ケアマネージャーの年収を徹底解説|給料・賞与(ボーナス)・手当・高年収な人の特徴
現代日本では高齢者人口が増加しており、それに伴って介護サービスを利用する高齢者も増加しています。
介護サービスを利用するためにはサービス計画書、通称「ケアプラン」と呼ばれるものが必要となります。
他者のケアプランを立案するためには介護支援専門員という資格が必要であり、その資格を持って仕事をする人をケアマネージャーと呼びます。
今回はケアマネージャーの年収について詳しくご紹介していきたいと思います。
ケアマネージャーの平均年収は350~400万円が相場
まず初めに、ケアマネージャーの平均年収について述べていきます。
立場や経験年数、雇用形態によって格差は生じますが、平均すると年収350万~400万程度が相場と言われています。
兼務している職業が存在したり、各種手当等によって差が生じる職種と言えます。
ケアマネージャーの年収・給料の構成要素
ケアマネージャーの年収は、「基本給」「ボーナス」「各種手当」の構成になっている場合が多くあります。ここではそれぞれの構成要素について詳しく述べていきたいと思います。
基本給はどれくらい?
まずはじめに基本給についてまとめていきます。平成30年度介護従事者処遇状況等調査によると、常勤のケアマネージャーの基本給の平均は215620円となっています。(経験年数9.9年の場合)
ケアマネージャーは経験年数を重ねていくと収入が上がっていく傾向にあるため、年数を重ねる事で徐々に基本給も上がっていきます。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
次に挙げる項目は賞与についてです。ケアマネージャーは各種手当や歩合で得られる収入が多い場合が多いため、基本給を基準として支給される賞与は低めに抑えられている事が多いです。支給される回数は年1~2回程度の場合が多く、支給額は基本給の1~3か月分程度を支給する会社が多く見られます。
各種手当てはどういったものがある?
最後に各種手当についてです。ケアマネージャーは介護支援専門員の資格が無ければ業務に従事する事が出来ません。そのため、ケアマネージャーに対して資格手当を付けているという事業所は多く存在しており、その資格手当は月5000円~10000円程度が一般的です。
また、介護支援専門員として5年以上の経験を有し、研修を受けて認められた人は「主任介護支援専門員」の資格を得る事が出来ます。この資格は居宅介護支援事業所の管理者となるために必要な資格となるため、資格手当も高くなる傾向にあります。
ケアマネージャーの資格は更新制のため、定期的に研修に行き、資格の更新手続きをしなければなりません。その際の研修の実費相当を会社が「研修手当」として支給する会社もあります。
また、居宅介護支援事業所に従事するケアマネージャーは、担当する件数によって1件1000円~3000円程度のインセンティブが発生する事業所もあります。
ケアマネージャーの年収を雇用形態別に見る
ケアマネージャーになるためには介護支援専門員の資格を持っている事が必要となります。そのため新卒社員は基本的にケアマネージャーの資格を取得する事は出来ません。ここでは、ケアマネージャーの年収を雇用形態別に見ていきます。
社会人が転職する場合の年収(正社員)
まずはじめに、社会人がケアマネージャー正社員として転職する場合の年収について書いていきます。ケアマネージャーは経験年数によって経験加算がつきやすい職業です。この経験加算はケアマネージャーを経験してからの年数となるため、その前に別の福祉職で経験があったとしても反映されにくいという事が特徴となります。ケアマネージャーで転職する人の年収は300万円台半ば~400万円程度が相場と言われています。
パート・アルバイトの場合の年収
次に、パート・アルバイトで働く場合の年収についてです。パート・アルバイトの場合は時給制の事が多く、就業する地域の最低賃金に金額は左右されます。
ケアマネージャーの求人は1200円~1500円程度で出されている事が多く、フルタイムで働いた場合でも年収200万円~300万円程度となります。
パート・アルバイトは賞与支給の対象外であったり、支給金額が正社員より割合が低くなっていたりする事がほとんどのため、正社員よりは年収が下がってしまいます。
ケアマネージャーでは、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
ケアマネージャー専従で年収を上げる事には限界があります。施設ケアマネージャーの場合は、担当件数が増えても報酬が増加するわけではないため、担当人数が増えたとしてもインセンティブを得る事はできません。居宅ケアマネージャーは担当件数によって報酬は上がりますが、一定件数を超えた場合は報酬が抑えられてしまうため、多くの収入が得にくいという一面があります。
ケアマネージャー専従ではなく、有料老人ホームの施設長等管理職を兼務する事で年収アップが見込まれ、その金額は500万~1000万程度と言われています。
ケアマネージャーではどういった勤務先だと年収が高くなるか?
ケアマネージャーは大きく分けて2種類の勤務先があります。一つは入居型の施設で生活する人を対象とした「施設ケアマネージャー」、もう一つは自宅で生活する人を対象とした「居宅ケアマネージャー」です。ここでは勤務先ごとの年収について解説していきます。
施設で働く場合の年収
まず初めに、施設で働く場合の年収です。ケアマネージャーが必ず配置されていなければならない施設とは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など介護保険制度を活用した施設となります。
法律上入居者100名に対して一人以上配置する事が条件となっており、基準以上の配置をしていても報酬が加算されるわけではありません。
移設で働くケアマネージャーの年収は、施設によって若干の差が見られますが350万~400万程度が平均となっています。
施設で働くケアマネージャーは、他の職種と兼務となっている事も少なくなく、介護職との兼務で夜勤を担う場合などは夜勤手当が加算されるため、もう少し収入は上がると考えられます。
居宅介護支援事業所で働く場合の年収
次に居宅介護支援事業所で働く場合の年収です。居宅介護支援事業所で働くケアマネージャーの年収は320万~360万程度が平均となります。
居宅ケアマネージャーの収入源はケアプランを立案する事ですが、ケアプランを1件立案して得られる報酬は月1万円程度です。
一人のケアマネージャーが担当できる件数には上限が設けらており、それを超えた分は減算された報酬で支払われます。
多く担当しても、それに伴って収入が比例するわけではありませんので、収入の伸び幅が少ない職種とも言われています。居宅介護支援事業所で働くケアマネージャーは上限いっぱいまで件数を担当する事を求められる事がほとんどです。
また、居宅介護支援事業所の管理者は主任介護支援専門員という資格を持っている事が求められているため、その資格を持っている人は手当が付く事が多く、その分年収が少し上がる事があります。
包括支援センターで働く場合の年収
最後に包括支援センターで働く場合の年収です。平成18年から創設された包括支援センターは、3職種と呼ばれる専門職を配置する義務があり、その職種の一つに「主任介護支援専門員」があります。
主任介護支援専門員の資格を取得するためには経験年数や研修受講など様々な要件があり、人数が少ないのが現状です。
そのため人員を確保しづらく、年収も上がる傾向にあります。主任介護支援専門員の年収は400万前後と言われています。
包括支援センターは基本的に日勤帯の仕事のため、夜勤に従事する事は少ないです。その代わりに夜間帯の電話当番を持ち回りで担当している事業所が多く、その分を手当としてつけている事業所もあります。
ケアマネージャーの年収の決まり方や、年収が高い人の条件・特徴は?
ケアマネージャーとして働く人はたくさんいますが、年収には差があります。ここではケアマネージャーの年収の決まり方や、年収が高い人の条件等について解説していきます。
1.ケアマネージャーの経験年数が長い
まず初めに、ケアマネージャーの経験年数が長いという事が挙げられます。
ケアマネージャーが対応する高齢者やそのご家族は、様々な価値観や生活習慣を持っており、現在の生活に対して感じている事も一人ひとり異なります。困り事を解消したり、その方が希望する生活を送れるよう支援させて頂くためには、その希望を聞き取り、各種制度や社会資源を活用しなければいけません。
一般的にケアマネージャーの経験年数が長ければ、関わった高齢者の方も多いため、それらの知識が豊富であり、困難事例と呼ばれる方達の支援も行う事が出来る可能性が高いと言えます。
福祉業界は離職率も高いため、ケアマネージャーの経験年数が長く多様なケースに対応が出来るケアマネージャーは年収が高くなる傾向にあります。
2.担当件数が多く、件数が安定している
次の条件は担当件数が多いという事です。この条件は居宅介護支援事業所に勤務しているケアマネージャーに当てはまる条件と言えます。
先の項目で述べた通り、居宅介護支援事業所に勤務するケアマネージャーは、ケアプランを立案して報酬を得る事になります。ケアプランを立案すると一人に対して1万円程度の報酬が支払われる事となります。
しかし、居宅介護支援事業所に勤務するケアマネージャーは、一人当たり40件未満であれば減算を受ける事がありませんが、それを超えてしまうと減算されてしまいます。
ケアマネージャー専従の人間は特にケアプランを立案する事でしか報酬を得る事ができないため、事業所としては担当件数を減算が避けられる39名になるべく近い数字にしてもらいたいと考えています。
安定して39名に近い件数を担当しているケアマネージャーの年収は高くなる傾向にあります。
3.地域住民や他事業所とのネットワークを構築できている
地域や他事業所とのネットワークを構築できているという事も、年収が高いケアマネージャーの特徴と言えます。
地域によってはケアマネージャーはたくさん存在している場合があり、いざ介護が必要となった時にどのケアマネージャーを選んだら良いか分からないと感じる人は少なくありません。
そんな時に当事者が頼るのは、病院に入院していれば病院の相談員や看護師、自宅で生活していれば友人や知人が多いです。
高齢者自身やその家族の方が信頼している人から「頼りになるケアマネージャー」と紹介されれば、その方達は高確率で紹介されたケアマネージャーに依頼をします。
地域住民や他事業所とネットワークを構築し、信頼関係を築く事が出来ているケアマネージャーは担当件数が安定しているため、年収も比較的高い傾向にあります。
4.複数の職種を兼務している
この条件は施設ケアマネージャーに当てはまる条件と言えますが、複数の職種を兼務しているケアマネージャーは年収が高くなる傾向にあります。
福祉業界は慢性的な人手不足であり、離職や休職する人も少なくありません。
施設内で複数の職種を兼務する事はけして珍しい事ではなく、多くの施設ケアマネージャーは介護職員や生活相談員職と兼務状態となっています。
特に介護職員と兼務しているケアマネージャーは、処遇改善手当の受給対象になったり、夜勤に入る場合には夜勤手当ももらう事ができます。
これらの理由から複数の職種を兼務している施設ケアマネージャーは、ケアマネージャー専従で働いている施設ケアマネージャーや居宅ケアマネージャーより年収が高くなる傾向にあります。
これからケアマネージャーになる人へのアドバイス
今後も日本は高齢化がどんどん進み、介護サービスの利用者は増加していくと考えられます。そのため、ケアマネージャーの需要は今後も増加していく事でしょう。
しかし同時に今後はケアマネージャーの質が問われる時代に突入していくと言われています。資
格を取得し、経験を積む事でスキルアップを図る事が、ケアマネージャーとして長く仕事をする事に繋がります。
質の高いケアマネージャーの年収もそれに伴って上がっていくと予想されます。日々自己研鑽を怠らない事がケアマネージャーとして働き続ける事にも繋がっていきます。
さいごに
いかがでしたでしょうか?ケアマネージャーと一言で言っても、働き先は様々で、会社によって収入も異なります。皆様が自分のライフスタイルや希望する年収を得られるような職場に就業できる事をお祈りいたします。
最終更新日:2019年7月17日