刑務官の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
法務省に属し、法務官管轄の刑事施設(主に刑務所)で働く刑務官。
受刑者の刑務作業や私生活を指導し時には監視する業務が主となる刑務官は、受刑者の社会復帰のサポートをするという大きな責任が伴います。
また、日常の受刑者の様々な変化などを日誌や報告書にまとめる事務作業も存在します。
一般的に刑務所内での業務となるため閉鎖された空間での仕事で、心身共に忍耐が必要な刑務官は、一体どれくらいの給料で働いているのでしょうか。
今回は、刑務官の収入について詳しく解説していきます。
刑務官の平均年収は600万円が相場
刑務官の平均年収は600万円です。
月給の平均がおおよそ38万円です。
平均年齢は41.4歳です。
この平均値に残業代は含まれていないため、年収の平均は数十万円加算された金額になります。
刑務官の初任給はどのぐらい?
刑務官の初任給は20.8万円です。
国家公務員であり、刑務官は一般の国家公務員に適用される行政職俸給表(一)に比べて12%程度給与水準の高い公安職俸給表(一)が適応されるため、初年度から給料は比較的充実しています。
また、大学新卒採用で刑務官になる場合は23.8万円と、20万円前後と言われる大学新卒採用の平均初任給よりも多い初任給となっています。(令和2年4月1日現在、1級3号俸が適用され、東京都特別区内に勤務する場合)
また、大学新卒採用、それ以外の採用どちらも上記初任給に残業代や各種手当てがつくため、一般的な初任給としては満足できる収入と言えるでしょう。
刑務官の年収・給料の構成要素
では、刑務官の年収・給料の構成要素はどうなっているのでしょうか。
刑務官は国家公務員なので、公務員と同じような構成要素になっています。
しかし、刑務官の中にも看守、看守部長、副看守長、看守長、矯正副長、矯正長及び矯正監など様々な役職があるため、各役職で手当てが異なる場合があります。
刑務官の年収は、「基本給」「各種手当」「ボーナス」の構成になっている場合が一般的です。
基本給はどうなっているの?
刑務官は国家公務員に属しているため、基本給は級と号給によって定められます。
級とは、仕事の責任や難しさに応じて区分するものです。
号給とは、定められた級の中で更に細分化するために習熟度や経験年数を給与に反映させたものです。
例えば地方に属している刑務官で5級で1号の人の給与は28.9万円ですが、10号になると31万円、20号だと33.2万円というように上がっていく仕組みになっています。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
刑務官および国家公務員は期末手当と勤勉手当が与えられ、それが一般的にボーナスと言われている手当に該当します。
刑務官の期末手当は(俸給+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額+役職段階別加算額+管理職加算額になります。
勤勉手当は{(俸給+専門スタッフ職調整手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額+役職段階別加算額+管理職加算額}×(期間率)×(成績率)になります。
少しややこしいですが、期末手当は基本給に役職や地域手当など含まれた給料×期別支給割合(例、一般職員であれば1.3ヶ月分)の金額が支給され、勤勉手当は基本給に役職や地域手当など含まれた給料×勤務成績(例、特に優秀と定められた人は1.9ヶ月分)の割合が支給されます。
一般的に期末手当、勤勉手当は6月と12月にどちらも支給されます。
各種手当はどういったものがある?
刑務官の各種手当は国家公務員と同じ手当が該当するため、手当の種類は数多くありますが、刑務官の主な手当として「地域手当」「扶養手当」「超過勤務手当」「特殊勤務手当」があります。
地域手当は主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給されます。
東京での民間賃金と地方での民間賃金は異なるため、地域によって金額は上下します。
刑務官は受刑者と親しくなったり馴れ合いを防ぐためにも、数年ごとに他の刑務所に転勤する場合がほとんどです。
扶養手当は扶養親族のある職員に支給されます。
配偶者6,500円、子は1万円などです。
超過勤務手当は残業代です。
正規の勤務時間を超えて勤務した職員に支給されます。
特殊勤務手当は手当自体は27種類ありますが、実際に刑務官に適応されるのは主に死刑執行手当、刑務作業監督等手当です。
死刑執行手当の手当額は1回2万円で、ほとんどの人が2万円を死刑該当者の供養に使います。
刑務作業監督等手当の手当額は1日(1回)600円~1,400円です。
刑務作業監督等手当は別に加算措置が定められている場合があります。
刑務官の等級別の年収を見る
刑務官は等級や勤務年数によって年収が定められます。
等級別の年収を見ていきましょう。
等級が1級の場合の刑務官の年収
等級が1級の場合の年収は384.7万円です(期末、勤勉手当含む)。
初年度は1級からのスタートになります。
等級が5級の場合の刑務官の年収
等級が5級の場合の年収は642.2万円です(期末、勤勉手当含む)。
5級と聞くとなんだかすぐに到達しそうな気がしますが、等級を上げることは容易なことではなく、勤務年数もそれなりに必要なので辛抱が必要です。
等級が10級の場合の刑務官の年収
等級が10級の場合の年収は840.5万円です(期末、勤勉手当含む)。
10級になるには勤務年数や経験も多く必要です。
コツコツと働き等級を上げられれば、高額の年収が支給されます。
刑務官が最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
では、刑務官は一体どれくらいの年収が目指せるのでしょうか。
国家公務員の等級は最大で11級になり、11級の場合の年収は900万円を超えると予想されます。
ただ、かなり長い勤務年数や経験が必要です。
年収が高い人の条件・スキル・特徴は?
では、年収を高めるために必要な要素は一体どういったものなのでしょうか。
刑務官に求められる要素は以下になります。
心身の忍耐力
刑務官の業務は主に刑務所内になり、閉鎖された空間での仕事になります。
同じ場所や狭い空間で働いたり、時には夜勤勤務があるため、体力、精神力共に必要です。
また、等級を上げるためには勤務年数や経験が必要になるため、忍耐力は必須の条件です。
正義感
刑務官は罪を犯した受刑者を更生させるのが仕事の一つです。
受刑者に本当に更生してほしいという気持ちは不可欠です。
また、刑務作業の指導にあたることも多いです。
指導という役割の際には受刑者が刑務官の言うことをしっかりと聞いてくれない場合もありますが、辛抱強く受刑者と向き合い、彼らを健全な社会人に導くことが必要です。
コミュニケーション能力
刑務官は受刑者に更生させ社会復帰の手助けをしますが、ただ頭ごなしに厳しく接していては受刑者の心は動きません。
一人一人の受刑者と向き合い、受刑者の身になって不安や不満を聞き入れることも必要です。
武道のスキル
刑務官になるには、柔道か剣道の習得が必要です。
元々武道を習っていた人はその経験を活かせるでしょう。
これから刑務官になる人へのアドバイス
刑務官は刑務所内での業務となり、心身共に辛いと思われがちですが、受刑者を更生させたり刑務作業の指導を行ったりすることがやりがいになる仕事です。
また、それに見合った給料もきちんと支給されるので、安定した職業と言えます。
これから刑務官になる人は、まずは自分自身が日頃から良い行いをし、人を正せるような人格を形成していきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
刑務官は他の国家公務員と比べて給料が高いことが分かりましたね。
最大で年収900万を目指せる刑務官も、職業選択の一つにしてみてください。
最終更新日:2020年10月1日