開業医の年収を徹底解説|収入の構成要素や収入アップのコツ
医師という職業には、企業に雇われる「勤務医」と、自分のクリニックなどを開業する「開業医」の2種類に分けられます。
勤務医にしろ、開業医にしろ、それぞれのスタイルにはメリットとデメリットがあります。
そこで、今回は「自分で独立開業するスタイルの開業医」について、その収入やメリット、デメリットなどについて書いていきたいと思います。
開業医になると、一体どれくらい稼げるのでしょうか?
先に結論を書いておきますと、「勤務医よりも圧倒的に稼げるのが開業医だけど、リスクも高い」と言っておきましょう。
それでも、勤務医のスタイルで一生を終えることを考えるのであれば、「自分で開業して」苦労してでも、大きな財産を得ることに夢があるのではないでしょうか??
それでは、「開業医の年収」について、具体的に書いていきましょう。
開業医の平均年収は、約2500万円が相場
開業医の「平均年収」というと、どれくらいあるのでしょうか?
企業から雇用されている状態の「勤務医」は、約1500万円程度が収入の相場だと言われています。
しかし、あなたが「独立開業」をすることによって、その収入は一気に膨れ上がり、約2500万円程度の平均年収を得ることができるようになります。
もちろん、あなたが「何科の医師」なのかで収入に増減はありますが、一般的に見て、確実に勤務医よりは「多く稼げるようになる」のが、開業医の特徴です。
約、1.7倍の収入を得ることができるようになるでしょう。
もしあなたが頑張って自分のクリニックを軌道に乗せることができるようになれば、「10年間で2億円以上」の手取りを得ることも可能になるかもしれません。
勤務医では「一般の人よりも裕福な生活」ですが、独立開業で成功を収めれば「大富豪」にもなり得るのです。
では、独立開業した医師はどのような内容の所得を得ているのでしょうか?
また、どんなところに「独立開業の難しさ」があるのでしょうか?
その辺りを見ていきましょう。
開業医の収入の構成要素
皆さんは、「開業医って儲かるって聞くけれど、どんな仕組みで儲かるの?」と、思われていませんか?
そこで、この項では「開業医の収入の構成要素」について書いていきます。
開業医として成功していくには、どんなことに気を付け、どんな「お医者さん」であるべきなのでしょうか?
患者様一人あたりの診療報酬
まず、患者様一人あたりの「診療報酬額」のお話からです。
患者様一人あたりをあなたが診察した時の報酬は「約5,800円程度」だと言われています。
もちろん、どんな患者様を診るのか?で金額は変わりますが、一般的な内科の報酬額はその程度でしょう。
(内科の場合は10%の経費が掛かるので、手取りは5,200円程度)
開業医が年収を増やすためのポイントとは?
次に、開業医が年収を増やすためにはどうしたら良いか、について解説していきます。
開業時から3年間でどれだけ患者数を増やせるかがポイント
続いて、「では、どうやったら、開業医で儲けられるの?」というところです。
開業医として独立を果たすと、あなた一人で全ての患者さんを診察することになります。
つまり、「あなたの体力と報酬は比例している」のです。
どういうことかと言いますと、元気な内に多くのファンを獲得しておきましょうということです。
開業医が稼ぐためには「多くのあなたのファン」が必要になります。
そのために、必死であなたが頑張らなければいけないのは「開業からの3年間」です。
大体、開業医の患者数は10年をピークに減少していくという統計データがあります。
開業医は自分の体だけで、多くの患者様を診ていかなければいけません。
初めの3年にどれだけの「あなたのファン」を獲得して、あなたのクリニックに受診しに来ていただけるようになるのか?は、とても大切なことでしょう。
開業医は経営者と同じで、収支にも気を配ることが大切
また、開業医は「医者」であると同時に「経営者」でもあります。
経営者ということは、「収支バランス」にも気を配り続けなければいけません。
お金の管理も、自分できちんとするということです。
恐らくあなたは、今まではどこかの「勤務医」の状態だったはずです。
勤務医の状態だと、病院から「給与所得」を貰ってそのお金で生活するだけなので、経費のことなど考える心配はありませんでしたが、もし開業医となるのであれば、「どれくらいの診療報酬があって、どれくらいの経費がかかっているのか?」は、最低限把握し続けなければいけません。
お医者さんの仕事と経営者の仕事は全くの別物です。
もちろん、クリニックで働くスタッフの人間関係にも気を配って日々の業務にあたらなければならないでしょう。
それだけ開業医で稼ぐことは大変なのです。
開業医は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
さて、独立開業をし、晴れて「開業医」となったあなたは、最高一体どれくらいの年収を得るようになることができるのでしょうか?
一般的には、「開業してクリニックが軌道に乗り切った10年後」にピークがやってくると言われています。
その額が、おおよそ1億6千万円です。
もちろん、何科の医師になるのか?で金額は様々に変化しますが、開業から約10年程度が「年収が一番増える時」と思って頂いて間違いないでしょう。
というのも、独立開業したあなたは基本的に一人で全ての患者さんを診ることになります。
つまり、1日で診れる患者様の人数にも限りがあるということです。
より多くの患者様を診察できるだけの体力があればいくらでも稼ぐことは可能ですが、独立した医師としてあなたに求められることは、何よりも「正確な診療内容」です。
開業医にとって一番大切なことは「患者様からの信用」なので、あなたが無理に体力を削って無責任な診療を行い続けると、あっという間にクリニックの信用は落ち、患者様も減り、経営状態は悪化の一途を辿るでしょう。
個人で開業したクリニックはあなたの分身のようなもの。
あなたの評判=クリニックの信用となるのです。
どんなに頑張っても、1日で診察できる患者様の数には限りがあります。
無理をして無責任な診療を行うことだけは絶対に避け、体力の範囲内で稼ぐことを守りながら経営を進めていくべきでしょう。
開業医は何科が一番報酬が高くなるのか?
一口に開業医と言っても、その種類は様々です。
そこで、「開業して報酬が高くなりやすいのは、何科なのか?」を今から見ていこうと思います。
ただし、あくまでこれは「参考値」ですので、実際にこのようになるのかどうかは一概には言えません。
眼科
まず、「独立開業して一番儲かる」と言われているのは「眼科」です。
眼科が儲かる理由…それは「インターネットの普及」にあります。
今や1人1台のスマホやパソコンを持つ時代です。
仕事だけでなく息抜きの時間まで、毎日のように朝から晩まで画面を見ていることも少なくないでしょう。
そうした時に、体のどの部分に一番負担がかかっているのか?と言えば、間違いなく「目」です。
眼科に来院する患者様は年々増加している傾向にあります。
そして、今後も間違いなくその患者数は増加していくことが予測されるでしょう。
更に、コンタクトレンズを常用している人も少なくありません。
コンタクトレンズを使用するには眼科医の存在は不可欠です。
また、レーシック手術などの高額な手術を希望する人も世の中では増えています。
消費者の中は、ものを買う代わりに、そういった「高度な医療技術」に投資する人も増えているのです。
そして日本は今、超高齢化社会に突き進んでいます。
人間の高齢化で避けては通れないのが、「目の老化」です。
白内障の手術を受けたがる人も多くなってくるとの見通しもあります。
そういうわけで、一番儲かる開業医は「眼科」でしょう。
耳鼻咽喉科
次に独立開業して儲かると言われているのは「耳鼻咽喉科」です。
地球は今、気候の温暖化などにより人が住む生活環境が段々変わりつつあります。
その生活環境の変化の中で、起こり得ることが「花粉症などのアレルギーの発症」です。
今までは何の症状もなかった人が、ある日突然「くしゃみや、鼻水、目のかゆみ」などを発症し、自部咽喉科に来院するケースが増えてくることが予想されます。
もちろん、気候の変動により、人間の体に反応しやすい「アレルギー物質」も増えてくるかもしれません。
アレルギーが発症して一番変化が起こりやすいのは「鼻やのど」になるでしょう。
また、耳鼻咽喉科は世の中で不足気味だと言われています。
ということは、「医療報酬の額も必然的に高く設定されやすい」という特徴があるのです。
もちろん、今後の社会の変化などでその辺りのことは変わってくるでしょうが、今のところ「かなり稼げるのは耳鼻咽喉科」だと言えますね。
整形外科
続いての「稼げる独立開業医」は整形外科です。
前述しましたように、現在の日本は「超高齢化社会」を迎えています。
人間が歳を重ねていく中で一番不自由を感じることは何でしょうか?
それは、体が若いころのように動かないことです。
人は歳を重ねるにつれて、筋力も衰え、視力も聴力も衰えてきます。
それは誰にとっても防ぎようのないことなのです。
更には、現代医学の発展により、人間はより長生きをするようになってしまいました。
その中でも特に日本人は世界最高の長生き国民です。
人生100年時代も、もうすぐそこまで来ています。
以前であれば、「加齢による筋力、視力、聴力の衰え」を感じる前にお亡くなりになられる方も沢山いらっしゃったでしょうが、今の日本国内では90歳前後まで生きられる方も非常に増えているのです。
そうした時に、お年寄りの事故による障害は確実に増えていきますし、そこから元の生活に戻る為の「リハビリ医療」は以前にも増して必要なものになってくるでしょう。
したがって、整形外科も今後かなり稼げる独立開業分野の一つだと言えるでしょう。
小児科
続いては「小児科」です。
小児科は一般的に勤務時間も長くて大変だと言われています。
子供の急な症状の変化は日常茶飯事ですし、24時間いつでも対応しなければ命にかかわるからです。
しかし、逆に言ってしまうと、あなたが丁寧な診察を続け患者様から信頼を得られさえすれば、かなり効率的に稼げる分野だと言えるでしょう。
これは、勤務医の状態では得られない特権です。
「あなたに是非とも診てもらいたい」という患者様を持てるというのは、独立開業する上での一番の強みとなるでしょう。
皮膚科
そして、最後に挙げるのが「皮膚科」です。
「皮膚科がおすすめ」とよく言われる理由は、「そこまで大変な想いをしなくても稼げる」ということです。
皮膚科に来られる患者様は、急を要する方というのが比較的少ないです。
更には、ここ近年の「美容形成ブーム」に乗っかって、皮膚科の利用をされる患者様も増えてきています。
その場合には自費治療が発生することもあるでしょう。
また、アレルギーを発症される患者様も増えてくる可能性があるので、それに伴って皮膚科の患者様は緩やかに増加するだろうと考えられます。
これから開業医になる人へのアドバイス
これから開業医になられる方は「大きな責任が増える」ということに意識を持って取り組んで頂きたいと思います。
独立開業を行うと、あなたは「一人の医師」だけではなく、「一人の経営者」というスタンスで医療に従事していかなければならなくなります。
いわゆる個人事業主ですから、あなたのクリニックで起こる損害も、あなたが全責任を取らなければいけません。
今までの勤務医の時よりも、プレッシャーはかなり大きくなってくるでしょう。
ただし、その「大きな責任」に見合うだけの「患者様からの信用」は間違いなくあなたの武器になります。
これからの時代は、お金よりも信用の時代です。
勤務医としては得ることのできない「大きな信用」を得られるのは、独立開業医の大きな財産になるでしょう。
最後に
今、日本は経済的にも社会的も大きな変革期を迎えています。
その中で、医療の分野も今後大きく変わっていくことでしょう。
「組織から、より信用のある個人へ」の流れは間違いなく起こってきます。
そうした時に、あなたが独立開業することは、大きなメリットがあるのかもしれません。
この記事が独立開業を目指すあなたの背中をそっと押す一助となれば幸いです。
最終更新日:2020年2月18日