派遣社員や派遣のアルバイトは、直雇用よりも給料が高めに設定されていることが多いです。
その代わり、どうしても正社員や直雇用のアルバイトより給料が上がりづらく、長期的に働くには向いていないイメージがあります。
しかし、派遣社員や派遣アルバイトは給料が上がらないかというと、そんなことはありません。
派遣先の会社と、派遣会社の間で話がまとまれば、給料が上がったり、待遇が改善されたりすることもあります。
この記事では、そんな給料が上がりやすい派遣社員・派遣アルバイトの特徴について解説していきます。
目次
閉じる私は派遣会社で営業として勤務してきました。
派遣会社の営業の仕事は、多岐にわたります。
まず、労働力を求めている企業に営業をかけ、仕事を取ってくる営業活動。
それに、派遣社員・派遣アルバイトの管理と人員手配。
さらに営業資料を作成したり、派遣登録にきたスタッフの対応まで行います。
私は工場や倉庫内での勤務を中心とする軽作業関連の仕事に、アルバイトの派遣を行ってきました。
担当していた企業は50社以上。実際に私が面接し、私の営業先に派遣したアルバイトは500人以上になります。
多くの派遣スタッフを見ていく中で、すぐに給料が上がる人もいれば、何年も据え置きのまま働く人もいました。
派遣スタッフの給料を支払っているのは派遣会社です。
派遣先の会社から直接給料が支払われているわけではありません。
「派遣先の会社 ⇒ 派遣会社 ⇒ 派遣スタッフ」
という流れで、お金が巡るようになっています。
派遣の給料が上がるには「派遣先の会社が派遣会社へ支払う額を上げてくれる」か「派遣会社が取り分を少なくしてでも派遣スタッフへ支払う額を上げる」かの2パターンがあります。
このどちらのパターンで給料が上がっていくのですね。
それではここからは、派遣でも給料が上がりやすい人の特徴を見ていきましょう。
私がこれまで見てきた派遣スタッフの中で、給料が上がりやすい人には大きく6つの特徴がありました。
細かく説明をしていきます。
月並みな言い方になってしまいますが、仕事ができる人は給料が上がりやすいです。
たとえば梱包の仕事があったとします。
通常の派遣アルバイトが100個の梱包を済ませる間に、150個の梱包を済ませることができるスタッフがいれば、派遣先の会社に重宝されるようになります。
そうすると、派遣会社の営業に対して「あの人をまた派遣してほしいんだけど」と言った形で問い合わせが入るようになります。
そうなってしまえば、後は営業の腕の見せ所です。
値上げ交渉をして、その分スタッフの給料(時給)を上げるといった形をとることができるようになります。
派遣先にとっても、時給を100円上げて仕事効率が1.5倍の人が来てくれるのであれば、話を飲んでくれる可能性は高いです。
仕事できる人が来てくれれば、仕事が早く進みます。
結果的にクライアント側も支払うお金が少なくなり、派遣会社としては単価のアップにつながり、派遣スタッフは給料が上がるというwin-win-winの関係になります。
クライアントの求めているスキルを持っている場合にも、重宝されます。
たとえば事務能力や、プログラミングなどの能力になると、そのあたりは顕著に給料に反映されてくるでしょう。
私が営業をしていたような軽作業でも、スキルが買われて時給が上がったスタッフがいます。
特殊なスキルであるとは限りませんでした。
「その仕事先で求められているスキルがあるかどうか」が最も大きいです。
たとえば「重量のある荷物を運ぶことができる」「タイピングが正確で早い」「検品業務中に細かな傷に気が付く」といったこともスキルに含まれます。
その仕事先で求められているスキルに合致している場合に、クライアント側での評価が高くなります。
そうすると、派遣会社としてもクライアントに値上げの交渉などがかけやすく、スタッフの給料にも反映されるという形になります。
比較的、誰でもこなすことができる軽作業では「リーダーシップ」があると給料が上がりやすいです。
たとえば10人以上のスタッフを派遣する際に、点呼をとって「〇〇さんが来ていません」と派遣会社に報告してくれたり、派遣先の会社の人の指示があいまいな時に、具体的な行動をスタッフに割り振れるような人は重宝されます。
まさに「リーダーシップ」というスキルを持っているという形になるのですね。
クライアントに値上げ交渉が通らなかった場合でも、「リーダー手当」などという名目で派遣会社が費用を持ち出して給料を上げる場合があります。
特にリーダーシップを発揮してくれて、通常の仕事に加えて、スタッフの点呼や合流などの業務を行ってくれる場合につくことが多いです。
派遣会社としても、そういうスタッフがいてくれるだけで、クライアントからの「派遣会社の評価」が上がります。
派遣会社の評価が上がれば、たとえば美味しい案件を回してもらえるようになったり、新たな取引先を紹介してもらえることもあります。
そのため、派遣会社も、費用を持ち出してでも優秀なスタッフの給料を上げることがあるのです。
とりたてて仕事ができるわけではないのに、好かれる人っていますよね。
いつもニコニコ笑っていたり、その人がいるだけで場が明るくなったりする人です。
好かれる人柄をしていると、給料の面でも優遇されることがあります。
職場全体を明るくしてくれて、働きやすい環境を作ってくれるからです。
私が派遣した中だと、事務職に派遣したスタッフが、特にコミュニケーション能力で給料が上がるケースが多かったです。
ストレスを抱えがちな営業や、管理職の人を癒すことができる人は、その職場において貴重です。
多少高いお金を払ってでも、クライアントはその人を手放したくないと考えるようになってきます。
上司に好かれる、人懐こいタイプもこの中に入ります。気が付くとムードメーカーになっていて、職場に欠かせない存在になっているのです。
向上心を持って、積極的に仕事に取り組む人は派遣スタッフであっても評価されます。
私が派遣会社で働いていた時、こんなケースがありました。
工場内での作業で、商品が発注ミスで届きませんでした。
工場の社員たちは大慌てであちこちに電話をかけて手配をしようと必死で動いていました。
当然、派遣スタッフに指示を出す余裕などなく、また、作業するはずの商品がないので指示を出そうにもやってもらうことがありません。
そのとき、ほとんどのスタッフは、スタッフ同士でおしゃべりをしたり、休憩をしたりしてただ指示を待っていました。
ところがスタッフの一人は、指示がない中で、わかる範囲の荷物を片付けたり、工場内の掃除を行ったりと働いていたのです。
ようやく商品の手配がついて作業場に戻って来た責任者は、その姿を見て感動したそうです。
「言われないと仕事がわからない」ことももちろんあるでしょうが、「言われなくても、できそうなことを探して行う」ことはできます。
そのスタッフの給料を上げてやってほしいと、派遣先の担当者から値上げを持ちかけられたほどです。
社会人なら当たり前のことですが、遅刻や早退、欠勤は好ましくありません。
直雇用のアルバイトや正社員に対してはもちろん厳しいのですが、派遣社員や派遣スタッフに対してはあまり強く言わない企業が多いです。
というのも、派遣スタッフはあくまで派遣会社の人間であって、その企業の人間ではないからです。
遅刻や早退を厳しく叱咤してしまえば、企業間の関係がこじれることもあるので、あまり直接スタッフには言わない場合が多いです。
しかし、言わないだけです。たいていの場合は、しっかり根に持っています。
派遣会社の人間として営業に行くと、スタッフの遅刻や早退については必ずと言ってもいいほど話にあがります。
特に荷物の運搬や引っ越しなどの仕事になってくると、スタッフの欠勤のせいで仕事にならない場合も考えられます。
もちろん風邪や怪我で欠勤してしまうことは考えられますが「体調管理も仕事のうち」と思っている企業も多いです。
「絶対に欠勤しない」派遣スタッフがいたとします。
「絶対に休んで欲しくない仕事に派遣スタッフを使いたい企業」があったとします。
企業側は、欠勤率の低いスタッフに対しては多少追加でお金を支払っても構わない、と考えるようになります。
その企業に対しては欠勤率の低いスタッフを優先的に充てる代わりに、値上げをしてもらうことが可能になります。
派遣先企業としては欠勤しないスタッフが安定して出勤してくれるようになり、派遣会社としては売上が増え、スタッフは給料を増やすことができます。
同じ派遣会社で働き続けていると、給料が上がる場合があります。
派遣会社によっては疑似的な昇給制度を取り入れていたり、勤続年数に応じたボーナスを用意していたりします。
これに関しては、完全に派遣会社側での費用持ち出しで、給料が上がる形になります。
勤続年数の長いスタッフは、それだけ派遣会社に利益を生んでくれています。
その感謝の意味で、ボーナスをつけている場合があるのです。
また、長い期間、同じ派遣会社で働いていると、その派遣会社の内部事情が見えてきたりすることもあります。
たとえば大手企業の案件を持っているかどうかや、他のスタッフの質についても在籍していればわかってくることでしょう。
そういった情報が外部に漏れると、競合他社に足元をすくわれかねません。
そこで、自社に取り込む意味で勤続年数の長いスタッフには給料面での優遇が行われることがあります。
派遣という形態で仕事をしていると、努力に対して給料が必ず上昇するとは言い切れない状況があります。
給料を支払うのは派遣会社ですが、仕事をするのは派遣先の企業です。
そのため、給料を支払う派遣会社の人間は、そのスタッフがどのように仕事をしているのか、直接見ているわけではありません。
あくまで、派遣先企業の担当者から聞く話で判断する他にないのです。
そして、派遣先企業の担当者は、常に現場を見ているわけではないことが多いです。
現場監督の社員が見て、担当者にスタッフの仕事ぶりを伝え、担当者がそれを派遣会社の営業に語るのです。
まるで伝言ゲームのようなやり取りが行われるので、努力すれば必ず報われるとは言い難いのが、派遣スタッフの実情です。
給料を上げるにも、直雇用であれば社内で認められれば給料に反映されていきますが、派遣では伝言ゲームの末にようやく話がまとまるので、非常に時間がかかる上に、途中で話がこじれたり、きちんと伝わらない場合もあります。
派遣会社によっては、値上げをしてもスタッフに還元しないということさえあるようです。
そのため、どんなに努力をしても、正当に給料に反映されないこともあります。
その職場で必要とされる人材であり続ければ、給料は上がります。
しかし、必ずしも上がるというわけではないことは覚えておいた方が良いでしょう。
稀に、「自分の方が仕事ができると思っているのに、他のスタッフが給料が上がって自分は据え置きとはどういうことだ!」と、派遣会社の営業や、派遣先の担当者に文句を言うスタッフがいますが、これは完全に逆効果です。
給料が上がったスタッフがいるのであれば、クライアントが値上げに応じた、という可能性が高いです。つまり、そのスタッフは職場で求められているスキルを持っていたということになります。
仕事ができる、あるいはコミュニケーションが取れている、人に好かれているというのは、すべて他人から見た評価であることを忘れてはなりません。
必要な人材だと思われたからこそ、給料が上がるのです。
もし本当に給料を上げたいのであれば、その職場で何を求められているのかを見極め、積極的な姿勢で、自分が職場に必要な存在だとアピールしていくことが必要でしょう。
(ライター:zakuro)
最終更新日:2019年5月7日
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