席航空管制官に対する補佐すると共に、管制業務においては中心的存在となります。
約25年後 次席航空管制官では、当該人物の能力・適性・勤務成績等を考慮し管理職に昇任します。
次席航空管制官については、先任航空管制官を補佐すると共に、チームの統括者としてマネジメントを行います。
給与もだいぶ変わってきます。
約30年後 先任航空管制官:航空管制官の統括責任者として、部下の管理監督を行います。
なお上記の通り、航空管制官の場合、基本的には年功序列の給与構成となっておりますが、給与に影響する要因は実は外的要因もあります。
例えば、昨今のコロナ渦の影響により国の航行援助施設料や通貨料が減収となることで、航空管制官の給与に影響することも考えられます。
国際民間航空機関(ICAO)で働く場合の年収
国際民間航空機関に派遣される場合、駐在手当等も合わせて推定1000万円程の年収となることが想定されます。
これから航空管制官になる人へのアドバイス
航空管制官となる覚悟について
航空管制官という仕事は、国土交通省に所属する国家公務員として、航空機が安全に離着陸し、また当該の飛行機が他の飛行機や物件に接触せずに安全に空を飛べるよう、パイロットに対して指示や情報を与える仕事です。
計器飛行方式の場合、上空には沢山の航空機が同じ時間に1000ft(300m)間隔で飛んでおり、計器の故障やパイロットのミスなどで万が一衝突するようなことがあったら大きな事故に繋がってしまいます。
そのような事態を防ぐため、航空管制官は各航空機のパイロットに進路や高度をはじめとする様々な指示や許可を出し、各航空機が安全にフライトができるように空の交通整理を行います。
そして何か突発的なトラブルが発生したときにも、航空管制官はすぐに状況を把握した上でパイロットに的確な指示を出す必要があります。
航空機を実際に操縦するのはパイロットですが、実際に航行を担当しているのは航空管制官であるという部分もあり、大勢の乗客や乗務員の命を預かるという重大な役目を担っています。
これから航空管制官にはこのことに対する覚悟が求められます。
また勤務先によっては業務自体も忙しく、航空機の過密で、一時的に適正と言われる許容量の140%程度の業務量をこなさなければならないような場面も出てくることもあります。
転勤について
航空管制官には転勤がつきものです。
転勤は数年ごとに全国規模で行われます。
基礎研修を修了すると研修生のそれぞれが全国の管制機関への赴任を命じられますが、赴任地は個人の希望で決まるものではありませんし、出身地の空港でずっと働きたいといった希望は叶うことはありません。
また、業務資格は勤務地毎に異なるため、異動をすればどんなベテランでも一定期間の訓練を受け、改めて内部試験に合格する必要があります。
そのため転勤について抵抗がある方は、改めて本当に航空管制官になるべきか考え直す必要性があります。
但し、希望が通るかは別として、勤務先の希望を出すことは可能です。
勤務形態について
勤務先によっては24時間体制の場合があります。
その場合、早番・早番・遅番・夜勤入り・夜勤明け・休日を一つのラウンドとして繰り返すパターンを基本形とします。
但し、時間限定運用の空港の管制塔業務には夜勤がありません。
よく言われるのは、精神疾患に罹りやすい仕事の最たるものは不規則なシフト制の仕事と言われていますので、その辺もぜひ考慮の上で職業選びをしてください。
結婚について
上記の通り航空管制官は転勤がつきもののため、航空管制官以外の方と結婚する場合お相手の理解が必要となります。
なお航空管制官の男女比は6:4程度となり、航空管制官同士の結婚も比較的多く、おおよそ4割程度は社内結婚という状況です。
航空管制官は転勤がありますが、管制官同士の結婚であれば、特に未就学児がいる場合は配属について相応の配慮があります。
但し、もちろん希望通りにはいかないことも多々あり、極端なケースだと航空管制官同士で結婚していても例えば旭川と石垣島とで離れて暮らすケースも出てきます。
航空管制官として働く中で結婚を意識するタイミングは人それぞれあると思いますので、このような事情も就業前に事前に念頭に入れていた方が良いでしょう。
航空管制官として年収をアップさせたい人がやって欲しいこと
管制方式基準のマスター
管制業務については通常、管制方式基準というある主のマニュアルに記載されている英語を用いて行われています。
そのマニュアルとは管制方式基準(黒本)と呼ばれており、ここに管制口話の使用例等が記載されており、航空管制官でなくとも一般の方でも入手することができます。
通常時は特にこの管制方式基準の内容を頻繁に使用するため、この内容をマスターすることは必須ですが、意外にも航空管制官の中にはこの内容を網羅できていない方もいます。
逆にこの内容を網羅できていれば、航空管制官としてのスキルが評価されることに繋がります。
英語力の向上
上記の通り通常のトラフィックフローであれば、管制方式基準に則った英語を用いての会話となりますが、トラブルが発生した場合、管制方式基準の英語のみではまかないきれず必然的に通常の英会話となります。
日本の管制官の場合は通常の英会話が苦手であることが多く、トラブル時海外のエアラインのパイロットとの意思疎通ができず、航空管制官と海外のパイロットの間でお互い苦労していることが散見されます。
このような航空管制官の英語力の不足によりトラブルを更に助長するような状態は、YouTube等で交信状況がアップロードされることもあり、瞬く間に世界中に広まり、日本の航空管制官の信用にも傷がつきます。
航空管制官のマネジメント層はこの辺についてもとても気を遣っており、逆に言うと、英語力がある航空管制官であれば周囲から頭一つ飛び抜けた存在となることも相まって、信頼を得やすいということが言えます。
TOEICで言えば900点以上が一つの目安となります。
自家用操縦士免許の取得
航空管制官はパイロットとのやりとりがメインとなりますが、パイロットがどのような状況に置かれていて、またどのような点が大変かなど、なかなか分かりにくいことが多いです。
通常時ならそれでも良いですが、悪天天候時や何かトラブルが起こった際など、やはりパイロットの心情も分かっていた方がスムーズに事が運びます。
もちろん搭乗訓練等でそういったことを学ぶ機会がありますが、自らもパイロットの資格を取得することで、より心情を分かりやすくなるでしょう。
トラブル時でもスムーズに処理ができれば、上司からの評価も自ずと上がるはずです。
自家用操縦士の免許は、アメリカで取得する場合1ヶ月程度の訓練及びおおよそ200万円の訓練費で取得できます。
高学歴を目指す
航空管制官の学歴のボリュームゾーンは、MARCHや関関同立、国立大学全般と比較的高いレベルです。
同じ大学出身者の後輩は、何だかんだと言って可愛いものです。
そのため、年収アップの一つの方策として上記に述べたレベルの高い大学に入学することが挙げられます。
他の業種で働いてから航空管制官となる
航空管制官となるためにまず航空保安大学校に入学する必要がありますが、航空保安大学校の試験については30歳まで受けることができます。
転職する場合、前職の実績や年齢等も考慮されますので、年収を上げる手段として他業界で経験を積むことも選択肢となります。
さいごに
上記の通り、航空管制官はとても責任が重くやりがいのある仕事であると共に、給与についても年功序列で安定している面もあり、魅力的なお仕事です。
但し、空港は全国各地にあるため転勤が多いことや、24時間勤務の部署の場合深夜も含めた交代制の仕事があります。
このため、航空管制官となっても一定数の方が退職をされてしまうことも事実です。
しかし、航空管制官は間違いなく日本の航空を支えている屋台骨であることも事実であり、航空管制官として航空機をイメージ通りに誘導できた時のやりがいは非常に大きいです。
そのような業務にやりがいを見い出し、厳しい局面があろうとも不断の努力で日々の仕事に打ち込める方が、航空管制官に向いていると言えるでしょう。
最終更新日:2020年5月27日