国会議員の年収を徹底解説|内閣総理大臣・議長・国務大臣の年収と各種手当をそれぞれ解説
毎日報道される、国会議員の賄賂や不倫などの不祥事ニュース。
各メディアで国会議員を見かける機会は多いものの、実際は遠い存在ですよね。
国会議員が高給取りであることは一般常識として認識しているものの、「あの人たちは一体いくら貰っているんだろう?」と、国会議員の年収が気になる人は多いのではないでしょうか。
国会議員の平均年収は2200万円が相場
令和元年の国会議員の平均年収は、約2200万円です。
他にも各種手当が、合計約2000万円支給されます。
国会議員の年収・給料の構成要素
国会議員の年収は、「給料(歳費)+期末手当」で構成されています。
他にも、下記手当が支給されます。
- 文書通信交通滞在費
- 立法事務費
- 秘書雇用手当
- JRや航空各社に無料で乗車できる「特殊乗車券」
- 政党からの交付金
基本給・能力給などはどうなっているの?
一般的な基本給は、国会議員では「歳費」に該当し、月額129万4,000円です。
会社員の給与は経営層が自由に決定できますが、国会議員の金額は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」という法律で決められています。
また、議員は任期が開始する日から歳費を受けとれます。
再選挙又は補欠選挙により議員となった人は、その選挙の行われた日から歳費を受け取ります。
また、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた議員は、その当選の確定した日から歳費を受け取れます。
(引用:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000080)
賞与(ボーナス)はどれくらい?
一般的な賞与(ボーナス)は、国会議員では「期末手当」に該当します。
6月1日及び12月1日に国会議員として在籍していれば、それぞれの期間に基づく「期末手当」を受け取れます。
令和元年では6月に314万円、12月に324万円で、年間合計638万円支払われています。
金額は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」という法律で決められています。
各種手当てはどういったものがある?
こちらでは、国会議員の手当てにについて紹介していきます。
文書通信交通滞在費
月額100万円が支払われます。
いわゆる交通費で、金額は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」という法律で決められています。
毎月支払われ、且つ金額が大きく課税もされないため、第二の給与とも呼ばれています。
「文通費」にはその使途を報告する義務は課されていないため、不透明な政治資金の財源として報道メディアに取り上げられることも多いです。
立法事務費
月額65万円が支払われます。
国会議員の立法調査研究活動を行うため必要経費で、金額は「国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律」という法律で決められています。
各会派に対し交付する月額は各議院における各会派の所属議員数に応じ、議員一人につき65万円の割合をもって算定されます。
よって、各議員に対して支払われるのではなく、各議院における各会派に支払われます。
こちらも、不透明な政治資金の財源として報道メディアに取り上げられることが多いです。
秘書雇用手当
年間約2500万円が支払われます。
秘書を最大3人雇用するための必要経費で、金額は「国会議員の秘書の給与等に関する法律」という法律で決められています。
秘書の年収は、「給料、住居手当、通勤手当、期末手当及び勤勉手当」で構成されています。
秘書の給料は国会議員が自由に決めることはできず、級及び号給によって定められています。
級及び号給は、議員秘書の在職期間及び年齢によって決定します。
国会議員の仕事・役割別の年収を見る
衆・参両院議長の場合の年収
衆・参両院議長の年収は、約3700万円です。
歳費(217万円×12)+期末手当(令和元年6月527万+令和元年12月543万円)
勤勉手当は支給されません。
内閣総理大臣の場合の年収
内閣総理大臣の年収は、約4000万円です。
俸給月額(201万円×12)+地域手当(40万円×12)+期末手当(令和元年6月569万+令和元年12月586万円)
勤勉手当は支給されません。
令和2年6月現在、内閣総理大臣は、上記月額給与及び期末手当の内30パーセントを返納しています。
平成30年10月2日の閣僚懇談会において「閣僚の給与の一部返納については、内閣として行財政改革を引き続き着実に推進する観点から、新内閣においても、内閣総理大臣にあっては月額給与及び期末手当の30パーセント、国務大臣にあっては同20パーセントに相当する額を国庫に返納することとする」との申合せをしたためです。
国務大臣の場合の年収
国務大臣の年収は、約2900万円です。
国務大臣は内閣総理大臣同様に、特別職に該当します。
俸給月額(147万円×12)+地域手当(29万円×12)+期末手当(令和元年6月415万+令和元年12月万427円)
勤勉手当は支給されません。
令和2年6月現在、国務大臣ついては、内閣総理大臣と同様の理由により上記月額給与及び期末手当の内20パーセントを返納しています。
国務大臣は内閣総理大臣によって任命され、各省庁を統括する役割を担っています。
1人の人が2つ以上の大臣を務めることも可能で、官房長官も含まれます。
具体的には、以下の通りです。
- 内閣官房長官
- 総務大臣
- 法務大臣
- 外務大臣
- 財務大臣
- 文部科学大臣
- 厚生労働大臣
- 農林水産大臣
- 経済産業大臣
- 国土交通大臣
- 環境大臣
- 防衛大臣
- 復興大臣
- 国家公安委員会委員長
- 内閣府特命担当大臣
国会議員はどういった場合に年収が高くなるか?
国会議員では、一般的に「特別職」と言われる役職に就けば、年収をアップさせることができます。
特別職とは
国家公務員は、一般職と特別職とに分かれます。
後者の特別職は、大まかに分類すれば、政務を担当するもの(内閣総理大臣、国務大臣等)、権力分立の憲法原則に基づき、その人事制度の設計を立法部、司法部に委ねることに合理性があるもの(裁判官及び裁判所職員、国会職員等)、職務の性質上、別個の身分取扱いの基準によることが適当であるもの(防衛省職員)、その他職務の特殊性により、採用試験や身分保障等の一般の公務員にかかる原則を適用することが不適当なもの(宮内庁職員、各種審議会委員等)に分かれます。
(引用:https://www.jinji.go.jp/hakusho/h28/0-4a.html)
国会議員が就ける特別職は、主に下記の役職になります。
特別職の職員給与を以下にご紹介します。
- 内閣総理大臣の場合の年収…約4000万円
- 国務大臣の場合の年収…約2900万円
- 副大臣の場合の年収…約2800万円
国会議員は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
国会議員の最高年収は、総理大臣の約4000万円になります。
つまり、国会議員として最も年収を上げるためには、内閣総理大臣になることが挙げられます。
内閣総理大臣になるためには?
総理大臣になるためには、与党の党首となることが必要です。
近年の総理大臣の多くは、下記の通り与党の党首です。
まずは最大政党に入り、与党の党首を目指しましょう。
与党の党首になるには、以前は党三役(党幹事長、総務会長、政調会長)での複数回数での経験や大臣ポスト経験が重要と言われていましたが、最近は以前ほどこれら経験は重視されなくなっています。
地道に当選回数を重ねることと、政党内での発言力を上げるなど、党内での存在をアピールする必要があります。
なぜなら党首を選ぶ選挙では、「党内でいかに発言力を持っているか、党員から支持を得ているか」が重要だからです。
というのも、党首を選ぶ選挙は国政選挙ではないので、一般の国民は投票できません。
党に所属する国会議員、地方議員、お金を払って党の活動を支える党員・サポーターのみが参加できます。
よって、党内での支持が全ての票を左右することになります。
党首となった後に内閣総理大臣指名選挙に立候補し、過半数の票を得ることができたら、総理大臣に指名されます。
内閣総理大臣指名選挙も、党首選挙同様、一般の国民は投票できません。
衆議院、参議院それぞれの選挙で過半数を集めた人が、総理大臣になります。
もし衆議院と参議院で違う人が指名された時には、衆議院での結果が優先されることになっています。
これから国会議員になるためには?
それでは、どのような人が国会議員に当選しているのでしょうか。
世襲議員が有利
一般人で上記多額の選挙費用を用意することはかなり難しいため、現実は裕福な家に育った世襲議員が多いです。
世襲議員は親の票を引き継げるため、地場票においても非常に有利です。
日本は世襲議員の割合が高く、約5割が世襲議員だと言われています。
G7での世襲議員割合は約1割なので、日本は突出して世襲議員が多いことが分かります。
安倍首相や麻生元首相も世襲議員ですよね。
世襲ではない人が、国会議員になるには?
世襲議員ではない場合は、医師や弁護士出身の国会議員が多いです。
一般の会社員であれば資金力はないですが、医師や弁護士は年収が高いので資金力があります。
また、一般の会社員は国会議員になったとしても、次に落選した場合には無職になってしまうリスクがあります。
一方で医師や弁護士は資格の必要な職業のため、落選して無職になっても、開業するなど仕事を再開しやすいことも強みです。
更に、医師は医師会・医師連盟、弁護士は弁護士会・弁護士会連合会等の支持母体の票が期待できるため、出馬しやすい傾向にあります。
医師、弁護士ではない人が国会議員になりたい場合は、下記ルートが現実的です。
公募での応募に関しては、元衆議院議員で現在タレントの杉村太蔵氏は公募で応募し、見事に第44回衆議院議員総選挙に当選したことは有名ですよね。
また、政治塾に関しては、元大阪府知事の橋下徹氏が立ち上げた維新政治塾は、コロナ対策で知名度を上げた吉村大阪知事を輩出したこともあり、有名です。
国会議員になるために、必要な費用は?
国会議員になるには、当然ですが選挙に出て当選する必要があります。
選挙に出るには多額の費用がかかるため、国会議員になる人は必ず資金力が必要になります。
選挙に必要な費用は、下記の通りです。
1.供託金
選挙に立候補するためには必ず供託金が必要です。
供託金は、当選を争う意思のない人が売名などの理由で無責任に立候補することを防ぐためのもので、選挙の種類によって金額は異なります。
また、ある一定の得票数(没収点)がないと没収されます。
没収された供託金は、国や都道府県、市区町村に納められ、税金と同じように使われます。
なお、供託物没収点を上回った場合、又は無投票当選の場合は、返還請求することができます。
- 衆議院小選挙区選出議員…300万円(有効投票総数の10分の1を獲得できなければ没収)
- 参議院選挙区選出議員…300万円(有効投票総数をその選挙区の定数で割った8分の1を獲得できなければ没収)
(引用:http://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/display.php?cont=120207154552)
2.選挙運動費用
選挙運動に要する費用には制限があります。
昔は選挙にお金がかかりすぎていたため、公職選挙法によって制限されるようになりました。
選挙運動費用の制限額は選挙によって異なります。
- 衆議院(小選挙区)…名簿登録者数×15円に1910万円を加えた金額
- 参議院(選挙区)…(定数2人の場合)名簿登録者数÷定数×13円に2370万円を加えた金額、(定数が4人以上の場合)名簿登録者数÷定数×20円に2370万円を加えた金額
- 参議院(比例代表)…5200万円
経費の種類によっては、選挙運動費用とみなされないものもあります。
次の費用は選挙運動費用の対象外です。
- 立候補のための供託金
- 選挙運動用自動車に要する経費
- 国又は地方公共団体に支払う租税(消費税は除く)や手数料
- 選挙期日後の残務整理に要した費用 等
(引用:http://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/display.php?cont=120207161347)
以上の通り、衆議院選挙であれば約6000万円必要になるなど、多額の費用が必要なことをご理解いただけたと思います。
さいごに
国会議員の年収について、ご理解いただけたでしょうか。
国内の上場企業社員の平均年収が約600万円ということを考えると、国会議員の平均年収約2200万円という高給は魅力的ですよね。
また一般の会社員であれば、利用できる手当は限られています。
基本的に経費は実費精算ベースなので、使用した金額しか支給されません。
それに比べて、国会議員の各種手当は豊富です。
JRや航空各社に無料で乗車できる「特殊乗車券」を持ちながらも、毎月交通費が100万円支給されるとは羨ましい限りです。
一方で、国会議員になるには選挙に当選する必要があります。
選挙には多額の費用を必要とするので、ハードルが高いのは事実です。
世襲議員のような資金力や地場票のバックアップがない一般人が選挙に挑戦するには勇気が必要ですが、実際に一般人が当選しているケースもあるので希望が持てますよね。
無事選挙に当選して国会議員になり、党首にまで上り詰めれば、国会議員として最高年収の内閣総理大臣になることも夢ではありません。
「将来内閣総理大臣になり、国政を変えたい!」という熱い想いを持っている人は、まずは選挙に当選して国会議員になることを目指してみてはいかがでしょうか。
最終更新日:2020年7月14日