塾講師の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当・年収が高い勤務先
この記事では、塾講師の年収について紹介します。
テレビで活躍したり、参考書を出版するような塾講師もいて、トップ層は年収も高そうなイメージはありますが、一般的な塾講師はどれくらいの年収や待遇なのか、気になりますよね。
そこでここでは、塾講師への転職や就職を考えている人に向けて、「塾講師の平均年収」や「年収が高い塾講師の特徴」、「塾講師の大変さ」などを解説していきます。
塾講師の平均年収の相場はどのくらい?
まず、塾講師全体の平均年収を紹介します。
一般的には、塾講師全体の年収は425万円~450万円くらいのレンジが平均的と考えられています。
ただ、会社や雇用形態、地域などによって変わってくるため、もう少し場合分けをして紹介していきます。
塾講師の年収・給料の構成要素
賞与
賞与は、塾によっても違いますが、年2回最大で4か月分支給されるところが多いようです。
経営が厳しい塾などは、賞与が年1回しか出ない、賞与がカットされてしまうということもあるようです。
昇給
授業を担当する講師は経験年数によって昇給がありますが、ある程度の年数で頭打ちになってしまうことが多いようです。
業界でよく言われていたのは、「月給は35万円、年収は550万円が上限」というものです(もちろん、地域や年代によって異なりますが)。
年収を上げ、長く働くためにはエリアマネージャーなど管理職的な立場を目指すことになります。
各種手当
授業付帯手当
まず「授業付帯手当あり」について解説します。
塾講師の求人情報を検索すると、よく「授業付帯手当あり」と書かれていることがあります。
時間給で塾講師として働く場合に、時給が発生するのは授業時間のみというのが一般的です。
例えば、時給1200円で雇われた場合は60分の授業を2コマ担当すれば2400円、コマ給2000円で雇われた場合には90分の授業を1コマ担当して2000円、というイメージです。
しかし、塾で指導をするというのは先生の側も予習が必要ですし、教室を整えたり授業後の日誌を書いたりと、授業時間以外にも労働が発生します。
その労働に対する手当てが、授業付帯手当です。
授業付帯手当は、授業1コマに対して500円程度の金額が一般的です。
ただし、月給で働いている場合には、この授業付帯手当をもらうことはありません。
住宅手当や扶養手当
正社員で雇用されると、住宅手当や扶養手当をもらうことができます。
金額は地域や雇用先によって差があります。
会社によっては手当がないところもあるため、採用段階でよく確認が必要です。
その他
塾の先生は、時間外労働をすることも多いです。
面談日でなくても保護者から成績の相談があれば時間を割いて対応しますし、新しくマンションや住宅が分譲された際には塾の宣伝チラシをポスティングしにいくこともあります。
残念ながら、時間外労働の全てに時間外手当がつくわけではありません。
残業や時間外手当の基準は雇用先によって異なりますので、確認が必要です。
塾講師ではどういった勤務先だと年収が高くなるか?
塾講師の年収の相場は、塾の規模や指導方法、指導内容によって大きく異なります。
一般的に、1~3人程度の個人や小グループ指導の塾は年収が安いことが多いです。
集団指導になると、ひとつの授業の単価(コマ給と言います)も高くなり、年収も高くなる傾向にあります。
また、大学を浪人している学生が昼間から通うような予備校になると、さらに年収が高くなります。
塾の規模で言うと、小規模の塾は正規採用の講師はほとんど採用せず、事務方の社員と非常勤や学生アルバイトで賄っていることが多いです。
中規模でもアルバイトは多いですが、社員講師の割合が増えます。
予備校になると、学生アルバイトはほとんどいませんが、逆に指導力のあるフリーでベテランの講師を非常勤で雇うことが多くなります。
私が塾講師として働いていたときの年収の相場感
筆者が働いていた塾は、首都圏近郊に分校がいくつかあり、テレビCMを放映しているような比較的大手の塾でした。
受験生をバリバリ学ばせる進学系というよりは、学校の授業の補習を行うような立ち位置で、小中学生を主に指導していました。
集団指導ではなく、子ども達はブースに分けられて学び、講師が机を回って指導していくスタイルです。
社員の月給は、およそ22万円程度からのスタート。時間給で働くアルバイトは時給1500円程度でした。
その他にチューターを非正規で雇用しており、時給1000円程度でした。
大手の塾だったため、正社員の講師以外に、授業を担当しないエリアマネージャーと塾長が在籍していました。
この役職の者たちは、本社との連絡調整や対外的な仕事を担っていました。
塾講師で年収が高い人の条件・スキル・特徴は?
指導力があり、評判も高いため、フリーで講師をしている
普通の民間企業では、正社員の方が年収が高く、非正規雇用の派遣労働者などは安い年収で雇われているというのが一般的でしょう。
しかし、その図式は必ずしも塾講師の業界には当てはまりません。
塾や予備校の講師の中には、あえて正社員にならずに非常勤として様々な校舎と契約をしているフリーの講師が一定数います。
こうしたフリーの先生は、指導力が高く生徒や保護者からの評判がいいため、高い時給やコマ給で契約するのです。
テレビに出たり本を出版したりするようなカリスマ塾講師はほんの一握りですが、そのレベルまで至らなくても地域の塾業界では有名なフリーの講師というのが存在するのです。
保護者の口コミなどで評判になっていることも多く、あるフリーの先生が冬季講習を行うと宣伝したところ、申し込みが殺到したということもありました。
やはり、指導力がある、実績があるというのは契約を結ぶ上での大きなポイントです。
引きが良い「学歴・学力」がある
特に進学系の塾の場合には、講師の学歴も重要視されます。
塾の宣伝に「○○大学卒業」と講師の学歴を記載するところもあります。
子どもや保護者に学歴を尋ねられることもあります。
非常勤として雇用する場合などは、学歴が高い方により高い時給を設定することもあるようです。
補習系の塾ではあからさまに学歴偏重なことは少なく、学歴よりも生徒への対応の仕方や人柄などを見ているように感じました。
それでも、採用の段階ではある程度の学歴や学力が必要です。採用試験として高校入試などを実際に解かせることもあります。
高校生の指導ができる
塾講師の中でも、小中学生の指導ができる人はある程度いるのですが、高校生の指導を行える人は少ない傾向にあります。
高校生では補習で塾に通うことは少なく、高校生を対象とした授業は、ほとんどが進学系に限られています。
進学実績を上げられるような指導をするためには、担当教科への専門知識やより高い指導力が求められます。
そのため、高校生の指導を行う講師には、高い時給を設定している塾もあるのです。
ちなみに、「高校生・理数系・集団指導」の3つが揃うと、最も時給が高くなると言われています。
上の役職に就いている
塾で働くと一言に言っても、様々な立場があります。
非常勤の講師(学生アルバイトやフリーの講師)、正社員の講師、チューター、エリアマネージャー、教室長などです。
エリアマネージャーや教室長は、授業を担当するよりも、塾の運営や宣伝を担っている存在です。
エリアマネージャーや教室長になると、管理職手当がつくため、年収は高くなります。
手当の額は塾の運営会社によって様々ですが、管理職になると年収700~1000万円程度が相場のようです。
勤続年数が長い
もちろん経験年数が長い方が、昇給して年収が上がります。
しかし、前述の通り、講師としての年収は頭打ちになってしまう傾向があります。
年収を大きく上げたい場合には、管理職を目指す方が良いでしょう。管理職手当をもらうことができます。
塾講師の仕事って大変?1日の流れや業務内容を元に解説
塾講師の仕事を、正社員講師の仕事の流れをもとに紹介します。
学生アルバイトやフリーの講師は、基本的には授業のみを担当しますので、ここでは割愛します。
平日の出勤は昼頃から
大学浪人生が通っている予備校でなければ、塾が開くのは昼過ぎからです。
小中学生が学校終わりに通塾してくるため、その準備を行います。
その日の授業の準備のため、プリントを印刷したり丸つけをしたり、指導内容を確認したりします。また、この時間帯に事務作業をすることが多いです。
ポスティングする塾のチラシをデザインしたり、アルバイトのシフトを組んだり、長期休業中の特別講習の企画を考えたり時間割を組んだりします。
自習室がある場合には、自習室の掃除をしたり暖房をつけておいたりします。
夕方から夜にかけては授業を行う
16:00過ぎから生徒が通ってきます。
16:00~21:00頃までは授業を行っています。
夕食は授業の前後に簡単に済ませるか、生徒を帰宅させた後に食べることになります。
空き時間もありますが、学生アルバイトが急に欠勤した場合などは、正社員講師が穴埋めをすることになります。
生徒や保護者と面談を行うことも
授業を行っている裏で、面談も実施しています。
面談は、生徒や保護者の困り感や満足度、塾へのニーズを探るためにとても重要なものです。
面談を行った場合には、面談の記録を作成し社員で情報を共有します。
時間外に質問を受け付ける
質問はチューターが対応することが多いのですが、生徒の中には「どうしても○○先生に聞きたい」という者もいます。
その場合には、時間を許す限り講師が対応します。
生徒が帰った後は授業のふり返り
教室を片付け、指導した内容をまとめます。次のコマは他の講師が担当することもあるため、進捗状況は常に社内で分かるように明記しておきます。
退勤は22:00以降になることが多いです。
長期休業中は特別講習を行う
学校が長期休業に入る場合には、塾では特別講習を実施します。
「証明問題マスターコース」「長文読解マスターコース」など、生徒にとって魅力的な特別講習を企画するのも社員の仕事です。
有名なフリーの講師を呼んだり、時間割を組んだりするのも大変な作業です。
特別講習は、普段は塾に通っていない子どもたちまで対象として、広く塾を開放し宣伝するチャンスでもあるので、会社としても力を入れているのです。
休日出勤や時間外労働もあります
塾が主催して模試を行うことがあります。授業がない日に実施しなくてはならないため、大抵は休日出勤になってしまいます。
また、スクールフェアなどのイベントにブースを出展することもあります。
ブースで子ども達や保護者に対応し、塾の魅力や業績をアピールするのです。
会社の代表として参加するため、責任の重い仕事です。
さらに、日々の時間外労働もあります。
勤務時間は塾によって様々ですが、概ね13:00~22:00前後のところが多いようです。
しかし、仕事が終わらない場合には早出や残業になってしまいます。
残業手当が制限されているところもあり、サービス残業をしながらなんとか業務を進めている講師も多くいます。
特に、教材研究はやればやるほど奥が深く、終わりが見えにくいものです。熱心な先生ほど、頑張りすぎてしまうようです。
では、塾講師の年収って、結局のところ高いの?安いの?
塾講師の年収が高いのか安いのか、一言でまとめるのは難しいものです。
働き方によって考えてみましょう。
時給で働く学生アルバイトとしては高い
塾講師の時給は、個別指導の場合は1000円から1500円程度、集団指導の場合は1200円から2000円程度が相場です。
飲食店などでの時給と比較すると、高めの設定です。
最初は指導内容についての勉強が必要で大変に感じるかもしれませんが、1年経験すると要領をつかみ格段にやりやすくなります。
例えば教員を目指している、大学でその専門科目について学んでいるという場合には、アルバイトをしながら将来に役立つ経験を積むことができます。
正社員講師としてはやや高い
新卒で正社員講師になった場合は、月給20~25万円程度が相場です。
この金額は、他の業種と比較すると平均かやや高いくらいでしょう。
しかし、長年経験を積んでいってもある程度のところで年収が頭打ちになってしまうことが多いようです。
高収入を望む場合には、管理職を目指すといいでしょう。
フリーの講師としては自分のスキル次第
指導力があり、評判が良くなれば、フリーの講師として色々な塾と良い条件で契約を結ぶことができます。
自分のスキルとコネクション次第で、時給3000円以上という高い年収が見込めます。
長期休業中の特別講習の時期などは稼ぎ時ですが、毎月フラットに稼ぐことは難しいようです。
まとめ
塾講師の年収事情に着目してまとめました。
最近は大学進学率が上がっており、塾業界への社会的な期待が高まっています。
得意な教科がある、人に勉強を教えるのが好き、子どもと関わる仕事がしたいという熱意のある方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。
最終更新日:2019年6月25日