銀行員の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
世間では高給取りのイメージがある銀行員。
かつてはエリートの象徴とも言われた銀行員ですが、長引く超低金利時代やIT技術の進歩によって、業界全体を取り巻く環境は大きく変わってきています。
地方銀行では活発に再編が進んでおり、単独での生き残りを不安視した動きも出てきました。
そんな厳しい環境に立たされた銀行員の年収実態は、どうなっているのでしょう。
雇用形態や、銀行規模の違いに応じた年収について解説していきます。
銀行員の平均年収は600万円が相場
東京商工リサーチによると、2019年3月期の国内銀行平均年収は609万円5千円という結果が出ております。
メガバンクから第二地銀まで含めての平均値となりますが、日本の平均年収が400万円ということを考慮すると、銀行業界の年収水準が高いことが分かります。
高額のお金を扱うだけに、その責任が大きい分、収入に反映されていることが伺えます。
銀行員の年収・給料の構成要素
銀行員の年収は、「基本給」「歩合給」「ボーナス」の構成になっている場合が多いです。
それぞれの仕組みについて解説します。
基本給・歩合給などはどうなっているの?
銀行員の月々の給与は、「基本給+歩合給」によって支給額が決まります。
基本給は職位に応じて変化し、昇格の都度基本給が上がっていきます。
職位は同じ肩書の中でも細分化されていて、基本給に差があるのが一般的です。
大きな支店の支店長と小さな支店の支店長では、大きい支店長のほうが業務量や責任が大きい分給与が高くなります。
基本給以外に、毎月の給与には歩合給が加算されます。
歩合給と聞くと成績に応じて大きな差が生まれそうなイメージがしますが、銀行では歩合の部分が非常に小さいです。
大げさに歩合を出さないことから、歩合給部分の給与を「成績給」や「成果給」とも言ったりします。
歩合給部分は、基本的に直近期の成績によって変化します。
銀行では半年ごとに目標が設定されていて、3月と9月に期を締めるのが一般的です。
直近の半年間の営業成績に応じたランクが6段階程度あり、ランクに応じて歩合給が変化します。
つまり、半年間の成績しだいで若干毎月の給与が変化するのです。
職位が上がってくると、歩合部分は小さいと言えど数万円単位で毎月の給与が変化するため、ノルマ達成に向けて必死に営業しているのが銀行員の実態になります。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与は歩合給と同様に、前期の成績のランクに応じて変化してきます。
ベースは「給与の3ヶ月分」程度を基準に、ランクごとの掛け目を掛けて調整します。
職位が上がると、ランクが一つ違うだけで30万円近く賞与に差が出ることもあるので、銀行員は成績に非常に敏感になるでしょう。
なお、入行年次が浅い1年目~3年目までは、給与×2ヶ月分程度の支給に留まることも多いです。
特に新入行員は、成績関係なく一律に支給額が決まっている銀行もあります。
各種手当てはどういったものがある?
銀行の手当として、残業手当・通勤手当・住宅手当などがあります。
銀行は勤怠管理が徹底されており、1分単位で残業手当が出る銀行がほとんどでしょう。
また、銀行員は転勤が付き物なので、全国各所に社宅や寮が完備されているのが一般的です。
銀行の都合で社宅や寮に住めない場合に、住宅手当が支給される銀行もあります。
手当以外に企業型確定拠出年金や退職金制度が充実している点が、銀行の年収以外の魅力になります。
銀行員の雇用形態別の年収を見る
銀行と一つに括っても様々な雇用形態があり、形態別に年収が大きく異なります。
銀行の基幹的業務(営業や本部セクション)を主業とする総合職と、総合職をサポートする事務職です。
また、銀行の窓口などでお金の処理をしている殆どの方がパートスタッフになります。
それぞれの年収について解説します。
正社員(総合職)の場合の銀行員の年収
勤務先によって差はありますが、総合職であれば400万円~1000万円程度の年収は支給されるでしょう。
メガバンクなら30代で1,000万円の年収を稼いでいる人も少なくありません。
上位の地方銀行でも、人によっては30代で年収1000万円をもらうケースもあります。
一般的な地銀や第二地銀レベルになると、多くても30代程度では700万円程度が限界になるでしょう。
銀行の規模感によって、同年代の年収は大きく異なるのが実態です。
ここで注意したいのが、銀行員の年収は出世の速度によって非常に差が出てくるということです。
例えば、30代前半のメガバンクの同期、AさんとBさんがいたとします。
Aさんが年収1000万円に対して、Bさんの年収が400万円ということも充分にあり得ます。
入行3年目・4年目あたりから、昇格の速度によって年収に差が生じます。
出世競争が定めである銀行員は、例え同期だとしても30代前半で年収が2倍近く変わるという事態が発生します。
AさんBさんの平均は700万円と世間一般的には高水準の年収となりますが、個人の能力によって極端に年収に差が出ることに留意してください。
正社員(事務職)の場合の銀行員の年収
銀行によっては、事務専門の子会社があるケースもあります。
総合職は銀行で採用し、事務職は子会社で採用するという方法です。
事務職は総合職と違い、給料は高くありません。
入行当初から10年経過しても年収はさほど変わらず、銀行の規模に関係なく300万円~400万円になります。
一応、総合職同様に昇給・昇格制度はありますが、昇格したとしても年収は微々たる増加しかしません。
管理職や責任者は、銀行本体からの出向者が大半で、子会社のプロパー入社の方が役員を務めることは稀です。
また、総合職と違い残業がほとんどないため、残業手当が付かない分年収が低くなりがちです。
総合職のような常にノルマに追われたプレッシャーなどは特にありませんが、年収は世間一般的な水準となります。
契約社員・パートアルバイトの場合の銀行員の年収
パートアルバイトは時給で働きます。
9時~17時の通常勤務から、10時~16時の時短勤務と、各人の都合に合わせて勤務可能です。
お金を扱う業務のため通常のパートよりは時給が高く、時給1,400円~2,000円程度の水準でしょう。
女性の方々が多く、配偶者控除の範囲内で勤務される方が多く見られます。
銀行員は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
メガバンクの頭取クラスになれば、5000万円程度の年収になります。
地方銀行でも、頭取は3000万円以上貰っている銀行が多数あります。
頭取になれなくても、執行役員で1500万円~2500万円、取締役までなると2000万円~3000万円の年収です。
役員クラスになるとメガバンクと地銀で年収の差は更に拡大しますので平均年収が定めにくいですが、かなりの高水準な年収であることは間違いありません。
銀行という巨大組織の中から出世レースを勝ち残った限られた人材には、それにふさわしい年収が待っています。
銀行員はどういった勤務先だと年収が高くなるか?
先述している通り、メガバンクと他の銀行では年収に大きな差が生じます。
三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3行がメガバンクに該当し、エリートと揶揄される存在です。
当然この3行の銀行に勤めれば、かなりの確率で高い年収が狙えます。
メガバンクには該当しないものの、三井住友信託銀行や東京スター銀行もメガバンク並みの年収となっております。
地方銀行も「地元のエリート」と言われることがあり、その地方では1位2位を争う給与水準が高い会社です。
特に上位地銀と呼ばれる横浜銀行・千葉銀行・静岡銀行・福岡銀行などは、地銀の中でも年収水準が高く、メガバンクに引けを取らない年収となります。
上位地銀に該当しない一般の地銀や第二地銀になると、極端に年収が下がります。
メガバンク・上位地銀・第二地銀の例で、年収について解説します。
メガバンクで働く場合の年収
銀行業界でも突出した年収水準のメガバンク。
新入行員時は他の企業と変わらず300万円程度の年収ですが、2年目からだいたい年収500万円までジャンプアップします。
その後5年目くらいから昇給の速さ次第では700万円、最速で出世した場合は30代前半で世間の憧れである年収1000万円に到達します。
標準速度の出世ペースでも、35歳頃には年収1000万円を獲得できるでしょう。
40歳前後で、管理職(支店長など)になれるのかの篩が掛けられます。
多くの人は管理職になれず、役職定年や関連企業への出向を待つことになります。
出世競争を勝ち抜いた管理職の年収は、1500万円程度です。
メガバンクであれば、年収1000万円くらいは誰もが狙える水準となっています。
2年から3年程度のサイクルで必ずくる全国転勤やノルマに対する相当なプレッシャーはあるものの、その引き換えにかなり高水準な年収設定となっています。
上位地銀で働く場合の年収
人口や産業規模が大きい地方に存在する上位地銀。
新入行員時は、年収250万円程度です。
メガバンクと違い、2年目から急激に年収が増加することはなく、年を重ねるごとに緩やかに増加していきます。
3年~4年目で年収400万円に達し、5年目くらいから昇給次第で年収に差が生じます。
早ければ5年目で500万円、7年目で600万円程度の年収に到達できます。
30代前半から30代中旬の間に役席試験(中間管理職昇格試験)があり、昇格した場合は年収1000万円です。
メガバンク同様に、40歳前後で管理職になれるかなれないかの分かれ道があり、管理職になれば年収1200万円程度になります。
上位地銀であれば、メガバンクと同じとまではいかなくとも、引けを取らない高水準な年収設定となっています。
メガバンクより規模が小さく、メガバンクほどの優秀な人材が沢山いるわけでもないので、意外とチャンスがある業界かと思います。
一般的な地銀・第二地銀で働く場合の年収
一般的な地銀や第二地銀となると、メガバンクや上位地銀と比べて大分年収が下がります。
それでも地域最高水準の年収であることは間違いなく、物価の安い地方では充分に良い生活が送れるでしょう。
新入行員時は250万円程度が支給され、300万円~350万円程度の年収がしばらく続きます。
入行6年目くらいで年収400万円となりますが、その後出世をしても急激に年収は上がりません。
入行8年~10年目になると500万円~600万円の年収となり、40歳前後までこの年収で推移します。
40歳で管理職になれた場合は800万円程度となりますが、小さな支店の支店長止まりだと年収1000万円には到達できません。
管理職の中でも理事クラスである大きな支店の支店長になれれば、年収1000万円にようやくたどり着けます。
規模が小さく、銀行内の出世競争のライバルが少ないですが、本当に限られた人数しか年収1000万円が得られないのが実態です。
これから銀行員になる人へのアドバイス
銀行業界の経営環境は、過去と比べるとかなり厳しい環境が続いています。
昔と違い、単純な預金や融資業務だけでなく、複雑化した融資商品や事業承継対策、M&Aなど、様々なコンサルティング営業能力が求められます。
その社会的責任や高度な業務スキルが必要な分、高い年収が確保されているのです。
こういう時代だからこそ、常に社会情勢に対して高いアンテナを張り、日々勉強することで、優秀な銀行員となれるよう努力してください。
また、銀行で高い年収を目指すには、出世競争は避けて通れません。
時には上司から無理難題や理不尽な要求があるかもしれませんが、それに応え続けた一握りの人材が出世していきます。
銀行は「人事が全て」と言っても過言ではありません。
日々の自己研鑽に加えて、社内政治力やサラリーマンスキルも身につけましょう。
さいごに
銀行業界の環境は変化しても、銀行員の年収は依然としてかなりの高水準に位置しています。
メガバンクであれば、年収1000万円も充分に狙うことができ、高いレベルの生活をを送ることができるでしょう。
地方銀行にいたっては、その地域では最高水準の年収が支給されることから、目指す人は多くいると思います。
高い年収と引き換えにかなりのプレッシャーと戦い、社内政治にも気配りするなど苦労する面も多々ありますが、夢のある年収を目指して、銀行員に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
最終更新日:2020年5月8日