管理薬剤師の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
薬剤師としてキャリアを積み重ねる上で、管理薬剤師は切っても切れない存在です。
管理薬剤師とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律(以下、薬機法)」により1事業所につき1名必ず置かなければいけない責任者のことです。
事業所には調剤薬局やドラッグストア、製薬企業や卸売業があります。
管理薬剤師の主な業務として、職場で働いている薬剤師の監督や医薬品の管理などを担うことです。
薬剤師の監督業務には、調剤業務を問題なく行えているか、クレーム処理に問題がないかなど多岐にわたります。
また医薬品の管理には、医薬品の在庫管理や使用期限、保管方法など品質の管理を行います。
そんな管理薬剤師になるには、薬剤師であれば特に資格はいりません。
しかしある程度の経験を経て会社より指示されるのが一般的であり、簡単になれるものではありません。
つまり薬剤師経験が豊富であり、職場でリーダーシップを発揮できる人が管理薬剤師なのです。
今回は、そんな管理薬剤師の年収を見ていくことにしましょう。
管理薬剤師の平均年収は600万円が相場
人事院「平成31年職種別民間給与実態調査の結果」を参考にすると、薬局長(管理薬剤師)の平均年収は600万円です。
尚その調査によると、一般の薬剤師の平均年収は450万円です。
管理薬剤師は一般の薬剤師の上司にあたる存在のため、差があることが分かります。
では、この差はどうして出てくるのでしょうか。
管理薬剤師の年収・給料の構成要素
先ほどの差の正体は、手当が大きく関係しています。
管理薬剤師の年収は、「基本給」「ボーナス」「手当」の構成になっています。
それぞれ見ていきましょう。
基本給はどうなっているの?
基本給は会社により異なります。
働いている年数や経験により、昇給として毎年上乗せされます。
そのため、一般の薬剤師の基本給とさほど変わりません。
ただ、管理薬剤師は一般的に3年以上の経験を経てなるものです。
そのため、管理薬剤師になる時には一般の薬剤師より高い基本給になっています。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与(ボーナス)も会社により異なります。
一般的には年2回支給の会社が多く、1回の賞与は月収の1ヶ月分から2ヶ月分です。
こちらも経験年数により、一般の薬剤師より高くなる傾向があります。
各種手当はどういったものがある?
手当には薬剤師手当、管理職手当、残業手当、資格手当があります。
まず管理職手当ですが、これが唯一一般の薬剤師とは異なるところです。
管理薬剤師だけに与えられる手当であり、月2万円~10万円と会社により異なります。
月10万円であった場合、年間120万円と大きな差があることが分かります。
また管理薬剤師は業務の幅が広がるため、残業も多く発生します。
そのため、残業手当も多くなる傾向にあります。
その他、認定薬剤師等の資格を取得することによる資格手当もあります。
管理薬剤師の就職先別の年収を見る
管理薬剤師は様々な場所で活躍しています。
調剤薬局やドラッグストアのような店舗、製薬企業、卸売業のような倉庫です。
それぞれの職場により年収が異なります。
調剤薬局の場合の平均年収
調剤薬局の管理薬剤師の平均年収は650万円です。
調剤薬局では個人経営から大手まで様々であり、コンビニよりも多く存在します。
また、祝日や日曜日は休みのことが多く、働きやすい環境です。
そういったことから、薬剤師の就職先として調剤薬局が最も多いです。
中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査の報告(医療機関等調査)」によると、薬局規模1店舗の管理薬剤師は平均825万円。
それに対して20店舗以上では平均680万円となっています。
1店舗の場合は人件費がかからないため、給料に上乗せされている場合が多いです。
薬局開設をすると大変儲かることが分かります。
ドラッグストアの場合の平均年収
ドラッグストアの管理薬剤師の年収は600万円です。
薬局よりも平均年収は低いですが、会社によっては24時間営業を行っている店舗もあるため深夜残業手当がつくこと、一般用医薬品(OTC医薬品)の利益率が高いことが要因で給料が高い場合もあります。
薬局のように患者さんが来るのではなくお客さんが来るため、企業として利益を重視している傾向にあります。
製薬企業、卸売業の場合の平均年収
製薬企業、卸売業の管理薬剤師の年収は550万円です。
製造業の薬剤師は、製薬企業で製造されている医薬品の品質管理や卸売業で医薬品の管理等に従事しています。
店舗で働く薬剤師とは異なり企業で働くためか手当もそこまで高くなく、平均年収は少ない傾向にあります。
ただ、製薬企業で新薬開発業務を担当できれば年収1000万円という人もいます。
管理薬剤師が年収を上げるためには?
主に転職があります。
管理薬剤師の給料というものは、現在働いている会社に依存します。
そのため管理薬剤師になれたとしても、その会社の基本給や手当が低くては大幅なアップは見込めません。
今の会社よりも年収が高いところに転職するのが最良の方法です。
どういった働き先だと年収が高くなるのか?
調剤薬局やドラッグストアの店舗の場合では、店舗の規模により管理者手当が異なることがあります。
大型の店舗であれば、その分スタッフとのコミュニケーションも必要であり、患者さんとのクレーム対応能力も必要となってきます。
また、薬剤師が不足している地方では年収が高い傾向にあります。
薬剤師が不足している地域では管理薬剤師になる人材も不足していることがよくあり、現在管理薬剤師でない場合でもある程度の経験があれば管理薬剤師として採用されることもあります。
また、管理薬剤師として経験を積むことでその先のエリアマネージャーになることができ、更に年収が上がります。
年収が高い人のスキル・特徴は?
同じ管理薬剤師でも、個人の裁量により年収が変わることがあります。
まずは日々勉強し資格取得等行っている人です。
こういった方は資格手当が付くだけでなく、知識があるため地域の勉強会等にスカウトされることもあり臨時収入が期待できます。
また、コミュニケーションがしっかりとれる人も該当します。
職場スタッフや上司との連携をとっていることは管理薬剤師にとって重要なことであり、会社内での様々なプロジェクトに参加できます。
そのため、研修担当や人事担当等の仕事をしている人もいます。
最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
最高年収800万円ほどです。
薬剤師が不足している地方の調剤薬局では、経験によりこの年収になることもあります。
また、2店舗~5店舗程度のこれから拡大しているグループ薬局もこれに該当します。
これから管理薬剤師になる人へのアドバイス
管理薬剤師は薬の知識やスタッフとのコミュニケーション能力、患者さんへの対応など様々な状況にも柔軟に対処できることが大切です。
そのためにも、勉強会への積極参加や日々スタッフや患者さんとのコミュニケーションをとり相手の気持ちに寄り添えることが大事になってきます。
責任は大きくなりますが、その分やりがいもある仕事です。
さいごに
今回は管理薬剤師の年収がテーマでした。
管理薬剤師という名前を聞くのが初めてだった人もいるかもしれません。
管理薬剤師の年収は、一般的なサラリーマンよりも高いです。
しかしそこには人の命を預かっている重みがあります。
大変なことも多いですが、患者さんに寄り添い、店舗の顔として働ける、やりがいのある仕事です。
最終更新日:2020年7月10日