工場勤務の30代男性、年収200万円の生活のリアル


工場で機械を眺めながら佇む工場勤務の30代男性

工場で働く30代男性で年収200万円生活の実態について、私や私の周りの経験談を紹介します。

工場で働く場合にもいくつかのケースが存在しますよね。

生活に困窮してどうしても工場で働かなければならないこともあれば、様々な仕事を経験してきた中で最終的に行き着いた先が工場であったというケースもあります。

工場では日雇い労働で働くことはあまりないですが、それでも年収ベースで考えると決して恵まれた労働とは言えないのが実態です。

工場で働く30代男性の年収と生活

工場と一概に言っても、工場ごとに規模や年収も異なる

工場と一概に言っても、その規模や生産高の違いによって年収も大きく異なります。

工場ではなく製造業として広げてみると、工場勤務の方の年収は概ね400~500万円で、手取り月収としては25〜35万円くらいが目安と言われています。

ただ、これは正社員で昇給した場合の数値ですので、パートタイム勤務や派遣労働などのケースではさらに低い数値となる可能性があります。

また、製造業としては大手自動車メーカーも含まれた数値になります。

日本が世界に誇る大企業であるトヨタ自動車は、製造業から脱することを宣言していますが、まだまだ車を製造して売るのがメイン事業となります。

そのトヨタ自動車では、2019年の春闘においても賃上げを12,000円要求するなど、年収ベースでも他を凌駕するものがあります。

そのトヨタ自動車の数値が含まれていての年収400~500万円ですので、他の企業はもっと低い数値になるのは容易に想像できます。

また、工場勤務の場合は単純作業が多く仕事内容があまり変わらないので、30代になっても20代とあまり給料は変わらないケースが大半です。

工場の年収の実態

実態としては、300万円~350万円あたりが統計上多く存在していて、年収300万円を下回る場合も多くあります。

その中で、手取りとしては約250~280万円程度となることが多く、その中で社会保険料として年間40万~50万円、所得税、住民税としては年間15万~22万円が必要となり、差し引いた分を生活費として利用することになります。

かなりかつかつではありますが、困窮するわけでもないレベルであり結婚生活も営むことができるレベルです。

ただし、300万円~350万円を下回る200万円の生活となると、相当切り詰めないと生活が成り立ちません。

特に、レジャーなどの娯楽にかける費用はほぼなしにして切り詰めたり、車は保有しないなどの工夫が必要です。

貯蓄もほぼ0で毎月の生活費に充てることになりますし、休日も遊びに行く暇も金銭的余裕もないというのが実情です。

更に、工場勤務の場合は肉体的にも精神的にもかなりハードであり、休日に出かける気力もないことが多いのです。

シフト勤務で深夜労働していて他の家族との生活ペースが合わず、思うように就寝できないという悩みを抱えている人も多く、さらに余裕のなさにつながるのです。

工場の派遣勤務は辛いのに、なぜ年収が上がらないのか

工場で派遣勤務していると、正社員と比較して様々な違いが生じます。

それが年収の違いとなっても現れてくるのですが、なぜ辛い思いをしているのに年収が上がらないのでしょうか?

派遣契約なので低い

工場では、他の業種と比較しても派遣契約で働く方が多いのが実情です。

なぜ派遣で働く方が多いのかというと、オーダー次第で必要な人員が大きく変わるという側面が大きいのです。

さまざまな業種で繁忙期という時期があり、例えばゴールデンウィークであれば旅行に出かける機会が多く、交通機関にとっては忙しくなる時期です。

工場で働いていても、新製品が登場する際には大量に生産しなければなりませんし、クリスマス商戦に合わせてオーダーが増えると見込まれている場合は、それに合わせた生産体制が敷かれます。

それに合わせて雇用すると、それ以外の時期には人が余ってしまうというロスが発生するので、期間限定で働いてもらえる派遣は便利なのです。

他にも、工場では単純作業が多く、長い期間かけて仕事を教え込まなくても即日で対応できるという点があり、派遣が多く用いられています。

行っている業務が単調であれば、職能給といった手当もつかないケースが大半ですし、どうしても年収が低くなってしまうのです。

他にも、派遣契約の場合は賞与を得ることができなかったり、福利厚生なども受けることができないために、実年収が低く待遇も決して良くないという実感もあります。

残業が少ない

工場勤務の年収が上がる一つの要素としては、時間外労働があります。

時間外労働とは、法定労働時間を超える時間を労働した分のことを指します。

法定労働時間は労働基準法で定められており、原則として1週で40時間、1日に8時間が上限となりますが、労使委協定を結べば時間外労働をさせることができます。

時間外労働をすると割増賃金の支払い義務が生じ、通常賃金の25%以上が上乗せされて支払われます。

また、休日労働した場合も割増賃金として35%以上が上乗せされます。

同じ1時間労働するにしても、割増で賃金が支給されるのですから年収にも大きく響きますよね。

ただ、24時間フル稼働している場合は各工程でシフトを組んで仕事するのが一般的です。

シフト勤務の場合は、大抵の場合は8時間×3シフトにすることが多いのですが、自分のシフトが終わって次のシフトの方に引き継ぎすれば、多忙でない限りは自分の出番は終わることになります。

よって、一人で作業している工程や作業と違い、時間外労働事態が発生するケースが少なく年収にも響いています。

深夜勤務をしていない

時間外労働と同じく、深夜勤務にも割増賃金が支払われます。

基本的に、深夜は人間の生活リズムでいえば就寝する時間帯ですので、その時間に働くことは肉体的に大きな負担がかかります。

その対価として、午後10時から翌日午前5時までの間に労働した場合は、割増賃金が25%以上となります。

これは、時間外労働ではなくただ深夜時間帯に労働するだけでも得ることができ、さらに時間外労働であると加算されて50%以上の割増となるのです。

非常に魅力的に感じるのですが、深夜勤務の場合は管理監督者が少ないなどの問題点があります。

また、万が一何か問題が発生した場合にも派遣労働者に対応させるよりは正社員に対応させた方がよいと考える工場が多いのです

よって、残念ながら深夜労働もさせてもらえないこともあり、年収が上がらないのです。

こればかりは、事情なだけにどうしようもないというのが実感です。

工場派遣は正社員化・給料アップなど先が見えない事も多い

派遣で働く場合、居心地のよい工場の場合はそのまま正社員として雇用してもらいたいと望む場合も多いのですが、そもそも工場側とすれば派遣社員で安く雇用しているのにわざわざ正社員化するとは考えないものです。

よって、派遣から正社員化されるという見込みはほとんどなく、周囲の実例としても正社員化されたケースはありません。

また、派遣の場合は昇給するのも一苦労です。

技能を磨いて手当を厚くしてもらおうにも、行っている仕事に技能を要しなければそのチャンスすらないのです。

これが派遣社員が置かれている実情なのです。

生活費の内訳

年収200万円でやりくりしている中で、実際に月々の手取り額は13万円前後となります。

その中で、以下のように生活費を分けています。

科目ごとの月々の生活費

  • 寮代(光熱費込み):15,000円
  • 食費:20,000円
  • 日用品費:10,000円
  • 交通費:9,000円
  • 通信費:6,000円
  • 保険料:1,500円
  • 娯楽費:5,000円
  • 交際費:5,000円
  • 予備費:3,500円
  • 仕送り:30,000円
  • 貯蓄:30,000円
  • 合計:130,000円

※会社から車での通勤費が支給されている

厳しいながらも、親への仕送りと貯蓄だけは減らさないようにやりくりしています。

工場派遣は寮住まいで生活をカバー

私の場合、年収200万円でも比較的生活に困っていないのは、寮住まいであるという点が大きいのです。

なんと光熱費込みで毎月15,000円という破格の費用であり、とても助かっています。

特に、地方などで大きな工場を構えている企業の場合、寮があるところが多いのでぜひねらい目としてほしいですね。

住宅手当だけでは耐えきれない

会社によっては、寮ではなく住宅手当が支給されることがあります。

厚生労働省の「平成27年就労条件総合調査」では、一人あたりの住宅手当の平均支給額としては17,000円となっています。

これは、想像以上に低い数字である印象があります。

地方の場合は、都心よりは家賃が安い場合が大半ですが、激安というわけではありません。

意外と都心から少し離れた位置にある都市と大差ない家賃相場となっていることが多く、それでは住宅手当では全く賄いきれません。

また、光熱費を負担することになると余計に厳しいと言わざるを得ません。

社宅もいいけど…

工場によっては、寮ではなく社宅という形で住居を提供している場合もあります。

社宅は周辺地域の家賃相場の20~50%程度で借りることができる場合が多いのでお得感があるのですが、残念ながら独身者が入れない場合が多いのです。

また、正社員のみが入居できるという場合もあるので、派遣社員にとってはメリットが少ないのです。

30代男性でも年収200万円だとこういった方法で乗り切るしかありません

年収が低いことによってさまざまな費用を抑えていかなければなりません。

ただ、どうしても切り詰めることができない費用として食費があります。

工場で働くためには体力も必要であり、食事をしっかり摂取して対応することが重要です。

厳しい中で食費を浮かす方法としては安くて便利な食材を購入して自炊するのが有効です。

特にお勧めしたいのがもやしと鶏肉です。

これは、一人暮らしする上でのお供にしたい二大食材です!

価格が安いという点が最も魅力的ですが、但し鶏肉に関しては日持ちしにくいので使い切るのがポイントです。

他では、お昼などはお弁当も良いですし、リーズナブルな社員食堂があれば社員食堂を利用するというのも良いですね。

寮から工場が近ければ、三食を社員食堂で摂るのも良いでしょう。

工場勤務の年収だと足りず、副業をやる人もいます

今の生活スタイルでは、何とか生活をしていけるレベルではありますが、将来のことを考えると不安に感じるのが事実です。

特に、貯蓄額が少ないので何かあった場合に生活していけるのかが心配になります。

他にも、寮は年齢制限があって、40歳までしか利用できず寮を出た場合にこのまま生活していけるのかも気になります。

そこで、周囲も含めて最近副業を行っている方を多く見かけます。

一昔前までは、副業=悪というイメージがあり就業規則で禁止している会社も多かったのですが、昨今は副業を正式に許可するという流れが見られます。

これは年収の低い私たちにとっては救いの手が差し伸べられたといっても過言ではありません!

私の周囲でも副業をしている方が多いのですが、最も人気なのは他の工場で短時間でも働くというケースです。

普段は日勤で働き、週一回は他の工場で夜勤で働いている方がいるのですが、収入としてそこそこ得ることができているのです。

他では、手が空いた時に短時間で行える副業も人気です。

副業の大定番である内職も根強い人気ですし、手先の器用さを活かして芸術作品を作り出してフリマアプリなどで販売するという方もいます。

あくまでも本業をないがしろにしないことを前提として、会社から認められているのであれば副業も視野に入れたいですね。

今後の見通しは?

派遣で働くと何かと正社員との差を感じてしまうものですが、これは日本国としても重大な問題と認識されています。

昨今、労働に関する問題として長時間労働がありますが、2019年の労働基準法改正によって上限が設けられることになりました。

そして、時を同じくして同一労働同一賃金という言葉が登場しました。

同一労働同一賃金は、大企業は2019年4月、中小企業においては2020年4月から適用されることになります。

日本における同一労働同一賃金は、主に非正規雇用労働者の待遇改善を目的としていますが、実は他の雇用形態に対して先駆けて派遣に関して法整備されることになりました。

同一労働同一賃金を実現するための方法として、2つのパターンが用意されています。

1つ目は同一労働同一賃金の原則に則り、派遣先の通常労働者と同じ待遇にする「派遣先均等・均衡方式」があります。

2つ目は労使協定を締結して、一定水準以上の待遇にする「労使協定方式」があります。

それぞれの会社によってどちらがベターな方法であるかをしっかりと吟味して、私たちにとってメリットを与えてほしいですね。

まとめ

以上、工場勤務の30代男性、年収200万円の生活のリアルでした。

工場勤務は深夜労働などを行えば年収を高めることができる反面、派遣社員にとっては厳しい環境と言わざるを得ません。

今後、働き方改革や同一労働同一賃金によって改善される可能性もありますが、一方で工夫次第では年収200万円でも十分暮らしていけるという事実もありますよ。

(ライター:ぽいんとう)

最終更新日:2019年5月14日

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