年収900万円の気になる生活レベルは?稼げる業界や会社まで徹底解説
皆さんの年収はいくらですか?
現在の自分の年収に満足していますか?
今回は、年収900万円の実態について徹底解説していきたいと思います。
年収900万円を月収で換算すると額面で幾らになる?
一口に年収900万円と言っても、支給の方法により月収は変わります。
では、いくつかの支給パターンを見てみましょう。
賞与が年間で2ヶ月分含まれる場合の年収900万円の月収換算
賞与が年間で2ヶ月分含まれる場合、年収900万円÷14ヶ月(うち2ヶ月分賞与)=月収約64万円となります。
月収約64万円に加えて賞与約130万円が支給されることになります。
賞与が含まれない場合の年収900万円の月収換算
賞与が含まれない場合は、先ほどお伝えしたように単純計算で月収75万円となります。月収75万円と言うと、大抵の人は多いと感じるのではないでしょうか
しかし、これはあくまでも単純計算であり、月収75万円から税金や社会保険料が引かれる為、毎月75万円が丸々手元に残るわけではありません。
年収900万円は、手取りにすると幾ら?税金は?
例を挙げると、東京都で40歳未満の独身であれば年収900万円の手取りは約664万円となります。
差額を見てみると、約235万円は税金や社会保険料として引かれることとなります。
これが40歳以上になると手取りは約633万円となります。
なぜ40歳以上になると手取りが減ってしまうのかというと、介護保険料を払わなければならない為です。
年収から引かれる税金は?
年収から引かれる税金には所得税と住民税があります。
年収900万円の限界所得税率(最高所得税率)は20%です。
そこに所得控除が加味され、最終的に支払う所得税額が決まります。
住民税も同様に控除が加味され、最終的な納税額が決まります。
以下を参考にしてみて下さい。
給与所得控除
まず「年収=給与所得」ではありません。
「給与所得=年収-給与所得控除額」です。
給与所得控除とは、仕事をする際に最低限必要であろう経費のことです。
以下に給与所得控除額の計算方法を載せています。
年収ごとの給与所得控除額の計算方法
180万円以下:収入金額×40%、65万円に満たない場合には65万円
180万円超360万円以下:収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下:収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下:収入金額×10%+120万円
1000万円超:220万円(上限 2017年から実施済みの税制改正項目)
年収900万円は、「660万円超1000万円以下:収入金額×10%+120万円」の区分に当てはまります。
この計算式をもとに計算をすると、900万円×10%+120万円=210万円となりました。
よって、年収900万円に対する給与所得控除額は210万円となります。
2020年分からは、年収850万円を超えると上限が195万円に引き下げられるなど、給与所得控除の額が下記のように改正されます(ただし、基礎控除の額も48万円に変わります)。
給与収入:給与所得控除の額
162.5万円以下:55万円
162.5万円超180万円以下:収入金額×40%-10万円
180万円超360万円以下:収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下:収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下:収入金額×10%+110万円
850万円超:195万円
2020年分からは高所得者枠が850万円超と一括りにされている為、年収900万円の場合の給与所得控除が15万円縮小となり、他の控除等の条件が変わらない場合、支払う税金が増えることになります。
所得控除にはどのようなものがある?
所得控除は社会政策的配慮から設けられている「物的控除」と、納税者の個人的事情を考慮した「人的控除」の二つに大別できます。
その内の物的控除は雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除です。
これは個人により、控除内容や控除額などが変わります。
支払う税金の計算
では支払う税金はどのように計算するのでしょうか。
支払う税金は主に所得税、住民税の二つです。
早速、所得税と住民税の計算方法を見てみましょう。
所得税額の計算
所得税額の計算式は、「所得税額=〔{(収入-給与所得控除)-所得控除}×限界税率-控除額〕-税額控除」です(ここで言う税額控除とは住宅ローン控除等を指します)。
一般的に、給与所得者は所得控除となる社会保険料(年金保険料や健康保険料、雇用保険料)が給与天引きされています。
東京都で40歳未満の独身であれば、年収900万円で社会保険料の額は年収の約14.4%で、賞与なしの場合約115.3万円となります。
これに基礎控除38万円が加わり、所得控除額の合計=基礎控除38万円+社会保険料控除約115.3万円=約153.3万円となります。
よって、所得税課税所得=(年収900万円-210万円)-約153.3万円=536.6万円と計算できます。
この所得税課税所得に税率をかけて所得税が決定されます。
課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円~330万円 10% 97,500円
330万円~695万円 20% 427,500円
695万円~900万円 23% 636,000円
900万円~1800万円 33% 1,536,000円
1800万円~4000万円 40% 2,796,000円
4000万円超 45% 4,796,000円
上記の表から、税率は20%であることが分かります。
年収900万円の所得税額=課税所得金額536.6万円×税率20%-控除額427,500円=64.57万円となります。
復興特別所得税の額と合わせると、659,259円になります。
住民税額の計算
住民税は所得税とは計算方法が少し違い、所得割と均等割の二つの部分に分かれています。
所得割の部分は基本的に全国一律で10%となっており、均等割も基本的に5000円前後です。
ただし、地域によって税率や税額などは少しずつ違っているので、詳しい計算が知りたい方は地元自治体のホームページ等で正確な額を確認してください。
年収900万円の住民税課税所得は541.6万円なので、基本的な住民税の計算は次のようになります。
課税所得541.6万円×10%+均等割5,000円-調整控除2,500円=54.41万円
ここで調整控除が出てきましたが、説明が長くなるので省略します。
これで年収900万円の所得税、住民税の計算ができました。
年収から引かれる税金の合計を計算すると、所得税等約65.9万円+住民税54.41万円=1,203,659円となります。
独身かそうでないかによっても変わる?
所得控除には「物的控除」の他に「人的控除」というものもあると先ほどお伝えしました。
人的控除には障害者控除、寡婦・寡夫控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除が含まれます。
これは個人の家族構成により控除内容が異なりますが、独身の場合と比べ、扶養している家族がいる方が税額を抑えられる場合が多いです。
年収900万円の生活レベル。勝ち組かどうかをチェック!
年収900万円の生活レベルとはどの程度のものなのでしょうか?
詳しく見ていきたいと思います。
扶養家族の有無による生活レベルの違いは?
年収900万円と言っても、扶養家族の有無により手取りの収入は多少なりとも変わってきます。
いくつかの生活パターンに分けて見ていきましょう。
年収900万円の独身の生活レベル
年収900万円の独身であれば、年収から税金と社会保険料を引いた手取額が約665万円となります。
この金額を月額計算すると、月収の手取りは約55.4万円となります。
30代後半の平均年収619万円(2019年マイナビ転職調べ)と比べても年収900万円はかなり高いため、生活水準においても高いレベルを維持することができます。
年収900万円の夫婦2人世帯の生活レベル
年収900万円で配偶者を扶養している場合は、所得税で配偶者控除38万円、住民税で配偶者控除33万円が適用されます。
控除を考慮すると、40歳未満の場合、年収の手取額が約676万円と多少増えます。
この金額を月額計算すると、月収の手取りは約56万円となります。
ただし配偶者の生活費等もかかるため、1人に対して使える金額を考えると独身よりも節制する必要があるかもしれません(手取り額は、税金と社会保険料を差し引いた額のため、その方によって金額は異なります)。
年収900万円の子持ち世帯の生活レベル
年収900万円で配偶者と15歳以上の子どもが1人いる場合は、上記に加え扶養控除も適用されます。
子どもの年齢に応じ扶養控除額は違います。
例えば高校生の子どもの場合、所得税で扶養控除が38万円、住民税で扶養控除が33万円適用されるため、年収手取り額は約687万円となります。
この金額を月額計算すると、月収の手取り額は約57万円となります(手取り額は税金と社会保険料を差し引いた額のため、その方によって金額は異なりします)。
地域による生活レベルの違いは?
地域による所得格差は約2割弱であると言われており、所得平均は関東が一番高く、九州地方が一番低い傾向にあります。
所得平均に比例し、その地域の物価や必要な生活費も上下します。
従って、関東地方では物価が高く必要な生活費も高いのに対し、九州地方では物価が比較的安く生活費も安く済みます。
同じ年収900万円でも九州地方で生活をしている人の方が、よりゆとりある生活ができるということになります。
年収900万円の貯金レベルは?
年収が900万円ある場合、贅沢をしなければ貯金が可能です。
月額の手取りが55万円前後と考えると、どれだけ出費があっても裕福な暮らしができるという生活レベルではありません。
家族構成や生活状況などを考えた上で、ある程度の節制は必要かと思います。
年収900万円あって貯金ができないという人は、贅沢をしすぎていないか一度生活を見直した方が良いかもしれません。
年収900万円の住宅ローンや家賃の相場のレベルは?
年収900万円の場合、住宅ローンは約5640万円程借り入れすることが可能です。
仮に金利1.79%で借り入れ、25年で返済するとして返済総額7,875万円、月々に返済額は26.3万円となります。
あくまでもこの額は、借入限度額であり相場ではありません。
限度額ギリギリまで借り入れると、ローンの支払いが辛くなることが考えられます。
一般的に住宅を購入する場合には、いかに頭金を準備し少しでもローン借入額を少なく抑えるかを考えることが多いです。
仮に5640万円借入れたとして返済総額は7875万円となり2235万円は利息と考えると、利息分のお金が勿体ないですものね。
ちなみに賃貸物件の場合、月15万円~22万円程の家賃が相場であることが多いようです。
年収900万円は車は持てる?
車は充分持てます。
しかし、車を買い替える頻度が極端に多かったり高級車にこだわったり見栄を張りすぎると支払いが辛くなるかもしれません。
自分のライフスタイルに合わせて車を持つか持たないかを検討した方が良いでしょう。
年収900万円の人の割合は全体の何%?
国税庁調べの「平成29年民間給与実態統計調査」によると年収900万円の人の割合は、全体の1.8%です。
年収300万円以上400万円以下の人の割合が全体の17.8%と、最も割合が多い結果となっています。
このことから年収900万円の人は平均年収よりも、かなり収入が高いことがうかがえます。
男女別で見る、年収900万円以上の人の割合
国税庁調べの「平成29年民間給与実態統計調査の給与階級別給与所得者数・構成比」を見てみると年収900万円以上1000万円以下の人は給与所得者全体で男性が2.9%、女性が0.4%となっています。
この結果を見て分かるように年収900万円の人には男性が多く、女性はごく僅かです。
女性の社会進出が進み男女平等な社会になってきているとは言え、やはり男性の方が高収入であることが多いようです。
年収900万円だと、上位から数えて6.1%に入る
国税庁の「民間給与実態統計調査(平成27年分)」で見てみると、年収900万円台の人は全労働者の内1.8%であることが分かります。
6.1%の内4.3%の人は年収1000万円以上です。
年収900万円以上の人は上位1割未満であり、全体から見るとかなり高所得で少数派であることが分かります。
年収900万円以上の仕事にはどんなものがある?
年収900万円を稼げる仕事にはどのようなものがあるでしょうか。
年収900万円を稼げる業界例5選
年収900万円を稼げる業界にはどのようなものがあるのでしょうか。
ピックアップしましたので見て行きましょう。
1.不動産業界
不動産業界は年収900万円を超えることもあるようです。
特に大手では年収900万円以上稼ぐことが可能なようです。
→不動産業界の詳細はこちら >
2.銀行業界
銀行業界でも年収900万を超えることがあります。
高収入に加えて安定した収入が得られることも、この業界の魅力です。
→銀行業界の詳細はこちら >
3.医薬品業界
医薬品業界も大手であればあるほど高収入であることが多いです。
仕事は決して楽ではありませんが、高収入は確実と言って良いでしょう。
→医薬品業界の詳細はこちら >
4.証券商品先物取引業界
この業界も年収900万円以上になることがあります。
専門的な知識も必要な業界ではありますが、その分高収入なところが魅力な業界です。
→証券業界の詳細はこちら >
5.テレビ業界
この業界は興味の有無が分かれそうですが、高収入を目指せます。
年収1000万円を超えることも夢ではありません。
→テレビ業界の詳細はこちら >
平均年収900万円を超える会社例10選
平均年収900万円を超える会社をいくつかピックアップしてみました。
1.ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス
平均年収900万円となっています。
スーパーマーケット3社の共同持株会社です。
2015年に設立された比較的新しい会社で、持株会社のため従業員数は20人(2018年現在)少ないですが、役員報酬の占める割合が多いためか平均年収が900万円となっています。
→ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの詳細はこちら >
2.昭和シェル石油
平均年収917.5万円となっています。
石油元売企業です。
1942年に設立され従業員人数は722人(2017年現在)という70年以上にわたり石炭製品業を支えてきた会社です。
→昭和シェル石油の詳細はこちら >
3.積水化学工業
平均年収927.6万円となっており化学業界の会社です。
年収は業界内3位を誇る高さです。
1947年に設立され従業員人数は2,615人と比較的大きな会社であることが分かります。
→積水化学工業の詳細はこちら >
4.KDDI
平均年収は936.3万円です。
1984年に設立された情報・通信業界の会社で従業員人数は11,037人(2018年現在)と、とても大きな会社で、社名を聞いたことがある方も多いのではないかと思います。
→KDDIの詳細はこちら >
5.味の素
平均年収は945.8万円です。
食料品業界の会社で、味の素という商品もあるので、ほとんどの方が一度は耳にしたことがある会社ではないでしょうか。
1925年設立と歴史は長く、従業員人数は3,464人(2018年現在)となってます。
→味の素の詳細はこちら >
6.平和不動産
平均年収は956万円です。
不動産業界の会社で、従業員人数は106人(2018年現在)です。
不動産業界内での平均年収ランキングでは19位/132社となっており、不動産業界の中でも比較的高収入であることが分かります。
→平和不動産の詳細はこちら >
7.清水建設
平均年収は967.3万円です。
建設業界の会社で、従業員人数は10348人(2018年現在)となっており従業員がとても多い会社です。
また建設業界内で平均年収ランキングでは6位/166社で、大手建設会社であることが分かります。
→清水建設の詳細はこちら >
8.第一生命ホールディングス
平均年収は975.5万円です。
保険業界の会社で、従業員人数は603人(2018年現在)となっています。
業界内での平均年収ランキングでは5位/14社となっており、保険業界の中でも比較的高収入であることが分かります。
→第一生命ホールディングスの詳細はこちら >
9.みずほフィナンシャルグループ
平均年収は986.3万円です。
銀行業界の会社で、従業員人数は1526人(2018年現在)です。
業界内での平均年収ランキングでは9位/86社となっており、大手で高収入であることが分かります。
→みずほフィナンシャルグループの詳細はこちら >
10.アクセル
平均年収は1,000万円に一歩及ばず、999.2万円です。
電気機器業界の会社で、従業員人数は87人(2018年現在)となっています。
業界内での平均年収ランキングでは9位/252社となっており、かなり大手で電気機器業界の中では高収入であることが分かります。
→アクセルの詳細はこちら >
年収900万円以上の企業をもっと見たい人は、以下の一覧をご覧ください。
年収900万円を超える会社の特徴
年収900万円を超える会社を見たところ、業界に偏りはないように感じます。
どの分野でも大手企業となればなるほど、平均年収が高い印象を受けます。
未経験からでも900万円を超える仕事に転職はできる?
未経験からでも900万円を超える仕事に転職は不可能ではないですが、簡単ではありません。
未経験でも何か人よりもズバ抜けた才能や技術を企業に認めてもらえれば高収入転職は可能であると感じます。
誰にでもできることではありませんが、自分の適性を見極め、技術や特技などを磨く努力をしましょう。
年収900万円を稼ぐために必要なことは?
年収900万円を稼ぐために必要なことは、ずばり自分磨きを怠らないことです。
えっ?それだけでいいの?と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、これはとても難しいことです。
自分の適性を見極められず、ただがむしゃらにもがいてもそれは自分磨きではありません。
自分の適性を見極め、きちんと方向性を決めた上で目標と期間を定めて自分磨きを行うことが収入アップへと繋がり、年収900万円へと繋がります。
もう一つは、自分磨きを行った上での転職です。
会社に所属して高収入を得ることが難しいと考えれば、フリーランスとして高収入を目指すのも良いでしょう。
自分を変えた上で、仕事を探求していくことが必要です。
まとめ
年収900万円の実態について徹底解説しましたが、いかがでしたか?
実態を見てみると意外に手取りが少ないと感じた方や、こんなに手取りがあるのかと感じた方など様々だと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
※この記事は令和元年分の所得税について書いています。
令和2年分以降は、上述の給与所得控除額のほか、基礎控除の額などが改正されます。
ご注意ください。
最終更新日:2020年1月4日