cadオペレーターの年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
CADオペレーターとは、「CAD(computer-aided design)」という設計支援システムを操作する職業です。
そして、いわば「ものづくり」の基礎を作る作業が、CADオペレーターの仕事です。
特に、建設業界をはじめ自動車や機械などの製造業でよく耳にする仕事ということもあり、男性の仕事だというイメージもありますが、実は女性が活躍しているケースも多いのです。
なぜなら、実績とスキルさえあれば結婚や出産を経ても復職しやすく、更に在宅ワークとしても働き続けることができるからです。
このように実務経験とスキルが給料に直結する、いわば「一生モノの仕事」とも言うべきCADオペレーターの仕事について、これから具体的に詳しく見ていきましょう。
CADオペレーターの平均年収は300万円~400万円が相場
CADオペレーターの平均年収は、300万円~400万円程度と言われています。
建設業界のみならず、設計事務所やアパレル関係、電気や半導体、機械といった製造業界から、アパレルやジュエリー業界まで、とても幅広い業界において採用や仕事があり、その業界の景気によっても左右されるため、実は平均年収を出すのは難しい側面もあります。
もちろん、会社の所在地や規模によっても差があります。
尚、派遣社員として働く場合、時給平均は1,500円~1,800円が相場とされています。
更に、専門スクールなどでCADを勉強し、全くの未経験でパート・アルバイト・派遣社員などとして働くこともできますが、その場合の時給平均は1,100円〜1,500円が相場とされています。
CADオペレーターはスキルと実務経験が何よりも重要視されるため、実力次第で昇給や年収アップは可能です。
経験年数、つまり年代別で給料に差が出ることが多いというのも特徴です。
また、もう一つの特徴は学歴による年収の差がないことです。
CADオペレーションを初めて学んだのが学校なのか、就業先での実務を通じてなのか、教科書で学んだだけなのか、それとも実体験として積んだ経験を通じて学んだのかということが重要であり、より実務的な作業能力を持っているかどうかが学歴よりも重視され、年収にも反映されます。
CADオペレーターの年収・給料の構成要素
CADオペレーターの年収は、「基本給」「賞与(ボーナス)」「資格手当」の構成になっている場合が多くあります。
基本給はどうなっているの?
地域差や業界、また企業規模によって変わりますが、仮に年収が相場の350万円だとすると、月収は22万円~23万円前後で、月の手取り額は20万円ほどになると見込まれます。
また、初任給に関しては、都心部の場合は18万円~19万円、地方の場合は16万円程度が相場と言われています。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
地域差や業界、また企業規模によって変わりますが、仮に年収が相場の350万円だとすると、ボーナスは年2回の支給で、1回の支給額は50万円前後となります。
実績とスキルによって評価が変わるため、実力次第で昇給や賞与(ボーナス)が増える傾向があります。
各種手当はどういったものがある?
CADオペレーターが多く在籍する企業では、基本給のほかに資格手当を支給している企業もあります。
例えば「CAD利用技術者」資格保有者には、手当として月に5,000円〜10,000円程度が上乗せされます。
特に建築系の会社では、「建築CAD検定」を手当支給の対象資格としていることが多いようです。
CADオペレーターの雇用形態別の年収を見る
これまでも見てきた通り、幅広い業界で採用される職種のため、その需要ごとで求められる勤務形態が異なり、正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど様々な雇用形態があります。
正社員でCADオペレーター採用された場合の年収
正社員の採用の多くは中小企業や製造業・各種メーカー等となり、平均年収は300万円~400万円程度と言われています。
男女による年収差が生まれにくく、女性でも男性同等の年収を得ることができます。
大企業の場合、給与水準は自ずと高くなりますが、CADオペレーター業務以外にインテリアコーディネーターや建築士の資格などを持っていないと、正社員として採用される可能性はほとんどないようです。
契約社員でCADオペレーター採用された場合の年収
契約社員の採用の多くは、大企業や中小企業となり、給与は月給制です。
これは、CADオペレーターに限った話ではありませんが、雇用形態が変わるだけで業務内容は正社員とあまり変わらないというケースがほとんどです。
平均年収も正社員とほぼ同等で、300万円~400万円程度と言われています。
しかし契約更新をせねばならず、退職金がない等、生涯年収という観点で比較すると、正社員よりも年収は低くなります。
派遣社員でCADオペレーター採用された場合の年収
多くの業種や企業で、派遣社員としての募集があります。
時給は1,500円~1,800円程度、月払いの時給制となります。
一般事務の求人に比べると数百円高くなることが多く、医療事務や看護師等と同等の時給が相場で、年収に換算すると200万円~300万円程度となります。
多くのケースでは、補佐的な役割や作業要員として採用することが多いため正社員や契約社員ほどの責任ある仕事を期待されることは少なく、そのため年収は低い傾向となります。
パート・アルバイトでCADオペレーター採用された場合の年収
多くの業種や企業で、パートやアルバイトとしての募集があります。
またスクールを卒業したての未経験者でも採用されるケースが多くあります。
採用された場合は、時給は1,100円〜1,500円程度、月払いの時給制となります。
単純作業や軽微な作業が中心となるため時給も安くなる傾向ですが、未経験者としての実務経験を積むという観点では、決して安すぎるということはなさそうです。
CADオペレーターは、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
CADオペレーターとして実務経験を重ね、着実に習得スキルに磨きをかけ続けることができれば、年収アップは期待できます。
具体的には、500万円~600万円台に年収をアップさせることも可能です。
CADの操作だけでなく、より難易度の高い3次元CADの資格取得や2級建築士、更に1級建築士を目標にステップアップができれば、将来的には大幅な収入アップを目指せるので、長期的な観点でどのような業界でどのようなキャリアアップ・スキルアップを狙っていくか、ということを考えることが重要です。
また、就業先での実績と人脈を駆使し、大口のクライアントを複数抱えていくことができれば、独立開業し高収入を目指すという道もあります。
CADオペレーターは業界別の年収を見る
建設業界、設計事務所、アパレル関係、電気や半導体、機械といった製造業界など幅広いジャンルの業界で働くことが可能で、とにかく様々な企業からの採用があります。
一部、年収500万円以上のところもありますが、やはり年収300万円~400万円のところが多くなっています。
建築・機械・回路設計業界で働く場合の年収
業界による差は見られません。
前述の通り、CADオペレーターの平均年収である300万円~400万円程度が相場となります。
実務経験やスキル重視で給料が決まるため、経験豊富で高いスキルがあれば、年収が500万円以上となるケースもあります。
建築、機械、回路設計の各分野に関する専門知識があり、尚且つ設計までできる「CAD設計士」の場合、CADの操作に特化した「CADオペレーター」より、高い年収となります。
自動車・航空・機械・家電業界で働く場合の年収
こちらも、CADオペレーターの平均年収である300万円~400万円程度が相場となります。
しかし、部品の組み立て以外に、熱や荷重などのシミュレーションに3Dモデルを使って行うことから3次元CADが多く利用されており難易度も高いため、採用先の企業によっては相場よりも高い年収が見込めます。
またこれらの業界では、CADのスキルや製図に関する知識だけでなく、製品知識や設計に関する知識を身につけることでステップアップし、年収アップを実現することも可能です。
家具・インテリア業界で働く場合の年収
こちらも、CADオペレーターの平均年収である300万円~400万円程度が相場となります。
特徴としては、新築よりもリフォームを行うリノベーション物件が増加傾向にあることから、内装系のCADオペレーターは求人数も増加しています。
アパレル業界で働く場合の年収
こちらも、CADオペレーターの平均年収である300万円~400万円程度が相場となります。
華やかなイメージで人気が高いこともあり、採用先の企業によっては相場よりも低い年収となることもあります。
アパレル業界でCADを扱う人を「パタンナー」と呼び、デザイナーが作った型紙をデータ化し量産できるよう準備するのですが、ほかの業界では使われることのないCADソフトを用いることが多いため、未経験者スタートをするケースが多いことからも、年収の相場は低い傾向にあります。
これからCADオペレーターになる人へのアドバイス
実績を積み重ね、努力してスキルを高めれば高めるほど評価や給与が高くなることを実感できますが、更なるキャリアアップを目指して資格を取得することもおすすめです。
中でも転職やスキル証明として有利になる可能性が高い資格には、以下のようなものがあります。
CAD利用技術者試験
一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催している、CADオペレータに関する試験です。
一番と言って良い知名度ある資格のため、転職時にはアピール材料として活用できます。
2次元CAD、3次元CADの利用技術を証明する資格となり、建築系も機械系も網羅する総合的なCAD資格です。
CAD実務キャリア認定制度
CADを利用する実務者やCAD教育の受講者を対象としている、CAD利用に関する実務的な技術、技能の成果を認定する資格です。
建築、インテリア業界では3次元CAD化が進んでいる傾向があり、3次元CAD操作の基本を問う試験として注目され、資格取得はそのアピール材料となります。
建築CAD検定試験
1993年に誕生した日本初の建築CADの資格試験です。
建設業界への転職や再就職や、建築系の設計や製図をしたい方は押さえておきたい資格です。
この検定では、課題の建築図面をCADを使ってトレースして完成させるといった実践形式の試験内容となっており、CAD技術と基本的な建築知識が問われます。
オートデスク認定資格プログラム試験
全世界共通の認定資格制度で、全世界のオートデスク・ユーザー 20 万人以上が取得しています。
CAD業務で広く使われているソフトの、「AutoCAD」の知識と技術を認定する資格です。
客観的にソフトを使えるという評価がなされるため、AutoCADを導入している企業への転職や仕事獲得においては有利に働くでしょう。
CADデザインマスター
日本デザインプラン協会が主催している資格です。
建設業界をはじめ、機械や設備、土木といった様々な業界の作図能力を証明できる資格ですので、CADのスキルを活かし業界を超えて活躍していきたい場合に有用です。
ただ、建築や製造問わず広いジャンルの知識の資格試験であるため、難易度は高めとなります。
さいごに
CADオペレーターは企業に務める正社員として活躍できるだけでなく、実績とスキルがあれば性別も年齢も場所も問わずに仕事ができる、これからの時代にも強い職業です。
また一般的に派遣やパートなどの短期間勤務や転職回数が多いことなどは敬遠されがちですが、CADオペレーターの場合はこれら全ての実務経験が「即戦力」としての売り込み材料となります。
また、都市部で仕事を探さなくても、技術者が少ない地方では採用率が高いためIターン・Uターン就職でも有利です。
年齢制限なくいつまでも現役のCADオペレーターとして、まさに一生涯の仕事として就業できることも、この仕事の魅力の一つと言えます。
「職場」にこだわらず、「職」にこだわることが可能な職業と言えるので、そういった側面からもこれからの時代に即した職業と言えるかもしれません。
最終更新日:2020年6月10日