ビルメンテナンスの年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
鉄筋コンクリートのマンションや戸建てのような木造の建物など様々な種類の建物がありますが、どの建物にも必要なのがメンテナンスです。
特にビルと言われる鉄筋コンクリートのマンションにおいては、ビルのメンテナンスによって建物の運用年数が大きく変わると言われています。
ビルメンテナンスの主な仕事内容というと清掃業務が一番に挙げられます。
毎月一定の清掃業務を行い、ビルの維持管理に努めます。
他には、空調管理やボイラーの管理といった設備管理。
防災設備の保守管理や警備員といったビルの安全管理などの仕事も挙げられます。
では、ビルのメンテナンスに関わる人たちの年収はどの程度なのでしょうか?
構成要素や雇用形態別の年収や、どのくらいまで年収を目指せるのかなどについて詳しく解説していきます。
ビルメンテナンスの平均年収は280万円が相場
厚生労働省による賃金構造基本統計調査によると、ビルメンテナンスの平均年収は約280万円程度です。
月収に換算すると20万円程度となります。
しかし、ビルメンテナンスの中でも正社員か非正規社員かで年収に開きがあり、ビルメンテナンスのキャリアや持っている資格などによっても年収に違いがあります。
しかし、平均値をとってみて他の業種と比較してみると、ビルメンテナンスの仕事における年収はあまり高くありません。
給料の構成要素をそれぞれ見ながら、年収について分析していきましょう。
ビルメンテナンスの年収・給料の構成要素
ビルメンテナンスの給料に対する構成要素は、「基本給」「能力給」「賞与」といった構成になっています。
会社によっては、「資格手当」といったビルメンテナンスに伴う資格を持っている場合、別途支給しているところもあります。
「資格手当」と、別途設けていなくとも「能力給」の中で資格の有無によって差をつけている会社もあり、会社によって異なっているのが実情でしょう。
また「賞与」においても、勤務している会社の業績によって「賞与」が出る会社と出ない会社があります。
ビルメンテナンス業界への転職を考えている際には、これらの給料をしっかりと確認しておきましょう。
それでは、給料を構成している各々の手当について一つずつ解説していきます。
基本給・能力給などはどうなっているの?
ビルメンテナンスにおける基本給は、他の業種と大きな違いはありません。
一般的には、年齢や勤続年数によりそれぞれの基本給は異なります。
平均月収が20万円ですので、基本給は17万円程度が相場と言えます。
これは、会社独自の基本給の段階表があるので、基本給の差は会社の規模や福利厚生によって全く異なります。
能力給は、ビルメンテナンスにおける能力の差が給料に反します。
平均は2万円前後といったところでしょう。
勤続年数が長くなると当然ながら経験年数も増えるので、ビルメンテナンスのキャリアが増えることを意味するのです。
つまり、経験年数が増えることで能力給にも反映しやすいので、基本給と能力給はセットで給料が伸びていく会社が一般的だと言えます。
他の業種と比較して、ビルメンテナンスの仕事における基本給はあまり高くありません。
ビルメンテナンスの仕事は、営業職のように売り上げを上げていくような業務ではないからです。
依頼を受けたビルのメンテナンスを定期的に行うという形態から上昇より安定した業務内容であることが、大きな原因の一つと言えます。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与に関しては、会社の規模や経営状況によって賞与が出る会社と出ない会社があります。
平均的なビルメンテナンスの会社において、賞与は年2回程度の計40万円前後が支給されているようです。
基本的にビルメンテナンス業はストックビジネスと位置付けられます。
ストックビジネスとは、蓄積型の売り上げで持続的なサービスを提供し続けることで収入を上げるビジネスのことです。
つまり、突発的にビルメンテナンスの仕事が増えるというケースは少なく、依頼されている会社のビルメンテナンスをコツコツと行い、一定の収入が定期的に計算できます。
いきなり、業績が2倍3倍になるといったものではありません。
賞与も営業成績に応じていきなり上がったり下がったりということはほとんどありません。
基本的には、一定の額が定期的に支給されると考えた方が良いでしょう。
各種手当てはどういったものがある?
ストックビジネスでもあるビルメンテナンスの仕事において、年収を上げる手段の一つとして考えられるのが、資格をとることです。
では、ビルメンテナンスにはどのような資格があると年収に影響するのでしょうか。
一番影響を受けやすいと言われる資格が、建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)です。
もしあなたがメンテナンスを行っているビルが3,000㎡以上のビルならば、必ず資格者がいなければいけません。
厚生労働省の所管のもと、設けられている国家資格です。
この資格を持っていると、ビルメンテナンス業界にいる限り仕事に困ることはないとも言われています。
3000㎡以上のビルには必ず必要ですので、当然ながら資格を持っていると貴重な人材として扱われます。
資格手当でも優遇されます。
一般的にビル管理士の年収が300万円~400万円と言われていますので、一般的な平均年収から20万円~120万円もの開きが出ています。
ビルメンテナンスの仕事において大きく力を発揮しますので、ぜひとも取っておきたい資格の一つです。
他にも、空調、電気関係のビルメンテナンスならば、第2種電気工事の資格やボイラー技士の資格といった資格が年収アップの大きな味方となるでしょう。
またビルの形態によっては、危険物取扱者や冷凍機械責任者といった資格も有効的です。
大まかな概算となりますが、資格一つにつき1万円前後が資格手当として支給されています。
他の職種と同様に、資格を取ってキャリアを積んでいくことで無資格の状態よりも給料は上がっていくのです。
ビルメンテナンスの雇用形態別の年収を見る
次に雇用形態による年収の推移を見てみましょう。
前述しましたが、正社員と非正規社員、アルバイトといった雇用形態によって年収は異なります。
どの程度年収に開きが出るのでしょうか。
詳しく解説していきましょう。
正社員の場合のビルメンテナンスの年収
これは、どの業種も変わりませんが、正規社員として雇用された方が年収は高いです。
また、年収には表せない福利厚生の部分で一番恩恵を受けるのも正規社員と言えます。
ビルメンテナンスも例外ではありませんが、正社員と非正規社員ではあまり基本給に大きな開きがありません。
年数ベースでは300万円前後、月収ベースで22万円前後といったところでしょう。
正規社員でもあまり資格を持っていない、もしくは無資格だった場合は、年収もあまり高くありません。
しかし、賞与面において正規社員の方に優位性があります。
基本的に賞与は正社員にのみ支給されますので、賞与が出る会社であれば正規社員と非正規社員には大きな差となります。
また、年収で表れない福利厚生の部分では大きな違いがあり、例えば資格取得の推奨制度や保険の加入など正規社員が得る恩恵は高いと言えるでしょう。
福利厚生は会社によって異なりますので、確認が必要です。
非正規社員の場合のビルメンテナンスの年収
ビルメンテナンス業界において、非正規社員を採用している会社も多いことが特徴の一つとして挙げられます。
これは、一言でビルメンテナンス業と言っても関わっている業務の数が多いからです。
前述しましたが、ビルメンテナンスは施設管理、清掃、安全管理と多種にわたっています。
一つ一つの業務を全て正規社員で対応するよりも、非正規社員を採用した方が効率的だからです。
基本給や能力給ベースでは、正規社員と非正規社員に大きな開きはありません。
正規社員と非正規社員の大きな差は賞与にあらわれます。
年間40万円程度が賞与として支給されると前述しました。
非正規社員の場合、賞与は支給されないケースがほとんどです。
その部分で年収に開きが出てきます。
つまり、基本給や能力給がベースとなる月収は同じ20万円程度だとしても、賞与の有無により非正規社員は平均年収240万円程度だということが言えるのです。
ビルメンテナンスは、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
ビルメンテナンスにおいて、最高でどれくらいまでの年収まで目指せるのでしょうか。
何度も述べているように、ビルメンテナンス業における基本給はあまり高くはありません。
どのようにして上げているのかというと、一番は資格取得に尽きます。
3,000㎡以上のビルであるならば、年収アップのためにも建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)は必須です。
年収ベースで、無資格者よりも50万円~100万円も変わってきます。
他におすすめできる資格として、第3種電気主任技術者や乙種消防設備士といった資格もおすすめできます。
重複して資格を所有することで貰える資格手当が増えますので、複数の資格取得は年収アップの大きな役割を果たすのです。
年収アップのもう一つのポイントとして、転職することによる年収アップも考えられます。
現在勤めている会社の年収が頭打ちになってしまった場合、複数のビルメンテナンスに関わる資格を持っていると、現在以上の年収で引き抜きされる可能性もあるでしょう。
意識して資格取得と待遇の良い会社に転職することで、おおよそ500万円を目安とするくらいの年収までは目指せるでしょう。
ビルメンテナンスはどういった勤務先だと年収が高くなるか?
資格取得による年収アップの他にも、単純に労働時間を増やすなどで年収を上げることは可能です。
夜間勤務や宿直勤務があるビルメンテナンスだと深夜給や宿直給など、日中に働くよりも時給ベースで上がります。
また、建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の資格を持っていても、3,000㎡以下のビルでは活用できません。
では、どのようなビルで働くと年収は良いのでしょうか。
働く場所別の年収比較を行ってみましょう。
宿直、夜勤で働く場合
ビルによっては24時間眠らないビルもあります。
例を挙げてみると、病院や24時間サービスの店舗などがこれにあたります。
また、24時間稼働していないビル以外でも、ビルのセキュリティがしっかりしていて警備がある場合は、警備員の巡回や監視などによって24時間対応しなければいけない業務などもあります。
宿泊の仕事を含む場合は、宿泊給として別途手当を支給している会社もあります。
宿泊給も会社によってまちまちですが、3,000円前後が一般的だと言われています。
例えば週に1回宿泊したとすると月に12,000円が支給されますので、年間15万円前後の年収アップが見込めます。
逆に、既に宿泊がある業務を組み入れてその分の能力給などを高く設定している会社など、会社によって宿泊の取り扱いはまちまちです。
しかし、確実に日勤給よりも高くなります。
また、深夜勤務も同様です。
こちらは、深夜手当として別途手当が支給されることもあれば、深夜給を時給計算して給与を支給する会社などもあります。
ビルメンテナンス業で年収アップを狙うのであれば、深夜の勤務や宿泊の勤務を狙っても良いでしょう。
エネルギー管理士が必要な工場で働く場合
3000㎡以上のビルの場合だと、建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の資格を持つことで年収が上がるということは何度か述べています。
同じように規定量以上のエネルギーを使用する工場においてビルメンテナンスを行う場合も、エネルギー管理士の資格が必要です。
工場や大型のビルでエネルギーを抑えることを推進する役割を担うのが、エネルギー管理士の役割と言えます。
一定の中規模以上の事務所や工場では一定数のエネルギー管理士が必要なので、エネルギー管理士が欲しい会社などは厚遇で採用する可能性が高いでしょう。
エネルギー管理技士は、ビルメンテナンスで広く使える資格というわけではありません。
しかし、大型工場や事務所のビルメンテナンスでは力を発揮する資格です。
エネルギー管理士の資格を持っている人は、大型の工場といった施設のビルメンテナンスで働くと年収アップが期待できます。
これからビルメンテナンスになる人へのアドバイス
これからビルメンテナンスに転職しようとしている場合、どのような人が向いているのでしょうか。
向いていなくても、どのような姿勢で臨むと成功しやすいのでしょうか。
第一にビルメンテナンス業は非常に多岐にわたる仕事です。
幅広い知識や経験を学ぶことによって、大きく成長することができます。
言い換えると、勉強しない、経験から学ばない人は、ビルメンテナンスの仕事は難しいと言えるでしょう。
コツコツと学んでいくようなタイプの人なら、ビルメンテナンスの仕事は合っていると言えます。
次に、友好的な人間関係を築けるような人もおすすめです。
ビルメンテナンスには多くの人が関わります。
特に、建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の資格を持ちビルメンテナンスの責任者として働かなければいけない場合は多くの人と関わりますので、友好的な関係性つくりが必須です。
人と接してお互いにビルをトラブルなく運営していこうという意識を持てる人にはおすすめの仕事です。
最後に、ビルメンテナンスの仕事は勤務先によっては深夜勤務があり、宿直がありと普通のサラリーマンよりも不規則な仕事形態だと言えます。
不規則な生活に耐えることができる体力や精神的な強さがなければ、途中で心身共に影響を及ぼす可能性を考えなければいけません。
不規則な生活に耐えることができるということも、向いている人の特徴だと言えます。
さいごに
ビルメンテナンス業は、資格を持っていなければ高い年収は期待できません。
しかし、ビルメンテナンスに関する様々な資格を取得することで、自分のスキルアップや年収アップに繋がります。
様々な業種の資格が役に立つので、もしもビルメンテナンスではなく他の分野で活かしたいと思っても、役に立つ資格が多いこともメリットの一つです。
多岐にわたるビルメンテナンスの業務は知識や経験が大切なので、日々勉強しなければいけません。
また、多くの人と接することが必要ですので、対人関係の構築なども学ばなければいけません。
しかし、このようなスキルを身につけることで多くの人から必要とされ、長い期間ビルメンテナンスの仕事で食いっぱぐれることはありません。
非常に息の長い仕事であるとも言える仕事なのです。
最終更新日:2020年4月30日