大工の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
大工は家造りに携わる職人の中心的存在であり、憧れの職業でもあります。
昨今では、職人不足や職人の高齢化から、大工はかなり貴重な存在となっています。
ここでは、そんな大工の年収や給料について紹介していきます。
大工と一言で言っても、雇用形態により給料形態も変わってきます。
これから大工を目指そうと思っている方にも是非参考にして頂きたい内容です。
大工の平均年収は約380万円が相場
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、大工の平均年収は48歳で378万円とのことです。
大工の年収は能力や業務形態によって大きく異なります。
大工とは職人の中でも、特に多岐にわたる技術や知識を要する職業です。
一人前になるまでの見習いや、雑務などをこなす手元大工であれば、年収は200万円以下といったことも大いにあります。
見習い期間を過ぎ最低限の作業が行えるレベルになると、年収も増加していきます。
ある程度現場を任されるようになった頃には年収350万円程に到達します。
更には、より腕に磨きを掛ける事で宮大工の様な伝統技術を身につけたり、大工作業を行いながらも工務店を経営するといったクラスになると、年収1000万以上を稼ぐことができます。
それらを平均すると年収380万円が相場となっております。
大工の年収・給料の構成要素
大工の年収や給料は勤務形態により大きく異なります。
大工の勤務形態は大きく分けて2種類。
1つ目は工務店やハウスメーカー等に雇われて給料を貰う『雇用型大工』
大手工務店やハウスメーカー企業の社員となり仕事を請け負います。
謂わばサラリーマンの様なイメージです。
こちらの場合は「基本月給」「能力給」「歩合」「残業代」「ボーナス」が年収を構成しております。
2つ目は個人親方になったり、自ら工務店を立ち上げる『独立型大工』
自ら仕事を受注し経営する、謂わば個人事業主の様なイメージです。
こちらの場合は「基本月給」といった考えはありません。
取引先の条件によっては「日当」を貰ったりすることもあります。
もちろん仕事がない日には収入が発生しません。
基本給・能力給などはどうなっているの?
『雇用型大工』の場合、新卒での基本給は月平均16万円程です。
そこから勤務年数を積み重ねることで基本給がアップしたり、腕を磨くき歩合や能力給が付くことで月給がアップします。
能力次第ではありますが、月給20万円を超えるのは3年目以降といったところです。
『独立型大工』は日給に換算すると平均1万円程。
大工としての腕が良かったり人脈があると、高単価の仕事を受注することができます。
能力次第では日給3万円を超えることも可能です。
大工の中には、『雇用型大工』の様に社員になるのではなく、『独立型大工』に弟子入りする大工もいます。
その場合は『独立型大工』の親方の見習いとして働き、親方から日給を受けとります。
見習いの間は掃除等の雑務しか行えない為、日給5千円以下で、月給に換算すると15万円以下ということもあります。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
『雇用型大工』の場合、勤め先の工務店や企業によってはボーナスが支給されます。
年間のボーナス支給額は基本給1ヶ月~2ヶ月分が相場となっております。
『独立型大工』の場合はボーナスはありません。
各種手当てはどういったものがある?
『雇用型大工』の場合は、通勤手当や作業道具の購入手当があります。
現場に直行直帰したり、材料の買い出しも多い為です。
『独立型大工』の場合は、経費は全て日給に含まれることが多く、手当がないことも多いです。
稀に、作業現場が遠く交通費がかさむ場合に、取引先が別途交通手当を支給するといった場合もあります。
大工の年代別の年収を見る
『雇用型大工』の場合、多くは年齢と共に年収が増えていきます。
10代雇用型大工の平均年収
約220万円
20代前半雇用型大工の平均年収
約250万円
20代後半雇用型大工の平均年収
約330万円
30代前半雇用型大工の平均年収
約350万円
30代後半雇用型大工の平均年収
約400万円
40代以降雇用型大工の平均年優
約420万円
大工は身体が資本の為、40代以降は年収は横ばい、もしくは下がっていく傾向にあります。
『独立型大工』の場合はいくら仕事を受注できるかにより年収が変動します。
受注が安定しない間は、年齢・技術に問わず前年より年収が下がることもよくあります。
大工は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
『雇用型大工』の場合、最高で600万円程は目指すことができます。
社員としての社歴を積むだけでなく、昇格して管理職になったり、特別手当が付くことでこの様な高収入を目指すことが可能です。
『独立型大工』の場合、最高で1000万以上の年収を目指すことができます。
しかし一人親方の場合、受注してもこなせる仕事量にある程度限度がある為、最高で800万円程です。
それ以上の年収を目指す場合は、大工として仕事を請け負うだけでなく、工務店を立ち上げて職人を雇い、経営者としての立場になる必要があります。
そうした場合は1000万以上を目指すことが可能になります。
大工はどういった勤務先だと年収が高くなるか?
雇用型大工の場合、勤め先の工務店や企業の事業規模が大きければ年収が高いというわけではありません。
勤め先がどのような仕事を受注しているかが重要になります。
『雇用型大工』で働く場合
雇用型大工で年収を高くしたい場合、大工としての経験を積み、スキルを磨いて希少価値のある大工になる必要があります。
まず、昨今の建売新築住宅はコスト削減の為に、ハウスメーカーの工場であらたかの組み立てを行い、それらを現地に運び組み立てるといった工法が採用されております。
大きなプラモデルを組み立てているようなイメージです。
そして工場での組み立て、現場での組み立てを大工が行います。
これでは、本来の大工としてのスキルや知識が身につきづらい環境です。
実際に、何年勤めてもパーツの組立しか行えず、新築を建てられない大工が増えてきております。
この場合、他の大工との差別化ができないのと、取り扱える作業の幅が広がらないので、いつまでも年収が上がらないといった状態になります。
務める工務店やハウスメーカーによっては、注文住宅や店舗施工といった仕事を請け負うことがあります。
その場合は『雇用型大工』でも現場での知識やスキルが身につき、能力給や歩合で年収を上げることができます。
『独立型大工』で働く場合
『独立型大工』として働く場合、いかに仕事をコンスタントに受注できるかがポイントになります。
そしてその仕事の受注の仕方にもいくつか方法があります。
まずは施主から直接仕事を請け負う場合。
これを「元請け」と呼びます。
施主から直接仕事を請け負う為、受注額の全てが収入になります。
売上金額が高くなりますが、受注を取る為の営業や広告にお金を使ったり、受注の為の人脈などが必要になります。
次に「下請け」です。
施主から工事を元請けした工務店や企業から仕事を請ける方法です。
殆どの『独立型大工』は主にこの下請け仕事で生計を立てております。
最後に「孫請け」です。
下請けの工務店から更に受注を受けるといった方法で、日給は1万円以下になる場合もあります。
大工の年収が高い人の条件・スキル・特徴は?
大工の年収が高い人の条件は、主に4つあります。
特別なスキルがある。
まず『雇用型大工』『独立型大工』問わず年収が高い人の条件は、特別なスキルがあるということです。
例えば、宮大工の様な伝統工法を取り扱えたり、設計ができたりといったスキルです。
他にも、無垢フローリングの様な自然素材が扱えたり、耐震補強工事が行えたり。
よりスキルの高い大工は、家具や扉を造作したり、簡単な電気作業を行う大工もいます。
また、大工以外の職種の知識も持ち合わせ、現場監督や工程管理、品質管理の様な総合職をこなすことで、好条件の仕事を受注している大工もいます。
対応できる仕事幅が広い。
次に、対応できる仕事幅が広いということです。
住宅には日本独自の在来工法だけでなく、海外から輸入したツーバイフォー構造、他にも鉄骨住宅や鉄筋住宅と様々な工法が存在します。
また、一戸建てとマンションでも全く違った工法が用いられております。
それらは全て違った工法で施工が行われている為、必要とするスキルや知識が全く異なってきます。
全て請け負えるだけのスキルがあれば大工として希少価値も上がり、年収アップに繋がります。
作業が早く、施工クオリティが高い。
次に、作業が早く施工クオリティが高いことです。
特に独立型大工だと受注案件に対して売上げが決まっています。
3日で仕事を終わらせるのと5日で仕事を終わらせるのでは、3日で仕事を終わらせた方が自ずと収入が高くなります。
また、施工クオリティが低ければ是正工事を行わないといけません。
そしてクオリティが低いと取引先からの案件も少なくなり、収入が下がってしまいます。
人柄が良い
大工に限らず人柄が良い職人は収入が高くなります。
家造りは1人で行うわけではなく、電気屋、設備屋、内装屋と多くの職人と現場絡みがあります。
その為、職人同士の相性や人脈が後の仕事の有無を左右することが非常に多いです。
実はここが最も収入に繋がるポイントです。
大工として年収をアップさせたい人がやってほしいこと
大工として年収をアップさせたい方は以下のことを意識してみて下さい。
大工としての希少価値を高める
希少価値を高める為に最もオススメなのは、新築住宅だけでなくリフォーム工事の施工を請け負うということです。
昨今、日本の住宅市場では、新築住宅より中古住宅の方が需要が上回っております。
これには人口都心集中化、土地不足、空家問題と様々な社会問題が関わっております。
ですが、実際にはリフォーム工事を請け負える大工は未だに少ないというのが現状です。
それはリフォーム工事が新築よりも遥かに難しく、幅広い知識やスキルが必要とされているからです。
リフォーム工事は、新築のように図面通りに物を造り上げるわけではありません。
既にある物を壊したり活かしたりしながら作業を進める為、より繊細で正確なスキルが要求されます。
その為、様々な新築住宅を経験してからでなければリフォーム工事を請けることは難しいです。
他に希少価値を高める為には、デザイナーズの施工を請け負うという方法もあります。
一般住宅、店舗問わず、デザイナーズの施工には特殊な工法や材料が使用されます。
その為、特別なスキルが要求される分、施工単価も割高になります。
『独立型大工』になる
次に大工として年収をアップさせたい方がやるべきことは『独立型大工』になるという事です。
『雇用型大工』の方が基本給があり、収入が安定する事は間違いありません。
ですが、売上の多くを工務店や企業に取られてしまう為、必然的に収入が上がり辛い状況になります。
昨今では住宅もコスト削減化が進み、職人に掛ける人件費も年々安くなっております。
『独立型大工』になり仕事がなく収入がないといった状況になっては元も子もありませんが、ある一定程度収入をアップさせたい方は『独立型大工』になるしか選択肢がないと言っても過言ではありません。
また、殆どの『独立型大工』が『雇用型大工』の経験を経て独立しています。
その為、雇用されている内にいかに多くの経験を積み、技術を身につけ、人脈を広げておくかが独立して成功をする鍵になることは間違いありません。
他にも、大工はなんと言っても身体が資本です。
過酷な労働ということもあり、大工作業のピークは40代前半です。
それ以降は身体を壊したり、作業スピードが落ちてしまう為、『雇用型大工』でも年収が下がってしまうケースが多々あります。
その為、『独立型大工』にシフトチェンジをしない限りは、収入アップは見込めません。
これから大工になる人へのアドバイス
大工はキツい、汚い、危険の3Kと言われています。
また、取り扱うスキルも高度で、一人前になるまでの期間の長さは他の職人より遥かに長いです。
しかし、大工は住宅造りにおいて中心となる欠かせない存在です。
特にリフォームが推進されている住宅業界では、大工という職業がなくなることはありません。
更に、職人の高齢化が叫ばれる中で、若いだけでもかなりの希少価値があります。
キツい、汚い、危険ではありますが、その分大工はやりがいと収入が見込める夢のある職業だと思います。
さいごに
いかがだったでしょうか。
大工は下積み期間は長く過酷な労働環境の為、職人不足が嘆かれているのが現状です。
やり方次第では大手企業のサラリーマンよりも稼ぐことができる夢のある職業でもあるのです。
最終更新日:2020年4月13日