自衛隊の年収を徹底解説|給料・賞与(ボーナス)・各種手当
皆さんは、自衛隊っていくらぐらい給料を貰っているんだろう?と気になったことはありませんか?
この記事では、陸上自衛隊経験のある筆者が、自衛隊員の年収や給料、ボーナスはどのように決まっているのか?を中心にご紹介していきます。
少しでも多くの方の参考になれば幸いです。
自衛隊の平均年収は640万円が相場
自衛隊で自衛官として勤務に従事する場合、雇用形態は全て「特別国家公務員」となります。
自衛隊の平均年収は「640万円」が相場となっています。
次に、平均年収の構成要素について見ていきましょう。
自衛隊の年収・給料の構成要素
まずはじめに、自衛隊には大きく分けて「陸上自衛隊」「航空自衛隊」「海上自衛隊」の三つがあります。
その中で、「職種」「各種手当」「階級」「年齢及び勤続年数」「ボーナス」等が給料や年収に反映されます。
各職種の年収、給与、手当を紹介していきましょう。
陸上自衛隊の場合
陸上自衛隊と言えば、自衛隊と聞いて最も強いイメージを持たれる印象があると思います。
日々国の防衛に努めている陸上自衛隊の年収は、「300万円~1000万円以上」になっています。
陸上自衛隊での手当の種類の一例には、以下のようなものがあります。
落下傘降下手当
空挺部隊(普通科)で、輸送機から直接、目的の場所に降下する第一線部隊では「落下傘降下手当」が支給されます。
一回の落下傘降下手当は3,400円~6,300円になります。
爆破物取扱作業手当(施設科)
不発弾や爆発物の処理を行う作業では、細かな分類で分かれております。
例えば比較的に安全(銃弾等)であれば一日あたりに250円、逆に処理が難しい不発弾や機雷であれば一日あたりに10,400円となります。
夜間看護手当(衛生科)
看護師、准看護師での勤務で夜間業務に従事する隊員は、一回の夜勤業務で6,450円となります。
海上自衛隊
海の守護者として日本海周辺を日々警戒・警備をしており防衛に努めている海上自衛隊の年収は、「450万円~1000万円以上」になっています。
海上自衛隊での手当の種類の一例には、以下のようなものがあります。
航海手当(護衛艦)
海上の基地と言われる戦闘機等を搭載している空母や、警戒・監視を行っている護衛艦等では、月額給料の33%が支給されます。
航海手当(潜水艦)
護衛艦とは変わり海中で防衛に努めている潜水艦では、支給率が上がります。
潜水艦での航海手当は、月額給料の45.5%の支給手当になります。
海上警備手当(特別警戒時のみ)
領海侵犯や不審船等があった場合に支給される手当で、一日あたり7,700円になります。
護衛艦での戦闘機パイロットの場合
航空手当に加えて、航海手当の両方が合算されるわけではありません。
こちらの場合、手当の名前は「航空手当」となりますが、月額給料の60%の支給手当になります。
航空自衛隊の場合
空の守護者として勤務されている航空自衛隊でも、陸上自衛隊や海上自衛隊同様に沢山の職種が存在します。
大空を駆け巡る「パイロット」だけではなく、航空機のサポートを行う管制官や整備を行う「整備士」等もあります。
航空自衛隊での年収は「500万円~1000万円以上」となっています。
航空自衛隊での手当の種類の一例は以下になります。
航空作業手当
パイロットで戦闘機、ヘリコプターの操縦士として勤務した際に支給されます。
一時間の搭乗で1,200円~5,100円になります。
航空管制手当
管制官で航空全般の監視、各パイロットへの指示等を行う管制官で支給されます。
一日あたり240円~1,380円になります。
輸送手当
あまり聞いたことはないかもしれませんが、南極地域へ輸送した際に「南極手当」などもあります。
一日あたり4,100円になります。
その他共通の手当について
自衛隊には専門職種の手当てがありますが、その他、共通の手当ても様々存在します。
などがあります。
また、海外への派遣等になりますと、日給の50%~90%ちかくの手当てがつきます。
自衛隊の中でも特殊部隊の手当について
各職種の中でも特殊な部隊が存在します。
その手当てについてご紹介しましょう。
- 陸上自衛隊の場合:『特殊作戦群』
- 海上自衛隊の場合:『特別警備隊』
- 航空自衛隊の場合:『航空救難団』
これらの特殊部隊での勤務の場合、様々な手当てが支給されており、『月給の2倍から3倍』の支給額になっています(詳細については極秘事項となり明かされていません)。
その分、その門は狭く厳しく、更に想像できない程の訓練が待ち受けています。
階級別での給与と年収について
自衛隊では、大きく分けて「士・曹・幹・将」と分かれています。
士の給与について
入隊して間もない隊員が付与される階級になり、一般的なイメージで「新人」に分類されます。
士(陸士、海士、空士)としての給与は月に「17万円~20万円」が相場です。
その中での平均年収は「300万円」になります。
曹の給与について
自衛隊で最も多い階級で、一般的なイメージとしては「会社の中核」に位置になります。
曹(陸曹、海曹、空曹)としての給与は月に「20万円~40万円」が相場です。
曹の平均年収では「500万円」になります。
幹の給与について
主に中部隊から大部隊の指揮を任されており、一般的なイメージは「管理職」となります。
幹(陸尉、海尉、空尉・陸佐、海佐、空佐)での給与は月に「24万円~54万円」が相場です。
そして気になる平均年収は「700万円」になります。
将の給与について
自衛隊部隊でトップの階級になる将では、「将補・将」と分かれます。
こちらの階級になると、一般的になイメージでは「取締役」に位置します。
※更に上に「幕僚長」の階級があります。
将(陸将、海将、空将、幕僚長)での給与としては「160万円~200万円」となっています。
かなり高額な給与の方々の平均年収は「1500万円」となります。
ボーナスについて
自衛隊では夏冬の年二回支給されております。
階級により差額は幅広いですが、夏冬と合わせて「40万円~100万円前後」になります。
※将の階級を入れて計算すると大幅に変わりますので、今回は入れておりません。
ボーナス判定は主に月給(おおよそ4ヶ月分)と「勤勉手当」で計算されます。
勤勉手当とは主に業務成績だと思っていただけると分かりやすいです。
例えば特殊な訓練課程を受けた場合(レンジャー訓練、空挺レンジャー訓練等)には『S判定』がつき、普段より多く支給されます。
自衛隊は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
ここまで、ざっくりな給与について記述しましたが、ここまでの情報を基に計算すると、最高年収で「2300万円」を目指すことが可能です。
自衛隊はどういった方法で年収が高くなるか?
基本給は陸・海・空で差は大きくはなく、主に「手当」と「階級」で昇給されるかがポイントになります。
例えば常に難しい訓練に参加される方ですと階級が上がるのが早く、給与やボーナスに反映されやすくなります。
その他、各階級での教育期間中の成績によっても昇級の速さが変わります。
例えば自衛隊の中で一番大きな節目である「三曹教」(各曹の教育期間)の中で体力、勉学、射撃等の総合成績で一番だった隊員は「師団長賞」等が貰えて、通常次の階級までに5年~8年程かかるところが2年~3年程度で昇級の機会が与えられます。
また、各曹に昇級すれば「幹部候補生」になれるチャンスもあり、その試験に合格することで一気に階級を上げて給料も上げることもできます。
これから自衛隊に入隊される方、入隊を考える方へのアドバイス
少し堅苦しいお話にはなりますが、「給料目的だけ」で入隊を考えている方には少しばかり厳しいかもしれません。
『大切な人を守りたい』
『憧れの人に近づきたい』
『強くなりたい』
『誰かの為になりたい』
綺麗事ばかりのように聞こえてしましますが、そういった『意識』がなければ続けることはとても難しいと思います。
とても辛く大変なことばかりが続くと思いますが、自衛隊を考えられる方は「絶対に諦めない心」が必要になります。
さいごに
私は陸上自衛隊で様々な訓練に参加させていただき、その中で多くの物事を経験、そしてスキルや考え方を身につけさせていただきました。
辛い経験を乗り越えての今があり、自衛隊での人生経験にはプライスレスな価値を感じられています。
今回は「自衛隊の年収、給料について」執筆させていただきましたが、お金の話だけではなく「新たな人生のターニングポイント」としても、こちらの記事が少しでも役に立てば幸いです。
最終更新日:2020年9月30日